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第125話【チート能力者の悪意②】
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2日後、斡旋ギルドのギルドマスターから女王様との面会申請が無事に通った事を告げられた。
面会は2日後、王城の応接室にて個別の面会になるとの事だった。
「思ったよりも早く叶ったな。やはり斡旋ギルドのマスターともなると王家にも顔が効くんだな」
「そうね。うまく話が纏まると良いわね」
斡旋ギルドから届けられた許可書を前に僕達はひとまず安堵の言葉を言い合った。
* * *
――2日後、予定通りに僕達は王城へと向かい入口で許可書を出して応接室へと案内された。
「うー、王城なんて生まれて初めて入ったから凄く緊張するわね」
日頃から仕事に関してはあまり弱気にならないリリスが珍しく王城の雰囲気に押されて弱音を吐く。
「大丈夫だよ。僕だって初めて入ったんだから同じで緊張しまくっているから」
リリスの緊張を解いてやろうと僕も同じだと言いながら案内をしてくれるメイドについて行く。
「こちらになりますので中で少々お待ちください」
案内してくれたメイドは僕達を応接室へ置くとお辞儀をして部屋から出て行った。
「二人だけになると緊張が増すよね。
あー、そう言えば私達って女王様の顔とか知らないんだったわね。
失礼を働いたらどうしよう」
「少し落ち着こう。大丈夫だよ基本的に受け答えは僕がするから」
そんな事を話しているとドアがノックされ、先程のメイドが現れた。
「女王陛下がお越しになられました。席からご起立のうえお待ちください」
メイドがそう言って道を開けるとその後ろから一人の女性が現れた。
歳のほどは20代半ばくらいの腰までありそうな長いストレートの黒髪が印象的な美人だった。
(黒髪……転生者と聞いているし元々は僕と同じ日本人なのか?)
この国では黒髪は居ない訳ではないが比較的珍しくほとんどの人達は銀髪だったので余計にも際立っていた。
「お待たせしてしまいましたかしらね。
リッツロー・フォン・メデウリスです。
現在、この王国の王の職を授かっていますわ」
目の前の女性が先に名乗ったので僕も続けて名乗る。
「アーロンド伯爵領から来ました『治癒士』を生業として国中を廻っておりますナオキと言います。
側に居るのは妻でリリスといい、僕の仕事のパートナーでもあります」
相手が王国の最高権力者である女王なのでその場で片膝をついた状態での紹介となった。
「まあ、そう畏まらなくても良いですよ。
わたくしを訪ねてきた理由もガイルから聞いていますので特に問題は無いのですが少しばかり詳しく聞きたい事がありますので一度座ってお話しをしましょうか」
言葉遣いは丁寧なのだがこちらに選択権は与えてくれないような独特の威圧感を感じて頷き「失礼します」と素直に従った。
「そうですね。何から話しましょうか……」
女王はそう呟くと側に控えていたメイドに視線を送って部屋から退出させた。
「宜しいのですか?
一国の女王様が僕達のような平民との面会で護衛などをつけずに会うなどあってはならないのではないですか?」
「普通ならばそうなのですが、今回はわたくしの判断でこのような形にしました」
「分かりました。では、こちらも誠意を見せて女王様の疑問にお答え出来るようにしたいと思います」
僕がそう言うと質問の先手を女王に譲った。
「そうですか、ではこちらから質問させて貰いますね。
あなたはアーロンド伯爵領内にある神木付近に神によって運ばれてきた……との認識で間違ってないですか?」
いきなり核心をついて質問してくる女王にゴクリと唾を飲み込んでから「はい」と肯定した。
「そう、警戒しなくても良いですよ。あなたの事はギルド経由で情報が届いてますので今までにどれだけの人々を救ってきたかは分かっているつもりです。
本当に素晴らしい能力《スキル》を授かったのですね。
そして、この王都でも他の町と同様に患者の治療をしたいとの願いですね」
ガイルギルドマスターから前もって聞いたのか女王はこちらの要求を先回りしてあげていく。
「しかし、王都は人も多いですけど優秀な薬師や魔術士も多く暮らしていますので、地方の町のようにあなたの能力《スキル》が必要になるレベルの患者はそう多くはないかもしれませんね」
「そのような事はガイルさんにも言われました。
ですが、それでも僕を必要としてくれる患者がいるならば力になりたいと思います」
僕の強い決意に女王は頷き「そこまで言うならば……」と手紙を書いて渡してきた。
「これは?」
「この手紙をガイルに渡して協力を得て治療にあたるのが良いでしょう。
さて、仕事に関する事はそのくらいで良いですかね。
ここからは少しばかり突っ込んだ話をしたいと思うのですが彼女には聞かせても大丈夫ですか?」
(突っ込んだ話と言う事は前世の事か女神様の事だろう。さすがにリリスに聞かせるのはどうかとは思うが……)
「構いませんのでここに居させてください」
僕が迷っているとリリスが先にそう答えた。
「分かったから側で聞いていても良いよ。でも、それほど楽しい話では無いから不快になったらいつでも席を立っても良いからね」
僕はそうリリスに伝えると過去に自分に起きた出来事を話し始めた。
「――あなたは凄く真面目な人なんですね。少しばかり融通が効かないところもあるようですが素晴らしい能力の使い方をされているのですね」
「まあ、出来るだけ精一杯頑張ってきた自負はありますが、それでも今ここに僕が居られるのは隣にいる彼女のおかげだと思ってます」
僕は隣で照れているリリスに微笑みながらそう答える。
「よきパートナーに恵まれたのですね。
もうお分かりでしょうがわたくしもあなたと同じく別の世界から神によって導かられた者です。
前国王の娘となっていますが、実際は子供の居なかった前国王に仕えていた際、神からのお告げで養子となり王位を引き継いだのです。
生前は――」
女王が自らの事を話そうとしていた時に入口のドアがノックされ、メイドがひとり紅茶を運んで来た。
「失礼します。お話しが長引くようですので紅茶をお持ちしました」
メイドはそう言うと僕達と女王の前のテーブルに紅茶のカップをそっと置く。
「ありがとう。もう良いから退室して控えておくように」
女王はメイドにそう指示をすると運ばれてきた紅茶に口をつけようとカップを持ち上げた次の瞬間……。
――カシャーン。
女王の手から紅茶のカップがこぼれ落ち、そのまま彼女の身体も前のめりに崩れ落ち、その首にはナイフが深々と刺さっていた。
面会は2日後、王城の応接室にて個別の面会になるとの事だった。
「思ったよりも早く叶ったな。やはり斡旋ギルドのマスターともなると王家にも顔が効くんだな」
「そうね。うまく話が纏まると良いわね」
斡旋ギルドから届けられた許可書を前に僕達はひとまず安堵の言葉を言い合った。
* * *
――2日後、予定通りに僕達は王城へと向かい入口で許可書を出して応接室へと案内された。
「うー、王城なんて生まれて初めて入ったから凄く緊張するわね」
日頃から仕事に関してはあまり弱気にならないリリスが珍しく王城の雰囲気に押されて弱音を吐く。
「大丈夫だよ。僕だって初めて入ったんだから同じで緊張しまくっているから」
リリスの緊張を解いてやろうと僕も同じだと言いながら案内をしてくれるメイドについて行く。
「こちらになりますので中で少々お待ちください」
案内してくれたメイドは僕達を応接室へ置くとお辞儀をして部屋から出て行った。
「二人だけになると緊張が増すよね。
あー、そう言えば私達って女王様の顔とか知らないんだったわね。
失礼を働いたらどうしよう」
「少し落ち着こう。大丈夫だよ基本的に受け答えは僕がするから」
そんな事を話しているとドアがノックされ、先程のメイドが現れた。
「女王陛下がお越しになられました。席からご起立のうえお待ちください」
メイドがそう言って道を開けるとその後ろから一人の女性が現れた。
歳のほどは20代半ばくらいの腰までありそうな長いストレートの黒髪が印象的な美人だった。
(黒髪……転生者と聞いているし元々は僕と同じ日本人なのか?)
この国では黒髪は居ない訳ではないが比較的珍しくほとんどの人達は銀髪だったので余計にも際立っていた。
「お待たせしてしまいましたかしらね。
リッツロー・フォン・メデウリスです。
現在、この王国の王の職を授かっていますわ」
目の前の女性が先に名乗ったので僕も続けて名乗る。
「アーロンド伯爵領から来ました『治癒士』を生業として国中を廻っておりますナオキと言います。
側に居るのは妻でリリスといい、僕の仕事のパートナーでもあります」
相手が王国の最高権力者である女王なのでその場で片膝をついた状態での紹介となった。
「まあ、そう畏まらなくても良いですよ。
わたくしを訪ねてきた理由もガイルから聞いていますので特に問題は無いのですが少しばかり詳しく聞きたい事がありますので一度座ってお話しをしましょうか」
言葉遣いは丁寧なのだがこちらに選択権は与えてくれないような独特の威圧感を感じて頷き「失礼します」と素直に従った。
「そうですね。何から話しましょうか……」
女王はそう呟くと側に控えていたメイドに視線を送って部屋から退出させた。
「宜しいのですか?
一国の女王様が僕達のような平民との面会で護衛などをつけずに会うなどあってはならないのではないですか?」
「普通ならばそうなのですが、今回はわたくしの判断でこのような形にしました」
「分かりました。では、こちらも誠意を見せて女王様の疑問にお答え出来るようにしたいと思います」
僕がそう言うと質問の先手を女王に譲った。
「そうですか、ではこちらから質問させて貰いますね。
あなたはアーロンド伯爵領内にある神木付近に神によって運ばれてきた……との認識で間違ってないですか?」
いきなり核心をついて質問してくる女王にゴクリと唾を飲み込んでから「はい」と肯定した。
「そう、警戒しなくても良いですよ。あなたの事はギルド経由で情報が届いてますので今までにどれだけの人々を救ってきたかは分かっているつもりです。
本当に素晴らしい能力《スキル》を授かったのですね。
そして、この王都でも他の町と同様に患者の治療をしたいとの願いですね」
ガイルギルドマスターから前もって聞いたのか女王はこちらの要求を先回りしてあげていく。
「しかし、王都は人も多いですけど優秀な薬師や魔術士も多く暮らしていますので、地方の町のようにあなたの能力《スキル》が必要になるレベルの患者はそう多くはないかもしれませんね」
「そのような事はガイルさんにも言われました。
ですが、それでも僕を必要としてくれる患者がいるならば力になりたいと思います」
僕の強い決意に女王は頷き「そこまで言うならば……」と手紙を書いて渡してきた。
「これは?」
「この手紙をガイルに渡して協力を得て治療にあたるのが良いでしょう。
さて、仕事に関する事はそのくらいで良いですかね。
ここからは少しばかり突っ込んだ話をしたいと思うのですが彼女には聞かせても大丈夫ですか?」
(突っ込んだ話と言う事は前世の事か女神様の事だろう。さすがにリリスに聞かせるのはどうかとは思うが……)
「構いませんのでここに居させてください」
僕が迷っているとリリスが先にそう答えた。
「分かったから側で聞いていても良いよ。でも、それほど楽しい話では無いから不快になったらいつでも席を立っても良いからね」
僕はそうリリスに伝えると過去に自分に起きた出来事を話し始めた。
「――あなたは凄く真面目な人なんですね。少しばかり融通が効かないところもあるようですが素晴らしい能力の使い方をされているのですね」
「まあ、出来るだけ精一杯頑張ってきた自負はありますが、それでも今ここに僕が居られるのは隣にいる彼女のおかげだと思ってます」
僕は隣で照れているリリスに微笑みながらそう答える。
「よきパートナーに恵まれたのですね。
もうお分かりでしょうがわたくしもあなたと同じく別の世界から神によって導かられた者です。
前国王の娘となっていますが、実際は子供の居なかった前国王に仕えていた際、神からのお告げで養子となり王位を引き継いだのです。
生前は――」
女王が自らの事を話そうとしていた時に入口のドアがノックされ、メイドがひとり紅茶を運んで来た。
「失礼します。お話しが長引くようですので紅茶をお持ちしました」
メイドはそう言うと僕達と女王の前のテーブルに紅茶のカップをそっと置く。
「ありがとう。もう良いから退室して控えておくように」
女王はメイドにそう指示をすると運ばれてきた紅茶に口をつけようとカップを持ち上げた次の瞬間……。
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