女性限定の『触れて治癒する』治療方法に批判が殺到して廃業を考えたが結果が凄すぎて思ったよりも受け入れて貰えた

夢幻の翼

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第156話【白紙の本の使い方を探る】

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「――怪我に対する検証はこのくらいで大丈夫だろう。
 今度は病気に対する策だけど今までみたいに治癒魔法で治す訳にはいかないから『テストをしたいので病気の人を紹介してください』とは頼みにくいよな」

「そうね。でも、患者を診るからには治療をしてあげたいんでしょ?
 それには誰かに薬を調薬して貰わないといけないのだし、ナナリーはまだ無理だから結局のところ薬師ギルドに協力して貰わないと検証なんて出来ないと思うわよ」

「まあ、そうだよな。
 すぐに治せる保証のない患者を紹介してと言うのがこれほど苦痛だとは思わなかったよ」

「あら、今までの常識からすればそれが当然だと思いますよ。
 むしろ、ナオキの『治せて当然』の方がよっぽど非常識だったと自覚して欲しいわよ」

 リリスはそう言いながらため息をついた。

「では、明日は薬師ギルドに向かう予定にしますね。
 では、私は今から薬師ギルドに行ってギルマスの面会予約をお願いしてきますので皆さんは先に施設へ戻ってくださいね」

 ナナリーはそう告げると僕が何かを言う前に部屋から飛び出して行った。

「そんなに慌てて行かなくても馬車で一緒に行って話をしてくれば良いのに……」

「まあ、彼女はナオキの役にたちたい気持ちが強いんでしょう。
 それに前も言ったけどナオキはもう貴族の一員なんだから必要ない時には自分が動かない方が話が早くまわると思うわよ。
 あまり貴族様にうろうろされると平民の一般人は緊張するものだからね」

「うわぁ……。
 やっぱり爵位を受けたのは失敗だったかもしれない……」

「まあまあ、そんな事を言わないのよ。今後、絶対に貴族の権力があって助かる事案も出てくると思うからね」

 泣きごとを言う僕を笑いながら慰めるリリスに連れられて施設へ帰るために馬車へと向った。

 その後、ギルド前にて馬車へ乗り込もうとする僕に後ろから声がかかる。

「ナオキ様! お待ちください!」

 声がする方を見るとそこには先程治療をしたサリルナが自分の足で走って来ていた。

「おお、もう走れるようになったのですか?」

「はい。あれからラーズギルマスより説明を受けて足を動かしているうちにいつの間にか思い通りに動かせるようになっていました。
 本当になんといってお礼を言えば良いかわかりませんが、とにかくありがとうございましたと伝えたくて……」

 サリルナは久しぶりに走ったせいで息も荒くしていたが笑顔でそう言って深々と頭を下げた。

「無事に治って良かったです。
 これまで怪我で出来なかった事が出来るようになれば僕も嬉しく思います。
 では、お元気で……」

 僕はそう言うと馬車へと乗り込んでいった。

「――さて、調薬ギルドとの調整はナナリーが行ってくれているからその結果を待つとしよう」

 その後、施設に戻った僕達は食事をとりながらナナリーの帰りを待った。

「――ただいま戻りました。
 薬師ギルドとの面会は明日の昼前になりましたので同行をお願いします」

「ああ、わかった。準備をしておこう。
 食事の準備も出来ているからゆっくり休むといい」

 僕はナナリーを労いながらリリスと明日の話をどう持っていくかを話し合って決めた。

   *   *   *

 ――次の日、予定の時間に薬師ギルドを訪れた僕達を迎えてくれたのはサブギルドマスターのドーランという男だった。

「話はナナリーさんから聞いております。
 カルカル薬師ギルドのサブギルドマスターを任されております『ドーラン』といいます。
 本来ならばギルドマスターが対応する案件なのですが調薬についてのご質問があるとの事でしたので私の方が良いであろうとの判断になりましたことを先にお伝えしておきます」

 ドーランはそう言うと頭を下げた。

「治癒士のナオキです。
 この度は僕のスキルについての検証にご協力を頂いてありがとうございます。
 これからのお互いの関係を良好なものにするためにも今日のことは必要だと考えていますので宜しくお願いします」

 僕の挨拶にドーランは恐縮していたが、話はナナリーが通していたためすぐにギルド内にある病室へと案内された。

「このギルドには病室があるのですね。
 今まで薬師ギルドの中はあまり見たことが無かったので知りませんでしたよ」

「そうですね。
 部外者を入れることは殆どありませんので意外と知っている人は少ないのかもしれないですね。
 あ、ここになります」

 ドーランの案内で病室のひとつに入った僕は簡素な部屋のベッドで眠るひとりの少女の前に立った。

「彼女の名前はシーラといいます。病気であると思われていますが実際のところは不明です」

「それは病名が分からないと言う事ですか?」

「いえ、病名がどうとかのレベルではなく何処が悪いのかが分からないのです。
 彼女は1ヶ月程前から眠ったままでいくら調べても誰も分からない状態なのです」

「眠ったまま……ですか。
 とりあえず身体の状態を確認させてください。
 ――状態確認スキャン

 僕が彼女の状態を魔法で確認すると頭の中にいくつかの治療方法が浮かび上がった。

「これは……」

「なにか分かったのでしょうか?」

「ええ、彼女は自らの身体を守るために強制的に睡眠の状態を続けているようです」

「すみませんが私には言われている意味が理解できないのですが、もう少し簡単に説明いただけないですか?」

「彼女の身体は進行性の病にかかっていますが彼女自身の治癒力によって病気の進行を遅らせている状態なのです。
 これを治すには特殊な治療薬が必要になりますが今の薬学知識では難しいと思われます。
 それこそ、以前の僕ならば問題なく治療出来たのですが今の僕には病気を治す力はありません。
 ですので薬師の方に調薬をお願いしたいと思います」

「し、しかし……。
 調薬と言われても調合する媒体と比率が分からなければ私どもにもどうしようもありません」

 ドーランの悲痛の訴えに僕は頷いて先程から淡く光を放っている白紙の本のページをめくると患者の名前と共に必要な薬品名と調薬方法が浮かび上がっていた。

「ここに書かれている素材を集めて調薬をお願いします。
 もし、手元の素材が足りなければ斡旋ギルドと連携をして調達してください」

 僕の言葉に半信半疑ながらも必要な情報を書き写したドーランは急いで職員を呼びギルド内にある素材の確認をさせた。
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