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第7話 魔導雑貨屋と商業ギルド
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商業ギルドへ向かいながら私は昨日、部屋で検証した事を思い出していた。どうやら固有スキル『カード化』でカードにしたものは時間経過に伴う劣化をしない。要するに時間停止をした状態となるようだ。これが間違いないならば必ず強力な武器になる。
「あとはこの世界に似たような物、魔道具が存在するかよね。ナビーは何か知ってる?」
「この世界には魔法鞄と言われる魔道具が存在しているぞ。こいつは普通の鞄の見た目でありながら魔石の魔力を利用して空間拡張をした魔道具さ」
「魔法鞄……。一度見てみたいわね。あと、性能についても聞いてみたいこともあるし、どこに行けば見られるのかしら?」
私はこの世界特有のスキルシステムに胸を躍らせながらも特別は自分だけではないとの認識の下でそう呟く。
「魔道具関係なら、魔道雑貨屋だろうな。多分この町にもある筈だぜ」
私が問いかけずともナビーは私が知りたいことを提供してくれる。この辺りは非常にありがたい存在だと再認識しながら頷きながら、通りすがりの話しやすそうなおばさんを見つけて声をかける。
「すみません。この辺りで魔導雑貨を扱うお店を知りませんか?」
「魔導雑貨屋? それなら、この道沿いに一軒ありますよ。大きな紫色の看板が出ているからすぐに分かると思いますよ」
ナビーの言うとおり、魔道雑貨屋はこの町にはあるようでおばさんは親切に特徴まで教えてくれた。
「ありがとうございます。助かりました」
私はおばさんにお礼を言うと彼女は笑顔で私を見送ってくれる。気の優しい人なのだろう。
「――えっと、確かこの辺りのはず……。ああ、みつけた」
魔道具屋ログラム。どんな魔道具があるのか楽しみにしながら私はお店のドアを開いた。
――イラッシャイマセ。
私がドアを開けると突然カタコトの挨拶をする声が店内に響く。だが、辺りを見回しても店員の姿は見当たらない。私はドアを潜って店内へと足を踏みいれると改めて人の姿を探した。
――イラッシャイマセ。
再度、どこからか聞こえる声に私はふと前世の記憶から反応式自動音声の存在を思い出し、声の元がどこかにあるはずと意識をそれに切り替えて注意深く探したのだった。
「なるほど、これが声の正体ね」
私がカウンター前に来るとちょこんと置かれたぬいぐるみから同様の声が発せられ、その正体を教えてくれた。
「お店の人は居ないのですか?」
反応式自動音声に問いかけても答えなど戻ってくるはずは無いと思いながらも私は可愛い猫のぬいぐるみに話しかける。
「ふうん。ずいぶん若い子が来たと思ったが、ぬいぐるみに話しかけるとはね。そんなにそのぬいぐるみが気に入ったかい?」
私がぬいぐるみに気をとられていると店の奥から男性の声が聞こえたので意識を声の方へ向けると立派な顎ひげを蓄えた白髪の老紳士が立っているのが見えた。
「すごく可愛い猫さんですね。これも魔道具なのですか?」
ぬいぐるみに話しかけていたところを見られ、少し恥ずかしそうにしながらも私はそう問いかける。話を聞き出すためにも魔道具に興味があるように見せるためだ。
「そうじゃな。それはお客の来店を教えてくれる魔道具じゃよ。扉に設置してあるセンサーに反応して声を発することが出来る。うちに興味を持って来てくれたのじゃから、魔道具を探しているのかい?」
「まだ、買うだけのお金がないのですが魔道具には凄く興味があって見せて頂きたいのですが、良いですか?」
買うだけのお金がないと言った私にも老紳士は嫌な顔ひとつ見せず、優しい顔で頷くと「若い子に興味を持って貰えるのは嬉しいことだ。ゆっくり見て行きなさい」と言ってくれた。
「ありがとうございます。それで、あの……。私は魔道具についてほとんど知りませんので教えて頂きたいのですが。
私はそう前置きをして一番聞きたかった事を聞いてみた。それはこの店に入る前に考えていたこと、魔法鞄についてだった。
「魔法鞄ってこのお店には置いてありますか? もし、あれば見せてもらうことって出来ますか?」
「魔法鞄か……。あるにはあるが、初級レベルのものしか置いておらん。そもそも、こんな町の魔導雑貨屋には中級以上のものは置ける資格がないからのう。じゃが、初級とはいえ市民の平均年収の三倍はするぞ」
「三倍? それに中級以上は販売する資格が無いってどうしてですか?」
「中級以上の魔法鞄を作れる魔道具師がこの国には居ないからじゃよ。他所の国にはそれを作れる腕のいい魔道具師を抱える国もあるが、なにせ高級品だから一般の店では取り扱えないんじゃよ」
初級で年収の三倍となると中級だと何倍になるのだろうと考えながら、私は彼に初級の魔法鞄を見せてもらう。
「これが、この店で取り扱っている魔法鞄じゃな。この大きさで両手に抱えられる程度は入るだろう」
そう言って見せてもらった鞄は肩掛けの小さなものだった。なるほど、この大きさで両手に抱えられるほどの荷物を入れられるのならば、かなり楽に荷物を運ぶことは出来るだろう。そして、それを見た私は一番聞きたかったことを自然に問いかけた。
「この魔法鞄に入れた食べ物ってどうなるのですか? 腐ったりします?」
「ははは。魔法鞄は壊れやすいものを入れておくと破損する心配が無くて安心だな。ああ、食べ物なんかはあまり入れたりはせんな。旅の商人が携帯食料を持ち運ぶのに使ったりすることはあるが、痛むものは痛むし、腐るものは腐る。あまり賢い使い方とは言えんな」
「そうなのですね。ありがとうございます、大変勉強になりました。今はまだ買えないけれど、いつか買うときは是非ともこのお店を訪ねたいと思います」
「いやいや、若い子が魔道具に興味を持ってくれるのは嬉しいことだ。また、見に来るといい。だが、早くしてくれないとこの老いぼれは居なくなっちまうかもしれんぞ」
魔導雑貨屋の老紳士はそう私に優しい言葉をかけて見送ってくれる。本当にいつかまた訪れたいと思うお店だった。
「収穫だったようだな。まあ、あの程度なら俺様に聞いてくれても答えられたがな」
魔導雑貨店を出るとナビーが私の耳元でそう話すが、私としては実際にお店で取り扱う人に話を聞けたのは無駄じゃあなかったと笑う。
「ナビーの事は信用してるけど、人との交流は大切よ。それに思ったとおり未劣化は特別なものみたいだしね」
あの女神がくれた固有スキルはやはり特別なものだったのかと自然に口角を上げて歩く私は相当に浮かれているように見えただろう。商業ギルドの看板が見えるまでニヤニヤが止まらなかった。
――からんからん。
商業ギルドのドアを開くと鐘の音が響き、案内係のお姉さんが歩み寄ってくる。どこのギルドでもそうなのだろうが、よく接客の訓練がされているなと感心をする。
「――モルの商業ギルドへようこそ。こちらの施設のご利用は初めてでしょうか?」
「はい。先日行った固有スキル鑑定で、生活魔法の適性を伝えられましたので仕事の斡旋はしてもらえるかを聞きに来ました。新規の登録って出来ますか?」
「新規のギルド員登録でございますね。では、こちらの書類に必要事項を書いて一番窓口へお進みください」
案内係の女性は私に書類を渡して一番窓口を指差しながら教えてくれる。どうやら、名前と固有スキル内容を書いて出せばいいようだ。私は書類の内容を確認しながら記入を終わらせると彼女に指示された窓口へと向かい提出をしたのだった。
「あとはこの世界に似たような物、魔道具が存在するかよね。ナビーは何か知ってる?」
「この世界には魔法鞄と言われる魔道具が存在しているぞ。こいつは普通の鞄の見た目でありながら魔石の魔力を利用して空間拡張をした魔道具さ」
「魔法鞄……。一度見てみたいわね。あと、性能についても聞いてみたいこともあるし、どこに行けば見られるのかしら?」
私はこの世界特有のスキルシステムに胸を躍らせながらも特別は自分だけではないとの認識の下でそう呟く。
「魔道具関係なら、魔道雑貨屋だろうな。多分この町にもある筈だぜ」
私が問いかけずともナビーは私が知りたいことを提供してくれる。この辺りは非常にありがたい存在だと再認識しながら頷きながら、通りすがりの話しやすそうなおばさんを見つけて声をかける。
「すみません。この辺りで魔導雑貨を扱うお店を知りませんか?」
「魔導雑貨屋? それなら、この道沿いに一軒ありますよ。大きな紫色の看板が出ているからすぐに分かると思いますよ」
ナビーの言うとおり、魔道雑貨屋はこの町にはあるようでおばさんは親切に特徴まで教えてくれた。
「ありがとうございます。助かりました」
私はおばさんにお礼を言うと彼女は笑顔で私を見送ってくれる。気の優しい人なのだろう。
「――えっと、確かこの辺りのはず……。ああ、みつけた」
魔道具屋ログラム。どんな魔道具があるのか楽しみにしながら私はお店のドアを開いた。
――イラッシャイマセ。
私がドアを開けると突然カタコトの挨拶をする声が店内に響く。だが、辺りを見回しても店員の姿は見当たらない。私はドアを潜って店内へと足を踏みいれると改めて人の姿を探した。
――イラッシャイマセ。
再度、どこからか聞こえる声に私はふと前世の記憶から反応式自動音声の存在を思い出し、声の元がどこかにあるはずと意識をそれに切り替えて注意深く探したのだった。
「なるほど、これが声の正体ね」
私がカウンター前に来るとちょこんと置かれたぬいぐるみから同様の声が発せられ、その正体を教えてくれた。
「お店の人は居ないのですか?」
反応式自動音声に問いかけても答えなど戻ってくるはずは無いと思いながらも私は可愛い猫のぬいぐるみに話しかける。
「ふうん。ずいぶん若い子が来たと思ったが、ぬいぐるみに話しかけるとはね。そんなにそのぬいぐるみが気に入ったかい?」
私がぬいぐるみに気をとられていると店の奥から男性の声が聞こえたので意識を声の方へ向けると立派な顎ひげを蓄えた白髪の老紳士が立っているのが見えた。
「すごく可愛い猫さんですね。これも魔道具なのですか?」
ぬいぐるみに話しかけていたところを見られ、少し恥ずかしそうにしながらも私はそう問いかける。話を聞き出すためにも魔道具に興味があるように見せるためだ。
「そうじゃな。それはお客の来店を教えてくれる魔道具じゃよ。扉に設置してあるセンサーに反応して声を発することが出来る。うちに興味を持って来てくれたのじゃから、魔道具を探しているのかい?」
「まだ、買うだけのお金がないのですが魔道具には凄く興味があって見せて頂きたいのですが、良いですか?」
買うだけのお金がないと言った私にも老紳士は嫌な顔ひとつ見せず、優しい顔で頷くと「若い子に興味を持って貰えるのは嬉しいことだ。ゆっくり見て行きなさい」と言ってくれた。
「ありがとうございます。それで、あの……。私は魔道具についてほとんど知りませんので教えて頂きたいのですが。
私はそう前置きをして一番聞きたかった事を聞いてみた。それはこの店に入る前に考えていたこと、魔法鞄についてだった。
「魔法鞄ってこのお店には置いてありますか? もし、あれば見せてもらうことって出来ますか?」
「魔法鞄か……。あるにはあるが、初級レベルのものしか置いておらん。そもそも、こんな町の魔導雑貨屋には中級以上のものは置ける資格がないからのう。じゃが、初級とはいえ市民の平均年収の三倍はするぞ」
「三倍? それに中級以上は販売する資格が無いってどうしてですか?」
「中級以上の魔法鞄を作れる魔道具師がこの国には居ないからじゃよ。他所の国にはそれを作れる腕のいい魔道具師を抱える国もあるが、なにせ高級品だから一般の店では取り扱えないんじゃよ」
初級で年収の三倍となると中級だと何倍になるのだろうと考えながら、私は彼に初級の魔法鞄を見せてもらう。
「これが、この店で取り扱っている魔法鞄じゃな。この大きさで両手に抱えられる程度は入るだろう」
そう言って見せてもらった鞄は肩掛けの小さなものだった。なるほど、この大きさで両手に抱えられるほどの荷物を入れられるのならば、かなり楽に荷物を運ぶことは出来るだろう。そして、それを見た私は一番聞きたかったことを自然に問いかけた。
「この魔法鞄に入れた食べ物ってどうなるのですか? 腐ったりします?」
「ははは。魔法鞄は壊れやすいものを入れておくと破損する心配が無くて安心だな。ああ、食べ物なんかはあまり入れたりはせんな。旅の商人が携帯食料を持ち運ぶのに使ったりすることはあるが、痛むものは痛むし、腐るものは腐る。あまり賢い使い方とは言えんな」
「そうなのですね。ありがとうございます、大変勉強になりました。今はまだ買えないけれど、いつか買うときは是非ともこのお店を訪ねたいと思います」
「いやいや、若い子が魔道具に興味を持ってくれるのは嬉しいことだ。また、見に来るといい。だが、早くしてくれないとこの老いぼれは居なくなっちまうかもしれんぞ」
魔導雑貨屋の老紳士はそう私に優しい言葉をかけて見送ってくれる。本当にいつかまた訪れたいと思うお店だった。
「収穫だったようだな。まあ、あの程度なら俺様に聞いてくれても答えられたがな」
魔導雑貨店を出るとナビーが私の耳元でそう話すが、私としては実際にお店で取り扱う人に話を聞けたのは無駄じゃあなかったと笑う。
「ナビーの事は信用してるけど、人との交流は大切よ。それに思ったとおり未劣化は特別なものみたいだしね」
あの女神がくれた固有スキルはやはり特別なものだったのかと自然に口角を上げて歩く私は相当に浮かれているように見えただろう。商業ギルドの看板が見えるまでニヤニヤが止まらなかった。
――からんからん。
商業ギルドのドアを開くと鐘の音が響き、案内係のお姉さんが歩み寄ってくる。どこのギルドでもそうなのだろうが、よく接客の訓練がされているなと感心をする。
「――モルの商業ギルドへようこそ。こちらの施設のご利用は初めてでしょうか?」
「はい。先日行った固有スキル鑑定で、生活魔法の適性を伝えられましたので仕事の斡旋はしてもらえるかを聞きに来ました。新規の登録って出来ますか?」
「新規のギルド員登録でございますね。では、こちらの書類に必要事項を書いて一番窓口へお進みください」
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