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第二章 初デートのはずなのになんでこうなった??
第七話*side衛
一条寺陽真はとんでもない男だと思う。
空を飛ぶ妖魔にサーベルでどのように立ち向かうのかと思えば、座席に足をかけ、あっという間に飛び上がり逃げる鳥型妖魔を一閃のもとに斬り伏せた。
もはや人間の動きではない。
そもそも決して軽くはない俺を抱き上げて、アレを入れたのだって人間離れしているだろう。
あれは男女で体格差があるからなんとか出来る体位のはずだ。
あ然と俺がしている間に、ホールは元の姿を取り戻した。
全員避難しているのか周りには人の気配はない。
「さて、帰ろうか」
俺にしていたアレやコレやなど想像できない爽やかすぎる様子で一条寺少尉は俺に近寄ると、当たり前のように俺を姫抱きした。
「しょ、は、陽真様、俺歩けます!」
何度が瞬きながら、心配げに見つめてくる少尉からふわりとまた甘い香りがする。
それだけで下半身がムズムズとしてしまう。
「あ、ちゃんと、零さないように、歩けるんで」
出来れば距離を取りたくて、なので一条寺少尉が気にしそうなことを先手を打って宣言した。
確かに少尉が言うように公共の場を月光隊員が、一条寺少尉が汚したなどと変な噂が立っては困る。
「……。いったい僕の理性をどれだけ試せば気が済むんだ」
「え?」
「いやこちらの話だよ。とりあえず衛が歩くことは許可できない。君の服はボロボロで、それこそ歩かせたら公然猥褻罪になるよ」
「……公然わいせ、つ?」
「そう。だけど僕が抱えていれば上着で隠れるし大丈夫だ」
確かに服は破けて露出も多い。
しかし俺をいつまでも運ばせるのは心苦しい。
「ならばどこか便所へ連れて行ってください。そこへ着替えを持ってきていただければ……」
「今夜は僕の部屋へ招待するね」
「あの??」
「その前に月光隊へ連絡しないとかな。少し時間がかかるかもしれないけど我慢してくれるかい?」
「え、いや、俺だけでも先に……」
トイレに連れて行ってください。と俺が懇願するよりも早く、俺達の声に気づいたのかホールの外から活動写真館の関係者らしき人たちがやってきてしまった。
どうしたものかと戸惑ったが、上官に元気な隊員が運ばれるわけにはいかない。
仕方なく俺は気絶したフリをして、少尉の腕に抱かれていることにした。
一条寺陽真は少女漫画の中でも腹黒いキャラではあった。
だが他の男を好きになったヒロインを無理やり手籠めにすることもなく、背中をそっと後押しする紳士的なキャラだったはずだ。
なのにどうしてだろう?
「う~っ……腹いてぇ……」
この世界には退魔の力はあれど、怪我や病気を治す魔法はない。
「ほら薬だよ。ちゃんと飲めるかい?」
少尉の中出しのせいで俺は腹を壊した。
あの後、結構な時間出すことが出来なかっただけでなく、夜もまあまあ激しく抱かれたからだ。
容赦のない行動をするくせに、俺を甲斐甲斐しく看護してくれるのも少尉である。
こういう世話好きの優しいところは漫画のキャラと同じに見えるのに。
「ああ、このままだと飲みにくいね。手伝ってあげる」
差し出されたコップを受け取ろうとしたらスッと引かれ、なぜか一条寺少尉がすべて飲み干す。
「えっ? そのままでも飲め……っぐぅ!」
悪い予感は的中し、顎を掴ままれれば上向かされて強制的に口移しをされた。
俺はゆっくりと流れ込んでくる液体を吹き出さないよう慎重に飲み込んでいく。
最後にヌルんと少尉の肉厚な舌が入り込んできて、歯列をなぞったかと思えばシコシコと前歯の裏あたりを刺激された。
こういった強引すぎるアピールは、漫画にはなかったはずだ。
「ふぁっ、あっ……ん」
「ふふ、可愛い。口の中も感じちゃうのか」
零れ出た唾液を舐め取るようにチラリと舌をのぞかせながら一条寺少尉が妖艶に微笑む。
もともと顔がいいので、ちょっとした仕草でも素敵すぎて俺は思わず息を呑んだ。
本当にすごく、かっこいい。
「わ、わかりませんっ!」
俺はこれ以上弄ばれたくなくて、頭まですっぽり布団を被ると丸くなる。
「そうか。なら僕と一緒に色々確認していこうね」
少尉の手が布団越しでもわかるくらい、優しく俺の体を撫でてくれる。
なんだか本当にとんでもない人だと思うのに。
そっと布団から顔を出せば、優しく微笑む麗しい陽真様と目が合う。
びっくりするほど愛しそうに俺を見つめる瞳に嘘はない。間違いなく俺はこの人に愛されているのだろう。
「……はい」
だから結局、まあいいかぁと俺はあっさりと絆されてしまうのだった。
□ 初デートのはずなのになんでこうなった??(完)□
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