少女漫画の当て馬キャラと恋人になったけどキャラ変激しすぎませんか??

和泉臨音

文字の大きさ
15 / 48
第二章 初デートのはずなのになんでこうなった??

第七話*side衛

  
 一条寺陽真はとんでもない男だと思う。
 空を飛ぶ妖魔にサーベルでどのように立ち向かうのかと思えば、座席に足をかけ、あっという間に飛び上がり逃げる鳥型妖魔を一閃のもとに斬り伏せた。

 もはや人間の動きではない。

 そもそも決して軽くはない俺を抱き上げて、アレを入れたのだって人間離れしているだろう。
 あれは男女で体格差があるからなんとか出来る体位のはずだ。

 あ然と俺がしている間に、ホールは元の姿を取り戻した。
 全員避難しているのか周りには人の気配はない。

「さて、帰ろうか」

 俺にしていたアレやコレやなど想像できない爽やかすぎる様子で一条寺少尉は俺に近寄ると、当たり前のように俺を姫抱きした。

「しょ、は、陽真様、俺歩けます!」

 何度が瞬きながら、心配げに見つめてくる少尉からふわりとまた甘い香りがする。
 それだけで下半身がムズムズとしてしまう。

「あ、ちゃんと、零さないように、歩けるんで」

 出来れば距離を取りたくて、なので一条寺少尉が気にしそうなことを先手を打って宣言した。

 確かに少尉が言うように公共の場を月光隊員が、一条寺少尉が汚したなどと変な噂が立っては困る。

「……。いったい僕の理性をどれだけ試せば気が済むんだ」
「え?」
「いやこちらの話だよ。とりあえず衛が歩くことは許可できない。君の服はボロボロで、それこそ歩かせたら公然猥褻わいせつ罪になるよ」
「……公然わいせ、つ?」
「そう。だけど僕が抱えていれば上着で隠れるし大丈夫だ」

 確かに服は破けて露出も多い。
 しかし俺をいつまでも運ばせるのは心苦しい。

「ならばどこか便所へ連れて行ってください。そこへ着替えを持ってきていただければ……」
「今夜は僕の部屋へ招待するね」
「あの??」
「その前に月光隊へ連絡しないとかな。少し時間がかかるかもしれないけど我慢してくれるかい?」
「え、いや、俺だけでも先に……」

 トイレに連れて行ってください。と俺が懇願するよりも早く、俺達の声に気づいたのかホールの外から活動写真館の関係者らしき人たちがやってきてしまった。

 どうしたものかと戸惑ったが、上官に元気な隊員が運ばれるわけにはいかない。
 仕方なく俺は気絶したフリをして、少尉の腕に抱かれていることにした。


 一条寺陽真は少女漫画の中でも腹黒いキャラではあった。
 だが他の男を好きになったヒロインを無理やり手籠めにすることもなく、背中をそっと後押しする紳士的なキャラだったはずだ。

 なのにどうしてだろう?

「う~っ……腹いてぇ……」

 この世界には退魔の力はあれど、怪我や病気を治す魔法はない。

「ほら薬だよ。ちゃんと飲めるかい?」

 少尉の中出しのせいで俺は腹を壊した。
 あの後、結構な時間出すことが出来なかっただけでなく、夜もまあまあ激しく抱かれたからだ。
 容赦のない行動をするくせに、俺を甲斐甲斐しく看護してくれるのも少尉である。

 こういう世話好きの優しいところは漫画のキャラと同じに見えるのに。

「ああ、このままだと飲みにくいね。手伝ってあげる」

 差し出されたコップを受け取ろうとしたらスッと引かれ、なぜか一条寺少尉がすべて飲み干す。

「えっ? そのままでも飲め……っぐぅ!」

 悪い予感は的中し、顎を掴ままれれば上向かされて強制的に口移しをされた。

 俺はゆっくりと流れ込んでくる液体を吹き出さないよう慎重に飲み込んでいく。
 最後にヌルんと少尉の肉厚な舌が入り込んできて、歯列をなぞったかと思えばシコシコと前歯の裏あたりを刺激された。

 こういった強引すぎるアピールは、漫画にはなかったはずだ。

「ふぁっ、あっ……ん」
「ふふ、可愛い。口の中も感じちゃうのか」

 零れ出た唾液を舐め取るようにチラリと舌をのぞかせながら一条寺少尉が妖艶に微笑む。

 もともと顔がいいので、ちょっとした仕草でも素敵すぎて俺は思わず息を呑んだ。
 本当にすごく、かっこいい。

「わ、わかりませんっ!」

 俺はこれ以上弄ばれたくなくて、頭まですっぽり布団を被ると丸くなる。

「そうか。なら僕と一緒に色々確認していこうね」

 少尉の手が布団越しでもわかるくらい、優しく俺の体を撫でてくれる。

 なんだか本当にとんでもない人だと思うのに。

 そっと布団から顔を出せば、優しく微笑む麗しい陽真様と目が合う。
 びっくりするほど愛しそうに俺を見つめる瞳に嘘はない。間違いなく俺はこの人に愛されているのだろう。
 
「……はい」

 だから結局、まあいいかぁと俺はあっさりと絆されてしまうのだった。
 
 □ 初デートのはずなのになんでこうなった??(完)□

 
感想 2

あなたにおすすめの小説

魔界最強に転生した社畜は、イケメン王子に奪い合われることになりました

タタミ
BL
ブラック企業に務める社畜・佐藤流嘉。 クリスマスも残業確定の非リア人生は、トラックの激突により突然終了する。 死後目覚めると、目の前で見目麗しい天使が微笑んでいた。 「ここは天国ではなく魔界です」 天使に会えたと喜んだのもつかの間、そこは天国などではなく魔法が当たり前にある世界・魔界だと知らされる。そして流嘉は、魔界に君臨する最強の支配者『至上様』に転生していたのだった。 「至上様、私に接吻を」 「あっ。ああ、接吻か……って、接吻!?なんだそれ、まさかキスですか!?」 何が起こっているのかわからないうちに、流嘉の前に現れたのは美しい4人の王子。この4王子にキスをして、結婚相手を選ばなければならないと言われて──!?

呪われた辺境伯は、異世界転生者を手放さない

波崎 亨璃
BL
ーーー呪われた辺境伯に捕まったのは、俺の方だった。 異世界に迷い込んだ駆真は「呪われた辺境伯」と呼ばれるレオニスの領地に落ちてしまう。 強すぎる魔力のせいで、人を近づけることができないレオニス。 彼に触れれば衰弱し、最悪の場合、命を落とす。 しかしカルマだけはなぜかその影響を一切受けなかった。その事実に気づいたレオニスは次第にカルマを手放さなくなっていく。 「俺に触れられるのは、お前だけだ」 呪いよりも重い執着と孤独から始まる、救済BL。 となります。

不憫王子に転生したら、獣人王太子の番になりました

織緒こん
BL
日本の大学生だった前世の記憶を持つクラフトクリフは異世界の王子に転生したものの、母親の身分が低く、同母の姉と共に継母である王妃に虐げられていた。そんなある日、父王が獣人族の国へ戦争を仕掛け、あっという間に負けてしまう。戦勝国の代表として乗り込んできたのは、なんと獅子獣人の王太子のリカルデロ! 彼は臣下にクラフトクリフを戦利品として側妃にしたらどうかとすすめられるが、王子があまりに痩せて見すぼらしいせいか、きっぱり「いらない」と断る。それでもクラフトクリフの処遇を決めかねた臣下たちは、彼をリカルデロの後宮に入れた。そこで、しばらく世話をされたクラフトクリフはやがて健康を取り戻し、再び、リカルデロと会う。すると、何故か、リカルデロは突然、クラフトクリフを溺愛し始めた。リカルデロの態度に心当たりのないクラフトクリフは情熱的な彼に戸惑うばかりで――!?

転生エルフの天才エンジニア、静かに暮らしたいのに騎士団長に捕まる〜俺の鉄壁理論は彼の溺愛パッチでバグだらけです〜

たら昆布
BL
転生したらエルフだった社畜エンジニアがのんびり森で暮らす話 騎士団長とのじれったい不器用BL

転生?憑依? 中身おっさんの俺は異世界で無双しない。ただし予想の斜め上は行く!

くすのき
BL
最初に謝っておきます! 漬物業界の方、マジすまぬ。 &本編完結、番外編も! この話は――三十路の男が、ある日突然、ラシェル・フォン・セウグとして異世界におりたち、ひょんな事から助けた8歳の双子と婚約して、ゴ◯チュウもどきから授かった力で回復薬(漬物味)を作って、なんか頑張るコメディーBLです!

転生したら本でした~スパダリ御主人様の溺愛っぷりがすごいんです~

トモモト ヨシユキ
BL
10000回の善行を知らないうちに積んでいた俺は、SSSクラスの魂として転生することになってしまったのだが、気がつくと本だった‼️ なんだ、それ! せめて、人にしてくれよ‼️ しかも、御主人様に愛されまくりってどうよ⁉️ エブリスタ、ノベリズムにも掲載しています。

引きこもり魔法使いが魔法に失敗したら、ヤンデレ補佐官が釣れた。

零壱
BL
──魔法に失敗したら、脳内お花畑になりました。 問題や事件は何も起こらない。 だが、それがいい。 可愛いは正義、可愛いは癒し。 幼児化する主人公、振り回されるヤンデレ。 お師匠やお師匠の補佐官も巻き込み、時には罪のない?第三者も巻き込み、主人公の世界だけ薔薇色・平和が保たれる。 ラブコメです。 なんも考えず勢いで読んでください。 表題作、2話、3話、5話、6話再掲です。 (同人誌紙版需要アンケート実施中) アルファ表紙絵は自力©️零壱

「隠れ有能主人公が勇者パーティから追放される話」(作者:オレ)の無能勇者に転生しました

湖町はの
BL
バスの事故で亡くなった高校生、赤谷蓮。 蓮は自らの理想を詰め込んだ“追放もの“の自作小説『勇者パーティーから追放された俺はチートスキル【皇帝】で全てを手に入れる〜後悔してももう遅い〜』の世界に転生していた。 だが、蓮が転生したのは自分の名前を付けた“隠れチート主人公“グレンではなく、グレンを追放する“無能勇者“ベルンハルト。 しかもなぜかグレンがベルンハルトに執着していて……。 「好きです。命に変えても貴方を守ります。だから、これから先の未来も、ずっと貴方の傍にいさせて」 ――オレが書いてたのはBLじゃないんですけど⁈ __________ 追放ものチート主人公×当て馬勇者のラブコメ 一部暗いシーンがありますが基本的には頭ゆるゆる (主人公たちの倫理観もけっこうゆるゆるです) ※R成分薄めです __________ 小説家になろう(ムーンライトノベルズ)にも掲載中です o,+:。☆.*・+。 お気に入り、ハート、エール、コメントとても嬉しいです\( ´ω` )/ ありがとうございます!! BL大賞ありがとうございましたm(_ _)m