6 / 26
プロローグ
第6話 『マグナアルカナ』を楽しみます
しおりを挟む
マグナアルカナ
数年前に発売されたゲームながら、今も人気があるMMORPG(大規模多人数同時参加型オンラインRPG)である。
キャラクターは冒険者として大型モンスター討伐や素材採取をギルドで受注したり、住民の依頼を受けるなどイベントが多数あり、また定期的にアップデートされるのでユーザー人口は多かった。
レベルによって受けれるクエストが変わるため、ユーザーは積極的にレベルアップに励むのだった。
◇□◇□◇□
『それでどこまでクエスト受けられそうですか? どこで合流します? クエスト受注先ですか?』
明るい康子の声がボイスチャット越しに聞こえてきた。健亮は康子がいる街を確認すると移動しながら話す。
「今、ちょうど康子さんが居る街にいるよ」
『え? どこですか? そっちに行きまよ』
「じゃあ、中央噴水前に集合って事で」
待ち合わせ場所である噴水前までやって来ると、康子が使っているキャラクターが居るのが見えた。そちらに近付きながら健亮が話しかける。
「お待たせ」
『え? これが健亮さん? あの厳ついキャラはどうしたんですか?』
「ふふふ。せっかく課金したからキャラクターを作り直したんだよ。どうだ可愛いだろう?」
目の前にやって来たキャラクターに康子が驚いていた。そんな様子に健亮は機嫌よくキャラクターにポーズを取らせていく。
健亮が今まで使っていたキャラクターは防御力重視型の戦士であり、職業に似合った筋肉隆々な大男であった。
今回、作ったキャラクターはそんなキャラとは真逆であり、細身の少女で長い銀髪、エメラルドグリーンの瞳に筋の通った鼻、はにかんだ笑顔を浮かべる様子は正に美少女と言っても過言ではなかった。
装備は華麗な装飾が施されたレイピアを差しており、防具は軽装鎧であるが貴重な素材で作られており、それとアクセサリーなで防御力アップやスキル発動をさせていた。
装備を見せびらかすようにポーズを次々と決める様子に康子はため息を吐く。
『まあ……なんというか健亮さんの好みは把握しました。こんな感じの可愛らしい女の子が好きなんですね。それで職業はなんですか? タンク職じゃないですよね? それと名前は前と一緒のアレックスですか?』
「いや、職業は魔法戦士で名前はユーフェだ。前のキャラクターは防御中心の戦士だったからな。今回は攻撃力にスキルを振ってみたんだよ。物理攻撃だけだと汎用性がないかもと思って、魔法が使えるようにしたんだ。あと細身の可愛い子が強いなんてギャップがあっていいと思わないか? そんな話は後でも出来るだろ。早くギルドに行って討伐クエストを受けようぜ」
「……。なんか健亮さんらしいけど、その姿を見ながらボイスチャットしてると違和感しかないので、テキストチャットに切り替えますね」
「なんだよそれ」
呆れたような声で康子がテキストチャットに変更した。しばらくチャットした後、ギルドに向かった2人はクエストを受注するとパーティーを組んで近くの平原に向かった。
◇□◇□◇□
『なんか健亮さんって感じな戦い方でしたね』
「なんでだよ! いいじゃん。勝てばいいんだから」
『まさかスキル編成であんな戦い方をするとは思いませんでしたよ』
「色々と試したかったからな。いい感じだったろ?」
クエストを終わらせてギルドに戻ってきた2人は再びボイスチャットで会話をしていた。
受注した討伐クエストはビックボーンと呼ばれる巨大な牛を5匹討伐であり、初級クエストの中では強い部類であった。
『ユーフェちゃんの攻撃力が異常過ぎますよ。なんですかあれ? レイピアなのに斬撃の嵐って。タンク職の時も防御重視と言いながら全部カウンターでモンスターを倒してましたけど、今回の戦い方も独特ですね』
「スキルで斬撃が取れたからレイピアでも出来るか試してみたら出来たんだよ。ちなみに鈍器でも斬撃が出せたぞ」
「もう意味が分かりません」
「はっはっは。マグナアルカナの世界は奥が深いのだよ」
健亮は久しぶりにパーティーを組んで戦闘が出来て楽しかったのか、上機嫌に会話を続けるのだった。
数年前に発売されたゲームながら、今も人気があるMMORPG(大規模多人数同時参加型オンラインRPG)である。
キャラクターは冒険者として大型モンスター討伐や素材採取をギルドで受注したり、住民の依頼を受けるなどイベントが多数あり、また定期的にアップデートされるのでユーザー人口は多かった。
レベルによって受けれるクエストが変わるため、ユーザーは積極的にレベルアップに励むのだった。
◇□◇□◇□
『それでどこまでクエスト受けられそうですか? どこで合流します? クエスト受注先ですか?』
明るい康子の声がボイスチャット越しに聞こえてきた。健亮は康子がいる街を確認すると移動しながら話す。
「今、ちょうど康子さんが居る街にいるよ」
『え? どこですか? そっちに行きまよ』
「じゃあ、中央噴水前に集合って事で」
待ち合わせ場所である噴水前までやって来ると、康子が使っているキャラクターが居るのが見えた。そちらに近付きながら健亮が話しかける。
「お待たせ」
『え? これが健亮さん? あの厳ついキャラはどうしたんですか?』
「ふふふ。せっかく課金したからキャラクターを作り直したんだよ。どうだ可愛いだろう?」
目の前にやって来たキャラクターに康子が驚いていた。そんな様子に健亮は機嫌よくキャラクターにポーズを取らせていく。
健亮が今まで使っていたキャラクターは防御力重視型の戦士であり、職業に似合った筋肉隆々な大男であった。
今回、作ったキャラクターはそんなキャラとは真逆であり、細身の少女で長い銀髪、エメラルドグリーンの瞳に筋の通った鼻、はにかんだ笑顔を浮かべる様子は正に美少女と言っても過言ではなかった。
装備は華麗な装飾が施されたレイピアを差しており、防具は軽装鎧であるが貴重な素材で作られており、それとアクセサリーなで防御力アップやスキル発動をさせていた。
装備を見せびらかすようにポーズを次々と決める様子に康子はため息を吐く。
『まあ……なんというか健亮さんの好みは把握しました。こんな感じの可愛らしい女の子が好きなんですね。それで職業はなんですか? タンク職じゃないですよね? それと名前は前と一緒のアレックスですか?』
「いや、職業は魔法戦士で名前はユーフェだ。前のキャラクターは防御中心の戦士だったからな。今回は攻撃力にスキルを振ってみたんだよ。物理攻撃だけだと汎用性がないかもと思って、魔法が使えるようにしたんだ。あと細身の可愛い子が強いなんてギャップがあっていいと思わないか? そんな話は後でも出来るだろ。早くギルドに行って討伐クエストを受けようぜ」
「……。なんか健亮さんらしいけど、その姿を見ながらボイスチャットしてると違和感しかないので、テキストチャットに切り替えますね」
「なんだよそれ」
呆れたような声で康子がテキストチャットに変更した。しばらくチャットした後、ギルドに向かった2人はクエストを受注するとパーティーを組んで近くの平原に向かった。
◇□◇□◇□
『なんか健亮さんって感じな戦い方でしたね』
「なんでだよ! いいじゃん。勝てばいいんだから」
『まさかスキル編成であんな戦い方をするとは思いませんでしたよ』
「色々と試したかったからな。いい感じだったろ?」
クエストを終わらせてギルドに戻ってきた2人は再びボイスチャットで会話をしていた。
受注した討伐クエストはビックボーンと呼ばれる巨大な牛を5匹討伐であり、初級クエストの中では強い部類であった。
『ユーフェちゃんの攻撃力が異常過ぎますよ。なんですかあれ? レイピアなのに斬撃の嵐って。タンク職の時も防御重視と言いながら全部カウンターでモンスターを倒してましたけど、今回の戦い方も独特ですね』
「スキルで斬撃が取れたからレイピアでも出来るか試してみたら出来たんだよ。ちなみに鈍器でも斬撃が出せたぞ」
「もう意味が分かりません」
「はっはっは。マグナアルカナの世界は奥が深いのだよ」
健亮は久しぶりにパーティーを組んで戦闘が出来て楽しかったのか、上機嫌に会話を続けるのだった。
1
あなたにおすすめの小説
「キヅイセ。」 ~気づいたら異世界にいた。おまけに目の前にはATMがあった。異世界転移、通算一万人目の冒険者~
あめの みかな
ファンタジー
秋月レンジ。高校2年生。
彼は気づいたら異世界にいた。
その世界は、彼が元いた世界とのゲート開通から100周年を迎え、彼は通算一万人目の冒険者だった。
科学ではなく魔法が発達した、もうひとつの地球を舞台に、秋月レンジとふたりの巫女ステラ・リヴァイアサンとピノア・カーバンクルの冒険が今始まる。
元構造解析研究者の異世界冒険譚
犬社護
ファンタジー
主人公は持水薫、女30歳、独身。趣味はあらゆる物質の立体構造を調べ眺めること、構造解析研究者であったが、地震で後輩を庇い命を落とす。魂となった彼女は女神と出会い、話をした結果、後輩を助けたこともあってスキル2つを持ってすぐに転生することになった。転生先は、地球からはるか遠く離れた惑星ガーランド、エルディア王国のある貴族の娘であった。前世の記憶を持ったまま、持水薫改めシャーロット・エルバランは誕生した。転生の際に選んだスキルは『構造解析』と『構造編集』。2つのスキルと持ち前の知能の高さを生かし、順調な異世界生活を送っていたが、とある女の子と出会った事で、人生が激変することになる。
果たして、シャーロットは新たな人生を生き抜くことが出来るのだろうか?
…………………
7歳序盤まではほのぼのとした話が続きますが、7歳中盤から未開の地へ転移されます。転移以降、物語はスローペースで進んでいきます。読者によっては、早くこの先を知りたいのに、話が進まないよと思う方もおられるかもしれません。のんびりした気持ちで読んで頂けると嬉しいです。
…………………
主人公シャーロットは、チートスキルを持っていますが、最弱スタートです。
神々の愛し子って何したらいいの?とりあえずのんびり過ごします
夜明シスカ
ファンタジー
アリュールという世界の中にある一国。
アール国で国の端っこの海に面した田舎領地に神々の寵愛を受けし者として生を受けた子。
いわゆる"神々の愛し子"というもの。
神々の寵愛を受けているというからには、大事にしましょうね。
そういうことだ。
そう、大事にしていれば国も繁栄するだけ。
簡単でしょう?
えぇ、なんなら周りも巻き込んでみーんな幸せになりませんか??
−−−−−−
新連載始まりました。
私としては初の挑戦になる内容のため、至らぬところもあると思いますが、温めで見守って下さいませ。
会話の「」前に人物の名称入れてみることにしました。
余計読みにくいかなぁ?と思いつつ。
会話がわからない!となるよりは・・
試みですね。
誤字・脱字・文章修正 随時行います。
短編タグが長編に変更になることがございます。
*タイトルの「神々の寵愛者」→「神々の愛し子」に変更しました。
男子高校生だった俺は異世界で幼児になり 訳あり筋肉ムキムキ集団に保護されました。
カヨワイさつき
ファンタジー
高校3年生の神野千明(かみの ちあき)。
今年のメインイベントは受験、
あとはたのしみにしている北海道への修学旅行。
だがそんな彼は飛行機が苦手だった。
電車バスはもちろん、ひどい乗り物酔いをするのだった。今回も飛行機で乗り物酔いをおこしトイレにこもっていたら、いつのまにか気を失った?そして、ちがう場所にいた?!
あれ?身の危険?!でも、夢の中だよな?
急死に一生?と思ったら、筋肉ムキムキのワイルドなイケメンに拾われたチアキ。
さらに、何かがおかしいと思ったら3歳児になっていた?!
変なレアスキルや神具、
八百万(やおよろず)の神の加護。
レアチート盛りだくさん?!
半ばあたりシリアス
後半ざまぁ。
訳あり幼児と訳あり集団たちとの物語。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
北海道、アイヌ語、かっこ良さげな名前
お腹がすいた時に食べたい食べ物など
思いついた名前とかをもじり、
なんとか、名前決めてます。
***
お名前使用してもいいよ💕っていう
心優しい方、教えて下さい🥺
悪役には使わないようにします、たぶん。
ちょっとオネェだったり、
アレ…だったりする程度です😁
すでに、使用オッケーしてくださった心優しい
皆様ありがとうございます😘
読んでくださる方や応援してくださる全てに
めっちゃ感謝を込めて💕
ありがとうございます💞
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
異世界に召喚されて2日目です。クズは要らないと追放され、激レアユニークスキルで危機回避したはずが、トラブル続きで泣きそうです。
もにゃむ
ファンタジー
父親に教師になる人生を強要され、父親が死ぬまで自分の望む人生を歩むことはできないと、人生を諦め淡々とした日々を送る清泉だったが、夏休みの補習中、突然4人の生徒と共に光に包まれ異世界に召喚されてしまう。
異世界召喚という非現実的な状況に、教師1年目の清泉が状況把握に努めていると、ステータスを確認したい召喚者と1人の生徒の間にトラブル発生。
ステータスではなく職業だけを鑑定することで落ち着くも、清泉と女子生徒の1人は職業がクズだから要らないと、王都追放を言い渡されてしまう。
残留組の2人の生徒にはクズな職業だと蔑みの目を向けられ、
同時に追放を言い渡された女子生徒は問題行動が多すぎて退学させるための監視対象で、
追加で追放を言い渡された男子生徒は言動に違和感ありまくりで、
清泉は1人で自由に生きるために、問題児たちからさっさと離れたいと思うのだが……
異世界で快適な生活するのに自重なんかしてられないだろ?
お子様
ファンタジー
机の引き出しから過去未来ではなく異世界へ。
飛ばされた世界で日本のような快適な生活を過ごすにはどうしたらいい?
自重して目立たないようにする?
無理無理。快適な生活を送るにはお金が必要なんだよ!
お金を稼ぎ目立っても、問題無く暮らす方法は?
主人公の考えた手段は、ドン引きされるような内容だった。
(実践出来るかどうかは別だけど)
元・神獣の世話係 ~神獣さえいればいいと解雇されたけど、心優しいもふもふ神獣は私についてくるようです!~
草乃葉オウル ◆ 書籍発売中
ファンタジー
黒き狼の神獣ガルーと契約を交わし、魔人との戦争を勝利に導いた勇者が天寿をまっとうした。
勇者の養女セフィラは悲しみに暮れつつも、婚約者である王国の王子と幸せに生きていくことを誓う。
だが、王子にとってセフィラは勇者に取り入るための道具でしかなかった。
勇者亡き今、王子はセフィラとの婚約を破棄し、新たな神獣の契約者となって力による国民の支配を目論む。
しかし、ガルーと契約を交わしていたのは最初から勇者ではなくセフィラだったのだ!
真実を知って今さら媚びてくる王子に別れを告げ、セフィラはガルーの背に乗ってお城を飛び出す。
これは少女と世話焼き神獣の癒しとグルメに満ちた気ままな旅の物語!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる