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プロローグ
第7話 『マグナアルカナ』を楽しんでいたはずだった
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『ユーフェちゃんの強さが異常です』
「ふはははー。マリアもびっくりだろう。課金の力を甘く見ないでもらおうか!」
前回のログインから1週間経ち、再びパーティーを組んだ康子が呆れたように呟いていた。康子のキャラクター名はマリアであり、健亮ことユーフェは機嫌よくマリアに向かってポーズを取る。
ユーフェはこの1週間でレベル上げをひたすらしていたようで、最上位クエストまで受けられるほど成長していた。
『なんで魔法を放ちながら物理攻撃もしているんですか? バグとかチートを使ってませんよね?』
「そんな事をするわけないだろう。そういったズルは嫌いなんだよ」
呆れた声での問い掛けに健亮が口を尖らせながら答える。
「さっき、俺が使った魔法を放ちながら物理攻撃を同時にしたように見えた方法だが、キャラクターメイキングの時に1つだけ特殊スキルが取れるのを覚えている?」
『もちろん。キャラクターを好みに育てるために、欲しい特殊スキルが出るまでリセマラしますからねー。私は【物理攻撃上昇】を取りましたよ』
「普通はそうだよなー。俺もアレックスの時は【防御力上昇】を取ったんだよ。でも今回は【収縮拡張魔法】にした」
『え? あの外れスキルですか?』
健亮の言葉に康子が驚いた声をだす。それほど健亮が取った【収縮拡張魔法】は外れスキルの代名詞であった。
実装当初は魔力を規定値以上に込められ、一点集中砲火が出来ると注目を浴びたが、スキルを発動するまで溜め時間が掛かりすぎる割に、それほど火力が出ず、だったら魔法を2回放ったほうが早いとの結論が出ており、攻略サイトでは死にスキルと呼ばれていた。
「ふっふっふ。甘いんだよなー。あのスキルは色々と融通が利くんだよ」
『攻略サイトにも載ってない情報を見付ける……て、健亮さ……本当に凄い……す……よ』
「【収縮拡張魔法】は前からずっと気になっていたんだよなー。あれ? なんか音が飛び始めたぞ?」
2人はボイスチャットで話していたが、急に康子の声が途切れ途切れになっていく事に健亮は眉をしかめる。
『そう……すか? こっ……は特に……問題な……すよ』
「あれ、俺の方がおかしいのか? ルーターの調子が悪いのかな? ちょっと待っててくれ確認してくるわ」
健亮はヘッドホンを外して立ち上がろうとしたが、急に景色が霞んでいくのを感じ倒れそうになる。
なんとか壁に寄り沿うようしながら意識を保とうとしたが、目の前はどんどん白くなっていき、最後は吐き気と共に倒れていく自分を他人事のように見ていた。
『健亮さん? なにか凄い音がしたけど大丈夫ですか? 健亮さん?』
今まで途切れいていた康子の声が、取り外したヘッドホンから小さいながらも鮮明に聞こえる事を不思議に思いながら、健亮はゆっくりと意識が薄れていくのを感じるのでだった。
◇□◇□◇□
「……ん。なんだったんだ?」
意識が戻った健亮が軽く頭を振りながら、ゆっくりと座る。気付けば吐き気はなくなっており、朦朧としていた意識をハッキリさせようと健亮はテーブルに置いてあるペットボトルに手を伸ばそうとして固まった。
「は? どこだここ?」
見慣れた自宅ではなく、景色が急変している事に気付いた健亮が慌てて立ち上がり周囲を見渡す。
今まで自宅でマグナアルカナをしていたはずである。それが何故か周囲に木々が多い茂っていた。非現実的な光景に健亮は呆然としながら周囲を見渡す。
「夢? それにしては鮮明な夢だな」
近くにある木を触りながら健亮は呟いていた。風を感じ草木が風を受けるさまもリアルであった。
なにか情報を得ようと動き始めた健亮だが、夢だと思い始めたのか表情は気楽な感じになっていた。
「夢なら早く覚めて欲しいな。せっかくの長期休暇なんだ。マグナアルカナの続きをしたいんだけどな。最終クエストを受けてレベル上限解放をしたいし、泰子さんともボイスチャットの途中だったからな」
同じような景色が続く事に健亮はゲンナリとしながら森を進んでいたが、少し離れた場所から聞いた事のない鳴き声に気付くと、その方向に向かって歩き始めた。
「なんだ? あっちになにかいるのか?」
恐る恐る隠れるように木に張り付きながら、声の方を見た健亮だったが、なんとか手で押さえて叫ぶ事を踏みとどまり木の影に隠れる。
そして再び覗き込んだ健亮の視線には、ウサギを追い回している複数の小柄な人間が見えた。
「なんだあれ人間じゃないよな。モンスター?」
呆然とした感じで健亮は呟いた。
そして冒頭の話に戻る。
「ふはははー。マリアもびっくりだろう。課金の力を甘く見ないでもらおうか!」
前回のログインから1週間経ち、再びパーティーを組んだ康子が呆れたように呟いていた。康子のキャラクター名はマリアであり、健亮ことユーフェは機嫌よくマリアに向かってポーズを取る。
ユーフェはこの1週間でレベル上げをひたすらしていたようで、最上位クエストまで受けられるほど成長していた。
『なんで魔法を放ちながら物理攻撃もしているんですか? バグとかチートを使ってませんよね?』
「そんな事をするわけないだろう。そういったズルは嫌いなんだよ」
呆れた声での問い掛けに健亮が口を尖らせながら答える。
「さっき、俺が使った魔法を放ちながら物理攻撃を同時にしたように見えた方法だが、キャラクターメイキングの時に1つだけ特殊スキルが取れるのを覚えている?」
『もちろん。キャラクターを好みに育てるために、欲しい特殊スキルが出るまでリセマラしますからねー。私は【物理攻撃上昇】を取りましたよ』
「普通はそうだよなー。俺もアレックスの時は【防御力上昇】を取ったんだよ。でも今回は【収縮拡張魔法】にした」
『え? あの外れスキルですか?』
健亮の言葉に康子が驚いた声をだす。それほど健亮が取った【収縮拡張魔法】は外れスキルの代名詞であった。
実装当初は魔力を規定値以上に込められ、一点集中砲火が出来ると注目を浴びたが、スキルを発動するまで溜め時間が掛かりすぎる割に、それほど火力が出ず、だったら魔法を2回放ったほうが早いとの結論が出ており、攻略サイトでは死にスキルと呼ばれていた。
「ふっふっふ。甘いんだよなー。あのスキルは色々と融通が利くんだよ」
『攻略サイトにも載ってない情報を見付ける……て、健亮さ……本当に凄い……す……よ』
「【収縮拡張魔法】は前からずっと気になっていたんだよなー。あれ? なんか音が飛び始めたぞ?」
2人はボイスチャットで話していたが、急に康子の声が途切れ途切れになっていく事に健亮は眉をしかめる。
『そう……すか? こっ……は特に……問題な……すよ』
「あれ、俺の方がおかしいのか? ルーターの調子が悪いのかな? ちょっと待っててくれ確認してくるわ」
健亮はヘッドホンを外して立ち上がろうとしたが、急に景色が霞んでいくのを感じ倒れそうになる。
なんとか壁に寄り沿うようしながら意識を保とうとしたが、目の前はどんどん白くなっていき、最後は吐き気と共に倒れていく自分を他人事のように見ていた。
『健亮さん? なにか凄い音がしたけど大丈夫ですか? 健亮さん?』
今まで途切れいていた康子の声が、取り外したヘッドホンから小さいながらも鮮明に聞こえる事を不思議に思いながら、健亮はゆっくりと意識が薄れていくのを感じるのでだった。
◇□◇□◇□
「……ん。なんだったんだ?」
意識が戻った健亮が軽く頭を振りながら、ゆっくりと座る。気付けば吐き気はなくなっており、朦朧としていた意識をハッキリさせようと健亮はテーブルに置いてあるペットボトルに手を伸ばそうとして固まった。
「は? どこだここ?」
見慣れた自宅ではなく、景色が急変している事に気付いた健亮が慌てて立ち上がり周囲を見渡す。
今まで自宅でマグナアルカナをしていたはずである。それが何故か周囲に木々が多い茂っていた。非現実的な光景に健亮は呆然としながら周囲を見渡す。
「夢? それにしては鮮明な夢だな」
近くにある木を触りながら健亮は呟いていた。風を感じ草木が風を受けるさまもリアルであった。
なにか情報を得ようと動き始めた健亮だが、夢だと思い始めたのか表情は気楽な感じになっていた。
「夢なら早く覚めて欲しいな。せっかくの長期休暇なんだ。マグナアルカナの続きをしたいんだけどな。最終クエストを受けてレベル上限解放をしたいし、泰子さんともボイスチャットの途中だったからな」
同じような景色が続く事に健亮はゲンナリとしながら森を進んでいたが、少し離れた場所から聞いた事のない鳴き声に気付くと、その方向に向かって歩き始めた。
「なんだ? あっちになにかいるのか?」
恐る恐る隠れるように木に張り付きながら、声の方を見た健亮だったが、なんとか手で押さえて叫ぶ事を踏みとどまり木の影に隠れる。
そして再び覗き込んだ健亮の視線には、ウサギを追い回している複数の小柄な人間が見えた。
「なんだあれ人間じゃないよな。モンスター?」
呆然とした感じで健亮は呟いた。
そして冒頭の話に戻る。
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