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情報を集めて愕然とする
第8話 一緒に近くの街に移動する
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健亮は助けてくれた冒険者達と話しながら街に向っていた。
「なるほどな。急に森に転移してしまったと」
「そうなんです。気付いたら森の中に居て、どうしたらいいのか分からなくてさまよっている内にゴブリンに襲われて」
健亮はとりあえず男性達と行動を共にする事にした。夢だとしても目覚める事がない状況ではどうしようもないとの判断である。
「それで今更なんだけど名前を聞いてもいいかな?」
「ごめんなさい。俺の名前は加藤……いえ、ユーフェと呼んでください」
本名を名乗ろうとした健亮だったが見た目は女性である。そのため、マグナアルカナで先ほどまで使っていたキャラクター名を名乗る事にしたのだ。
女性のフリをするつもりだが、ボロが出ると思った健亮は丁寧に話す事で男性とも女性とも取れるようにするのだった。
「ユーフェちゃんか。可愛らしい名前だね」
「あ、ありがとうございます。それで皆さんは冒険者なんですか?」
「ああ。見たままだよ。これでもレベル15の冒険者なんだよ!」
「へー、そうなんですね」
健亮を見て可愛いと呟いていた男性が積極に話しかけてきており、自慢げにレベルまで教えてくれた。
だが、マグナアルカナではレベル15は初心者レベルであり、健亮にとっては微笑ましく思っても凄いとは感じなかった。
あまりにも素っ気ない返答に男性はガッカリしていたが、周りの男性達は大爆笑していた。
「ブハハハハ。格好悪いぞライナルト」
「その軽さがダメなんだよ」
「人の事を怖い顔なんて言うからバチが当たったんだ」
「うっせー」
イジられているライナルトに笑っていた健亮だが他の男性等の名前も確認する。リーダーはイワンで戦士であり、軽い感じのライナルトも戦士であった。
弓を持っていた男性はロアと名乗り狩人であり、魔法使いはマーティスとの事であった。
「皆さんレベル15なのですか?」
「ああ、俺達はこれから向かう街でもトップクラスの冒険者なんだよ。ゴブリンを瞬殺出来たのは当然だ。ユーフェは本当に運が良かった。一般人だったら一緒に逃げるしかなかっただろうからな」
「そうだよ。俺達はクエストからの帰りで全員がレベル15になったから、ギルドでBランク昇格申請するんだよ。これって凄い事なんだよ!」
「へー。そうなんですねー」
レベルやランクアップの話をするライナルトに健亮ことユーフェは適当に返事をしながら、夢にしては設定が凝っていると思いつつ街に向かうのだった。
◇□◇□◇□
「ところで街に入るには身分証明がいるけど大丈夫かい?」
「え……? 身分証明書ですか?」
イワンから軽い感じで確認された健亮は悩む。夢の世界にしてはリアルすぎであり、証明書をどうしようかと考えていた。自分が何も持っていない事に気付いたからである。
「どうしましょうか? 荷物を何一つ持っていません」
「そっか。突然、森で気付いたんだったよな」
「どうすっかな。門番に説明したらなんとかしてくれるんじゃね?」
「そうだな。ここってユルイからなー」
「入場税は銅貨3枚だから、俺が立て替えておくよ。おっ! これって高ポイントじゃね?」
申し訳なさそうにしているユーフェに男性陣が特に気にしないようにと伝えてくる。ライナルトにいたっては片目を瞑りながら笑顔を浮かべており、それさえなければ高得点なのにと思いながら健亮は笑顔を浮かべた。
「イワンがリーダーを務めるパーディーだ。無事に帰ってきたので門を通りたい」
「おお。無事に帰ってきたか。ところで男だけのむさ苦しい4人パーティーだったはずだよな。1人多いみたいだが?」
イワンの申告に門番がユーフェを見ながら探るような目を向けてきた。全てを見透かすよな視線に居心地悪そうにしているユーフェだったが、他の男性陣が庇うように間に入った。
「なあ、おっさん。この子は森に突然飛ばされたらしいんだよ」
「そうそう。ゴブリンに襲われていてさ。俺達が助けんだ」
ライナルトとマーティスの言葉に門番はため息を吐くと「仕方ねえな」と呟きながらユーフェに話しかけた。
「なるほどな。急に森に転移してしまったと」
「そうなんです。気付いたら森の中に居て、どうしたらいいのか分からなくてさまよっている内にゴブリンに襲われて」
健亮はとりあえず男性達と行動を共にする事にした。夢だとしても目覚める事がない状況ではどうしようもないとの判断である。
「それで今更なんだけど名前を聞いてもいいかな?」
「ごめんなさい。俺の名前は加藤……いえ、ユーフェと呼んでください」
本名を名乗ろうとした健亮だったが見た目は女性である。そのため、マグナアルカナで先ほどまで使っていたキャラクター名を名乗る事にしたのだ。
女性のフリをするつもりだが、ボロが出ると思った健亮は丁寧に話す事で男性とも女性とも取れるようにするのだった。
「ユーフェちゃんか。可愛らしい名前だね」
「あ、ありがとうございます。それで皆さんは冒険者なんですか?」
「ああ。見たままだよ。これでもレベル15の冒険者なんだよ!」
「へー、そうなんですね」
健亮を見て可愛いと呟いていた男性が積極に話しかけてきており、自慢げにレベルまで教えてくれた。
だが、マグナアルカナではレベル15は初心者レベルであり、健亮にとっては微笑ましく思っても凄いとは感じなかった。
あまりにも素っ気ない返答に男性はガッカリしていたが、周りの男性達は大爆笑していた。
「ブハハハハ。格好悪いぞライナルト」
「その軽さがダメなんだよ」
「人の事を怖い顔なんて言うからバチが当たったんだ」
「うっせー」
イジられているライナルトに笑っていた健亮だが他の男性等の名前も確認する。リーダーはイワンで戦士であり、軽い感じのライナルトも戦士であった。
弓を持っていた男性はロアと名乗り狩人であり、魔法使いはマーティスとの事であった。
「皆さんレベル15なのですか?」
「ああ、俺達はこれから向かう街でもトップクラスの冒険者なんだよ。ゴブリンを瞬殺出来たのは当然だ。ユーフェは本当に運が良かった。一般人だったら一緒に逃げるしかなかっただろうからな」
「そうだよ。俺達はクエストからの帰りで全員がレベル15になったから、ギルドでBランク昇格申請するんだよ。これって凄い事なんだよ!」
「へー。そうなんですねー」
レベルやランクアップの話をするライナルトに健亮ことユーフェは適当に返事をしながら、夢にしては設定が凝っていると思いつつ街に向かうのだった。
◇□◇□◇□
「ところで街に入るには身分証明がいるけど大丈夫かい?」
「え……? 身分証明書ですか?」
イワンから軽い感じで確認された健亮は悩む。夢の世界にしてはリアルすぎであり、証明書をどうしようかと考えていた。自分が何も持っていない事に気付いたからである。
「どうしましょうか? 荷物を何一つ持っていません」
「そっか。突然、森で気付いたんだったよな」
「どうすっかな。門番に説明したらなんとかしてくれるんじゃね?」
「そうだな。ここってユルイからなー」
「入場税は銅貨3枚だから、俺が立て替えておくよ。おっ! これって高ポイントじゃね?」
申し訳なさそうにしているユーフェに男性陣が特に気にしないようにと伝えてくる。ライナルトにいたっては片目を瞑りながら笑顔を浮かべており、それさえなければ高得点なのにと思いながら健亮は笑顔を浮かべた。
「イワンがリーダーを務めるパーディーだ。無事に帰ってきたので門を通りたい」
「おお。無事に帰ってきたか。ところで男だけのむさ苦しい4人パーティーだったはずだよな。1人多いみたいだが?」
イワンの申告に門番がユーフェを見ながら探るような目を向けてきた。全てを見透かすよな視線に居心地悪そうにしているユーフェだったが、他の男性陣が庇うように間に入った。
「なあ、おっさん。この子は森に突然飛ばされたらしいんだよ」
「そうそう。ゴブリンに襲われていてさ。俺達が助けんだ」
ライナルトとマーティスの言葉に門番はため息を吐くと「仕方ねえな」と呟きながらユーフェに話しかけた。
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