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プロローグ
兄ギュンターの視線
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ユーファネートが高熱で倒れる。
それを聞いた時にギュンターは「当たり前だ」と呟いていた。物心が付くまでは仲良くしていた記憶がある。しかし、半年前の10才の誕生日を迎えた頃からわがままが急に激しくなり始めていた。気にくわないメイドはすぐに代える。食事も甘いお菓子やジュースしか食べず、料理長が色々と苦労してユーファネートが食べられるであろう献立を考えるも一口も食べずにいた。
「いい加減にしろ。誕生日にと用意した料理長の苦心を無駄にするのか!」
「私が食べたくない物を作る方が悪いのです。お父様、そんな者は首にして新しい料理長を雇って下さいませ」
一度、ユーファネート10才誕生日の席での態度に業を煮やしたギュンターが注意をしたが、逆ギレされてしまい、それ以降は視線を合わす事も注意すらしなくなっていた。そこからユーファネートのわがままが加速しているように感じながらも、関わり合いになるのを嫌がり、本人ではなく父親であるアルベリヒに注意するように頼んだが、苦笑いされながら拒否された。
「まだユーファネートは10才になったばかりだ。これくらいのわがままなら許容範囲だよ。さすがに料理長を代えたりはしないけどね。それよりも剣術の稽古は順調かい?」
「後になって後悔しても知りませんよ。それと俺はユーファネートの行いを許しません」
あまりにも妹に甘すぎないか? そう思いながらもギュンターは剣術や領地経営の勉強を行う。そして、色々と分かってきた事があった。父親が治めるライネワルト公領は裕福ながらも、徐々に生産高が落ちてきている事に。鉱山やダンジョンなどの資源に変わりはなかったが、農業においては食料自給率が顕著に低下していた。
「父上。この数年で食料自給率が落ちています。なぜ観賞用の薔薇の増産をしているのですか? 食料を他領から購入するのも良いですが、飢饉が発生すると、購入出来なくなり領民に餓死者が出てしまいます」
「ああ。それはユーファネートが薔薇が好きだと言ったからね。小麦畑を潰して薔薇に切替えたのだ。……。嗜好品なので高くも売れるからね」
さも当然とばかりの回答にギュンターは開いた口がふさがらない状態だった。薔薇が好きな娘の為に? いや、生産自給率が下がるほどの転作? 思わず父親を凝視していたギュンターにアルベリヒはばつが悪そうに視線を逸らすと、咳払いを始めた。
「んん! そんな事より新しい執事候補を雇ったのだよ。ユーファネートがどうしても雇って欲しいと言ったからね」
「は? ユーファネート専属の執事ですか?」
それは可哀想にとの言葉を飲み込んだギュンターは、話を聞くと少しユーファネートの事を見直した。孤児院で苦労しているセバスチャンの一家を救ったと思ったからである。
「セバスチャンを雇ったそうだな?」
「誰の事ですの? ああ、あの孤児院で拾った者ですか。顔が良かったので雇いましたそれがなにか?」
ギュンターの問い掛けに誰の事を話しているのか分かっていないユーファネートに愕然していると、なんとか思い出したのか顔だけで選んだと言われてしまう。セバスチャン一家の内情に興味がないとしか取れない発言にギュンターは顔を歪ませる。
「いや、聞いた俺が馬鹿だった。お前はやはりユーファネートだよ」
あれから半年。
「いったいあいつはどうしたんだ?」
高熱を出し寝込んでからユーファネートが劇的に変わったように見えた。熱が引いた翌日の朝食では、今までの偏食が嘘のように全ての料理を食べ、料理長に感謝の言葉さえ述べていた。また、1週間後に控えていたレオンハルト王子とのお茶会も体調不良を理由に1ヶ月延期しており、その間になにやら練習をしているようだった。
「セバスチャン。ユーファネートはなにをしているんだ?」
「ギュンター様。ユーファネート様はレオンハルト殿下をお迎えする為には今のままでは駄目だと、ダンスやドレスのリフォームと、殿下との会話で必要な勉強をされております。流石はユーファネート様です」
数日見ない間にセバスチャンの様子が変わっており、完全にユーファネートに心酔しているようであった。ユーファネートを語る時の口調が尊敬に満ち溢れており、主の為ならどんな事でもする強い意志を感じられた。それよりも驚いたのはユーファネートの行動である。
「は? ユーファネートが勉強? いや待てドレスのリフォームだと? 新しく買わずにか?」
「はい。『無駄にドレスを買わなくてもリフォームすればいいのです。このドレスは1回しか来てないのでしょう?』との事です。それ以外の小さくなったドレスは売却され、孤児院に寄付をされました。それに私の妹達にも洋服をプレゼントして下さり、さらには――」
「待て待て待て。誰の話をしているのだ? ユーファネートの話だよな?」
「はい! ユーファネート様の話です! 申し訳ございません。紅茶をユーファネート様に用意しないといけませんので、これで失礼します」
「あ、ああ」
慌ててこの場から去って行くセバスチャンを眺めながら、ギュンターはユーファネートになにがあったのかと本気で悩みながらもセバスチャンから話を聞いていた。だが良い方向に向かっている事には違いないと思いつつも、今までの行動からなにかを企んでいる可能性も捨てきれずにいた。
「少し確認するか。セバスチャンの話なら今は家庭教師と一緒か?」
そう呟きながらギュンターはユーファネートがいる書斎に向かった。
それを聞いた時にギュンターは「当たり前だ」と呟いていた。物心が付くまでは仲良くしていた記憶がある。しかし、半年前の10才の誕生日を迎えた頃からわがままが急に激しくなり始めていた。気にくわないメイドはすぐに代える。食事も甘いお菓子やジュースしか食べず、料理長が色々と苦労してユーファネートが食べられるであろう献立を考えるも一口も食べずにいた。
「いい加減にしろ。誕生日にと用意した料理長の苦心を無駄にするのか!」
「私が食べたくない物を作る方が悪いのです。お父様、そんな者は首にして新しい料理長を雇って下さいませ」
一度、ユーファネート10才誕生日の席での態度に業を煮やしたギュンターが注意をしたが、逆ギレされてしまい、それ以降は視線を合わす事も注意すらしなくなっていた。そこからユーファネートのわがままが加速しているように感じながらも、関わり合いになるのを嫌がり、本人ではなく父親であるアルベリヒに注意するように頼んだが、苦笑いされながら拒否された。
「まだユーファネートは10才になったばかりだ。これくらいのわがままなら許容範囲だよ。さすがに料理長を代えたりはしないけどね。それよりも剣術の稽古は順調かい?」
「後になって後悔しても知りませんよ。それと俺はユーファネートの行いを許しません」
あまりにも妹に甘すぎないか? そう思いながらもギュンターは剣術や領地経営の勉強を行う。そして、色々と分かってきた事があった。父親が治めるライネワルト公領は裕福ながらも、徐々に生産高が落ちてきている事に。鉱山やダンジョンなどの資源に変わりはなかったが、農業においては食料自給率が顕著に低下していた。
「父上。この数年で食料自給率が落ちています。なぜ観賞用の薔薇の増産をしているのですか? 食料を他領から購入するのも良いですが、飢饉が発生すると、購入出来なくなり領民に餓死者が出てしまいます」
「ああ。それはユーファネートが薔薇が好きだと言ったからね。小麦畑を潰して薔薇に切替えたのだ。……。嗜好品なので高くも売れるからね」
さも当然とばかりの回答にギュンターは開いた口がふさがらない状態だった。薔薇が好きな娘の為に? いや、生産自給率が下がるほどの転作? 思わず父親を凝視していたギュンターにアルベリヒはばつが悪そうに視線を逸らすと、咳払いを始めた。
「んん! そんな事より新しい執事候補を雇ったのだよ。ユーファネートがどうしても雇って欲しいと言ったからね」
「は? ユーファネート専属の執事ですか?」
それは可哀想にとの言葉を飲み込んだギュンターは、話を聞くと少しユーファネートの事を見直した。孤児院で苦労しているセバスチャンの一家を救ったと思ったからである。
「セバスチャンを雇ったそうだな?」
「誰の事ですの? ああ、あの孤児院で拾った者ですか。顔が良かったので雇いましたそれがなにか?」
ギュンターの問い掛けに誰の事を話しているのか分かっていないユーファネートに愕然していると、なんとか思い出したのか顔だけで選んだと言われてしまう。セバスチャン一家の内情に興味がないとしか取れない発言にギュンターは顔を歪ませる。
「いや、聞いた俺が馬鹿だった。お前はやはりユーファネートだよ」
あれから半年。
「いったいあいつはどうしたんだ?」
高熱を出し寝込んでからユーファネートが劇的に変わったように見えた。熱が引いた翌日の朝食では、今までの偏食が嘘のように全ての料理を食べ、料理長に感謝の言葉さえ述べていた。また、1週間後に控えていたレオンハルト王子とのお茶会も体調不良を理由に1ヶ月延期しており、その間になにやら練習をしているようだった。
「セバスチャン。ユーファネートはなにをしているんだ?」
「ギュンター様。ユーファネート様はレオンハルト殿下をお迎えする為には今のままでは駄目だと、ダンスやドレスのリフォームと、殿下との会話で必要な勉強をされております。流石はユーファネート様です」
数日見ない間にセバスチャンの様子が変わっており、完全にユーファネートに心酔しているようであった。ユーファネートを語る時の口調が尊敬に満ち溢れており、主の為ならどんな事でもする強い意志を感じられた。それよりも驚いたのはユーファネートの行動である。
「は? ユーファネートが勉強? いや待てドレスのリフォームだと? 新しく買わずにか?」
「はい。『無駄にドレスを買わなくてもリフォームすればいいのです。このドレスは1回しか来てないのでしょう?』との事です。それ以外の小さくなったドレスは売却され、孤児院に寄付をされました。それに私の妹達にも洋服をプレゼントして下さり、さらには――」
「待て待て待て。誰の話をしているのだ? ユーファネートの話だよな?」
「はい! ユーファネート様の話です! 申し訳ございません。紅茶をユーファネート様に用意しないといけませんので、これで失礼します」
「あ、ああ」
慌ててこの場から去って行くセバスチャンを眺めながら、ギュンターはユーファネートになにがあったのかと本気で悩みながらもセバスチャンから話を聞いていた。だが良い方向に向かっている事には違いないと思いつつも、今までの行動からなにかを企んでいる可能性も捨てきれずにいた。
「少し確認するか。セバスチャンの話なら今は家庭教師と一緒か?」
そう呟きながらギュンターはユーファネートがいる書斎に向かった。
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