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前編
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これは2018年の9月の話です。
そして連載を始めましたが、書いた事のない一人称で始めたために、結局は途中で更新が止まっております。近い内に三人称で書き直したいなー。
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【旅立ち前】
「なぜ伏見稲荷大社への取材を?」
そんな質問をされたならば「私が物の怪の話しを書こうと思ったからです」と答えた事でしょう。物の怪なら近所の伏見稲荷大社がいいよね。近いし取材にも行きやすいし。
それと、当時の担当者さんから「今の流行は物の怪ですよ! 京都ですよ! 伏見稲荷ですよ! うっちーさんは京都に住んでるから、いっぱい書けますって! 取材も出来るでしょ!」と熱いアドバイスをもらったのもありました。そして連載を始め、続きを書こうとして問題が発生しました。
行き詰まったのです。
出だしの部分は良いのですよ。まだ、主人公は宿泊先から出ずに進みますから。そこに京都要素を埋め込ませつつ、阿闍梨餅や緑寿園紫水の金平糖など、私のお気に入りを出して誤魔か――お茶を濁す事には成功していたのです。
でも限界です。
「ダメだ、このままでは『伏見じゃなくても良いですよね?』や『妖狐を出せばいいと思ってません?』とか『ストーリーは相変わらずテンプレですね』などの感想が来るかもしれない!」
ちょっとまって! テンプレのなにが悪いの! どの物語にもテンプレはありますよ。そもそもテンプレとは王道であり普遍的な安心感があるのですよ! それを――すいません。ちょっと妄想で興奮してしまいました。
要するにネタが切れた訳ですよ。(おい)
だって! ファンタジーなら脳内ワールドで強引に書けますが、現代物では「多少ぶっ飛んでてもOK」とはならないのです。しっかりと検証して信憑性を持たせるようにしたいわけです。しかしネットと本で仕入れる情報では限界があります。
そこで閃きました。
「そうだ、伏見稲荷大社に取材に行こう」
タイトルにもある『自腹取材と言い張り、奥さんと伏見稲荷大社へデートしてきた話』になるわけです。やっとタイトルの一部が回収できました。ホッと一息です。やったね。
そして大事な『奥さんと~』の部分です。
なんで伏見稲荷大社に一人で行かないとダメなのでしょうか? 伏見稲荷大社はデートスポットでもあります。 1人で行って「あのおじさんは1人で伏見稲荷大社に来てるわ」とか「おもかる石を持って『やったー。願いがかなうー』とか叫ぶのかしら?」とか、周りのカップルからプークスクスと言われるかもしれません(作者の偏った感想)。
作品の主人公は一人で伏見稲荷大社に行かせましたが、それは物語上であり「仕方なく」なのです。
なんで男一人で「わー。プリンアイスが美味しそう♪」とか「冷凍ミカンを袋詰めにするだけで売れるの?」や「かに肉棒に興味がぁぁぁぁ!」「おぉ! あれが雀の炭火焼きか。高っ! 500円って高っ!」とかしないとダメなのよ! 冗談じゃないわ! やめてちょうだい!(なぜお姉口調?)
そこで考えました。「そうだ。奥さんを連れて行こう」名案に気をよくした私は作戦を考えます。土日が関係ない職場に働きに出ていて忙しい奥さん。その変則的な休みを調整して私と伏見稲荷大社に行ってくれるだろうか?
結婚して20年近く経つ(上の子が高校生だからね? いい年なのですよ)ので、デートの誘いを改めてするのは緊張します。しかし、このままではらちがあかないと決心した私は、洗い物をしている奥さんに緊張しながら声を掛けます。
「取材で伏見稲荷大社に行きたいから付いてきてくれへん?」
誘い方! デートの誘い方じゃないよ!? え? 取材だから普通だろですって? 知ってる!
「いいよ。いつ行くの? 土曜やったら仕事も休みを取るようにするよ?」
天使がいる。こんな愛らしい天使を見た事がない。
休みは家や子供の用事をこなし、そして「ほんまにユックリできひんわー」と嘆いていたよね? ひょっとして執筆中に「うーん。リアリティがー」と嘆いてたのを覚えててくれたのかな? そんな奥さんの気遣いに涙しそうになりながらワクワクして日程を伝え、奥さんもお昼ご飯の場所や伏見で帰る和菓子などを調べ始めているようです。
「丸もちの中にあんこが入っているお店があるよ! こんな店もあるんやー」
あれ? 意外と奥さんがノリノリだ。ひょっとして息抜きが必要なのはお互い様だったとか? 思っていたよりも楽しそうにしてくれる奥さんの笑顔に惚れ直しながら、デート(取材)の日程を決めました。デート日の天気予報が雨になっているのが若干不安。
【当日】
私は「晴れ男」です。今まで遊びに行って雨が降ったのは数えるほど。そんな私の能力が全力で発動し、当日は曇り空。念のために折りたたみ傘をセッティングして戸締まりの確認です。2階で高校生の息子が夜更かし疲れで、グースカと寝ているのを放置して鍵を掛けて出発です。
最寄りの駅から京阪伏見稲荷駅までの切符を買います。奥さんが財布を出そうとしているのを「1万円を崩したいから」と言って、無駄にドヤ顔して押し止めて切符を購入します。
そして、途中で乗り換え電車の中で広告を2人で楽しみながら伏見稲荷駅に到着です。駅に降りると柱がオレンジ。さすが伏見稲荷の鳥居カラー! (ちなみにJR稲荷駅の柱もオレンジです)
構内には「ふしみいなり」と書かれた看板があちらこちらにあり、伏見稲荷大社周辺のマップが描かれております。駅を出てすぐなので観光客も多く、家が近所なのに混んでる時間帯に来た事がないなー。と改めて思いました。
そして、伏見稲荷大社に向かっていくと、お店、お店、お店のオンパレード。喫茶店やパン屋さんもあります。どこも美味しそうです。ですが朝ご飯を食べたばかりです。涙を飲んで通り過ぎます。
そしてガチャガチャを発見します。「お稲荷さんきつね」が全力で推されています。6個並んでいるガチャガチャの内、4個が「お稲荷さんきつね」です。残りの1個はポケモ○関係ですが、京都の観光名所が入っている中にポケ○ンが堂々と鎮座しています。あまりにもガチャガチャを凝視している私に奥さんが話し掛けてきます。
「どうかしたん?」
「お稲荷さんきつねが多いなと思って」
「ほんまやなー。こっちは巾着のガチャガチャがあるよー」
ほう。それは私がやらねば! 無駄な使命感をむき出しにし、100円玉を3枚握りしめるとガチャガチャを回します。我が子がまだ小さい頃は「あれやりたい!」との言葉に、なんども両替しながら何度もしていたガチャガチャですが、そんな子供も大きくなり、ガチャガチャをするのも久しぶりです。
そして出てきたのは鳥居をバックに背負い、稲を咥えたお稲荷さんきつねです。
やだ、本気で超可愛いんだけど。
1人でホコホコしているのをじっと見ている奥さん。そして私は黙って100円玉を奥さんに差し出します。戸惑っている奥さんの手を握って300円を渡すと、小さく頷いて巾着のガチャガチャを回し始めます。そして笑みを浮かべていた奥さんの顔が困惑に変わります。
「なんか詰まって出てきいひん(出てこない)」
そしてお約束のように出てこないガチャ玉。なんどか悪戦苦闘しているのを見かねた私が声を掛けます。
「やるわ。任せとき」
そして勢いよく「ぐらぁぁぁ」と擬音が聞こえるほど勢いよく回します。しばらく抵抗していたガチャガチャでしたが、力尽きてガチャ玉を吐き出してくれます。ふっ! 最初から抵抗せねば苦しまずに済んだものを。そしてドヤ顔で奥さんにガチャ玉を手渡します。巾着は伏見稲荷のきつねさんが描かれた小物を入れるのに丁度良い大きさです。
「なんに使おうかなー」
可愛らしい絵柄を見てニコニコしている奥さんが可愛いよなーと眺めながら、旅先ではいつもどちらかが「オチ担当」のようにトラブルやイベントがあるなーと思いながら先に進みます。
そして連載を始めましたが、書いた事のない一人称で始めたために、結局は途中で更新が止まっております。近い内に三人称で書き直したいなー。
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【旅立ち前】
「なぜ伏見稲荷大社への取材を?」
そんな質問をされたならば「私が物の怪の話しを書こうと思ったからです」と答えた事でしょう。物の怪なら近所の伏見稲荷大社がいいよね。近いし取材にも行きやすいし。
それと、当時の担当者さんから「今の流行は物の怪ですよ! 京都ですよ! 伏見稲荷ですよ! うっちーさんは京都に住んでるから、いっぱい書けますって! 取材も出来るでしょ!」と熱いアドバイスをもらったのもありました。そして連載を始め、続きを書こうとして問題が発生しました。
行き詰まったのです。
出だしの部分は良いのですよ。まだ、主人公は宿泊先から出ずに進みますから。そこに京都要素を埋め込ませつつ、阿闍梨餅や緑寿園紫水の金平糖など、私のお気に入りを出して誤魔か――お茶を濁す事には成功していたのです。
でも限界です。
「ダメだ、このままでは『伏見じゃなくても良いですよね?』や『妖狐を出せばいいと思ってません?』とか『ストーリーは相変わらずテンプレですね』などの感想が来るかもしれない!」
ちょっとまって! テンプレのなにが悪いの! どの物語にもテンプレはありますよ。そもそもテンプレとは王道であり普遍的な安心感があるのですよ! それを――すいません。ちょっと妄想で興奮してしまいました。
要するにネタが切れた訳ですよ。(おい)
だって! ファンタジーなら脳内ワールドで強引に書けますが、現代物では「多少ぶっ飛んでてもOK」とはならないのです。しっかりと検証して信憑性を持たせるようにしたいわけです。しかしネットと本で仕入れる情報では限界があります。
そこで閃きました。
「そうだ、伏見稲荷大社に取材に行こう」
タイトルにもある『自腹取材と言い張り、奥さんと伏見稲荷大社へデートしてきた話』になるわけです。やっとタイトルの一部が回収できました。ホッと一息です。やったね。
そして大事な『奥さんと~』の部分です。
なんで伏見稲荷大社に一人で行かないとダメなのでしょうか? 伏見稲荷大社はデートスポットでもあります。 1人で行って「あのおじさんは1人で伏見稲荷大社に来てるわ」とか「おもかる石を持って『やったー。願いがかなうー』とか叫ぶのかしら?」とか、周りのカップルからプークスクスと言われるかもしれません(作者の偏った感想)。
作品の主人公は一人で伏見稲荷大社に行かせましたが、それは物語上であり「仕方なく」なのです。
なんで男一人で「わー。プリンアイスが美味しそう♪」とか「冷凍ミカンを袋詰めにするだけで売れるの?」や「かに肉棒に興味がぁぁぁぁ!」「おぉ! あれが雀の炭火焼きか。高っ! 500円って高っ!」とかしないとダメなのよ! 冗談じゃないわ! やめてちょうだい!(なぜお姉口調?)
そこで考えました。「そうだ。奥さんを連れて行こう」名案に気をよくした私は作戦を考えます。土日が関係ない職場に働きに出ていて忙しい奥さん。その変則的な休みを調整して私と伏見稲荷大社に行ってくれるだろうか?
結婚して20年近く経つ(上の子が高校生だからね? いい年なのですよ)ので、デートの誘いを改めてするのは緊張します。しかし、このままではらちがあかないと決心した私は、洗い物をしている奥さんに緊張しながら声を掛けます。
「取材で伏見稲荷大社に行きたいから付いてきてくれへん?」
誘い方! デートの誘い方じゃないよ!? え? 取材だから普通だろですって? 知ってる!
「いいよ。いつ行くの? 土曜やったら仕事も休みを取るようにするよ?」
天使がいる。こんな愛らしい天使を見た事がない。
休みは家や子供の用事をこなし、そして「ほんまにユックリできひんわー」と嘆いていたよね? ひょっとして執筆中に「うーん。リアリティがー」と嘆いてたのを覚えててくれたのかな? そんな奥さんの気遣いに涙しそうになりながらワクワクして日程を伝え、奥さんもお昼ご飯の場所や伏見で帰る和菓子などを調べ始めているようです。
「丸もちの中にあんこが入っているお店があるよ! こんな店もあるんやー」
あれ? 意外と奥さんがノリノリだ。ひょっとして息抜きが必要なのはお互い様だったとか? 思っていたよりも楽しそうにしてくれる奥さんの笑顔に惚れ直しながら、デート(取材)の日程を決めました。デート日の天気予報が雨になっているのが若干不安。
【当日】
私は「晴れ男」です。今まで遊びに行って雨が降ったのは数えるほど。そんな私の能力が全力で発動し、当日は曇り空。念のために折りたたみ傘をセッティングして戸締まりの確認です。2階で高校生の息子が夜更かし疲れで、グースカと寝ているのを放置して鍵を掛けて出発です。
最寄りの駅から京阪伏見稲荷駅までの切符を買います。奥さんが財布を出そうとしているのを「1万円を崩したいから」と言って、無駄にドヤ顔して押し止めて切符を購入します。
そして、途中で乗り換え電車の中で広告を2人で楽しみながら伏見稲荷駅に到着です。駅に降りると柱がオレンジ。さすが伏見稲荷の鳥居カラー! (ちなみにJR稲荷駅の柱もオレンジです)
構内には「ふしみいなり」と書かれた看板があちらこちらにあり、伏見稲荷大社周辺のマップが描かれております。駅を出てすぐなので観光客も多く、家が近所なのに混んでる時間帯に来た事がないなー。と改めて思いました。
そして、伏見稲荷大社に向かっていくと、お店、お店、お店のオンパレード。喫茶店やパン屋さんもあります。どこも美味しそうです。ですが朝ご飯を食べたばかりです。涙を飲んで通り過ぎます。
そしてガチャガチャを発見します。「お稲荷さんきつね」が全力で推されています。6個並んでいるガチャガチャの内、4個が「お稲荷さんきつね」です。残りの1個はポケモ○関係ですが、京都の観光名所が入っている中にポケ○ンが堂々と鎮座しています。あまりにもガチャガチャを凝視している私に奥さんが話し掛けてきます。
「どうかしたん?」
「お稲荷さんきつねが多いなと思って」
「ほんまやなー。こっちは巾着のガチャガチャがあるよー」
ほう。それは私がやらねば! 無駄な使命感をむき出しにし、100円玉を3枚握りしめるとガチャガチャを回します。我が子がまだ小さい頃は「あれやりたい!」との言葉に、なんども両替しながら何度もしていたガチャガチャですが、そんな子供も大きくなり、ガチャガチャをするのも久しぶりです。
そして出てきたのは鳥居をバックに背負い、稲を咥えたお稲荷さんきつねです。
やだ、本気で超可愛いんだけど。
1人でホコホコしているのをじっと見ている奥さん。そして私は黙って100円玉を奥さんに差し出します。戸惑っている奥さんの手を握って300円を渡すと、小さく頷いて巾着のガチャガチャを回し始めます。そして笑みを浮かべていた奥さんの顔が困惑に変わります。
「なんか詰まって出てきいひん(出てこない)」
そしてお約束のように出てこないガチャ玉。なんどか悪戦苦闘しているのを見かねた私が声を掛けます。
「やるわ。任せとき」
そして勢いよく「ぐらぁぁぁ」と擬音が聞こえるほど勢いよく回します。しばらく抵抗していたガチャガチャでしたが、力尽きてガチャ玉を吐き出してくれます。ふっ! 最初から抵抗せねば苦しまずに済んだものを。そしてドヤ顔で奥さんにガチャ玉を手渡します。巾着は伏見稲荷のきつねさんが描かれた小物を入れるのに丁度良い大きさです。
「なんに使おうかなー」
可愛らしい絵柄を見てニコニコしている奥さんが可愛いよなーと眺めながら、旅先ではいつもどちらかが「オチ担当」のようにトラブルやイベントがあるなーと思いながら先に進みます。
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