伏見稲荷で出会った可愛い妖狐の葉子ちゃんと綺麗な楓さん。そして普通なはずの私

うっちー(羽智 遊紀)

文字の大きさ
9 / 16
もののけとの出会い

9

しおりを挟む
「伏見稲荷大社の敷地内での散歩に飽きた妾は禁を破っ――遠出をする事にしたのじゃ。そこでお主を見かけて気になったのじゃ!」

「うんうん。……。え? 終わり?」

「うむ!」

 え? なんで? なんでそんなに満足げなの? 全て言い切ったみたいな顔してるけど、情報は1ミリも増えてないよ? そんな困惑している私に気付く事なく、葉子ちゃんが話してくる。

「妾も美裕に聞きたい事がある」

「ん? なにかな?」

 真剣な目で私を見ている葉子ちゃんに思わずドキッとする。見た目は幼女で可愛いのに、目だけが爛々と輝いて大人びてるの。

 ギャップに萌えるよね!

「……。また、妙な事を考えておらんか? ……。まあ、よい。妾が聞きたいのは美裕の霊能力の高さじゃ!」

「はい?」

 思わず間抜けな声を出したけど勘弁して欲しい。いきなり霊能力が高いと言われても身に覚えも、心当たりも皆無だよ。

「昨日の夜、妾を弾き飛ばした結界。妾が放った拘束する力を霧散させた美裕の拒絶の力。それと神の眷属けんぞくである妾を素手で拘束し続けた力。本当に何者じゃ?」

「『何者じゃ?』と言われましても……。可愛い物が大好きな普通のOLで、大人しい女の子だよ!」

 みゃは! と、普段なら絶対にしない動作まで入れたのに葉子ちゃんの反応は悪かった。あれ? やっぱダメ? ごめん、そんな目で見ないで。やった私も「ないわー」と思ってるから。

 でも、本当にこれ以上の情報はないよ?

「なるほどな。無自覚の高位霊力者か。厄介じゃの。それにしても妾の力を無力化するほどの逸材を、なぜ今世こんせの陰陽師達は放置しておるのか?」

 葉子ちゃんがブツブツとなにか独り言を言っているね。どうすっかなー。暇だなー。でも、尻尾を触ったら怒るんだろうなー。こっそりモフってみる?

「でもバレるだろうなー。どうすればバレないようにモフれるかなー? そうだ! まずは背後から抱きしめてお持ち帰りする案がいいと思います! おお! それは良い案ですね。その通りですね。それは素晴らしいアイディアですねー」

「じゃから! 心の声が漏れておると言うとる!  その物騒な発想なんとかせんか!」

「いやだなー。そんな事ないよー。ごく一般的な考え方だよー。当たり前の話だよー」

「さも自分が普通みたいな言い方をするでないわ!」

 あれ? いきなり距離を取られちゃった。コワクナイヨー。むしろ怖いのは物の怪の方だよー。あっ! でも葉子ちゃんは別格だよ。幼女で妖狐は正義だよ! ん? さっき、葉子ちゃんは『昨日の夜』と言った?

「葉子ちゃん。ちょっと確認だけど。昨日、2段ベッドの上から覗いていたのは葉子ちゃんなの? 物凄く怖かったんだよ?」

「昨日は妾の力を恐れておったのか。その割には今日はグイグイくるのう。なぜじゃ?」

 こてん。と首を傾げながら問い掛けてくる葉子ちゃんが不思議そうにしてる。まさか、あの怖いと思った視線が葉子ちゃんだったとは……。

「なんたる不覚!」

「にゃー! な、なんじゃ突然叫びおってからに! 驚くではないか!」

「これを不覚と言わずになんというのよ! 怖がっていたのが馬鹿みたいじゃない。葉子ちゃんだと分かっていたら、捕獲して朝までモフって愛でて抱きしめたのに!」 

 私が後悔を含めて鼻をピスピスさせながら叫んでいると、なにか可哀想な者を見る目で葉子ちゃんが私を見ていた。

「本当に残念なやつじゃの。美裕は」

 なんでため息を吐くかな? この私の熱い思いを! 心の底からの後悔を感じ取って欲しいのだよ!
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

ママはヤンママ女子高生! ラン&ジュリー!!

オズ研究所《横須賀ストーリー紅白へ》
キャラ文芸
神崎ラン(♂)の父親の再婚相手は幼馴染みで女子高生の高原ジュリー(♀)だった。 ジュリーは金髪美少女だが、地元では『ワイルドビーナス』の異名を取る有名なヤンキーだった。 学校ではジュリーは、ランを使いっ走りにしていた。 当然のようにアゴで使われたが、ジュリーは十八歳になったら結婚する事を告白した。 同級生のジュリーが結婚するなんて信じられない。 ランは密かにジュリーの事を憧れていたので、失恋した気分だ。 そう言えば、昨夜、ランの父親も再婚すると言っていた。 まさかとは思ったが、ランはジュリーに結婚相手を聞くと、ランの父親だと判明した。  その夜、改めて父親とジュリーのふたりは結婚すると報告された。 こうしてジュリーとの同居が決まった。 しかもジュリーの母親、エリカも現われ、ランの家は騒然となった。  

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。

ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。 真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。 引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。 偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。 ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。 優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。 大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。

まなの秘密日記

到冠
大衆娯楽
胸の大きな〇学生の一日を描いた物語です。

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

むっつり金持ち高校生、巨乳美少女たちに囲まれて学園ハーレム

ピコサイクス
青春
顔は普通、性格も地味。 けれど実は金持ちな高校一年生――俺、朝倉健斗。 学校では埋もれキャラのはずなのに、なぜか周りは巨乳美女ばかり!? 大学生の家庭教師、年上メイド、同級生ギャルに清楚系美少女……。 真面目な御曹司を演じつつ、内心はむっつりスケベ。

処理中です...