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3巻
3-2
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そんなふうにのんびりとしていると、司令官が顔面蒼白で走ってきた。和也は食事をいったんやめて尋ねる。
「どうしたの? ちびスラちゃんに届けてもらったチーズフォンデュ、美味しくなかった? ワインの量が多かったかな?」
「いえ、じつに美味しい料理でした。あのような料理を食べられるのは本当に幸せです。可愛い嫁さんを見ながらの食事って最高ですよ。和也殿には本当に感謝……じゃなくて! いや、感謝しているのは本当ですが、和也様、そろそろ出発しないとだめです!」
司令官に一気に話され、和也は首をかしげる。
「え? 出発? まだ山牛の乳を使った料理が残っているのに、無の森に帰るの?」
司令官は慌てて手を横に振って声を上げる。
「違いますよ! 魔王城です! 魔王城に向かうんですよ! 魔王マリエール様に会う約束をお忘れですか!? 帰らないでください。文字通り俺の首が飛びます!」
「忘れてた! そういえば、マリエールさんとお話しするために無の森を出たんだった。スラちゃん1号は覚えていたの? 『え? 当然、覚えていますよ』だって? なんだよー教えてよー。スラちゃん1号は俺の秘書さんなんだよ」
スラちゃん1号は「あらあら。いつの間にやら秘書になっていたのですね。ただ、あまりにも和也様が楽しそうにされていましたので、マリエールくらい待たせてもよいかと思いまして」と澄まし顔で身体を動かした。
司令官は泣きそうになった。スラちゃん1号からとんでもない言い分を聞かされたからである。
ちなみに、司令官自身もすっかり忘れていた。
だが、チーズフォンデュを食べていたところ四天王筆頭フェイから「定時連絡以降、和也殿の行方がわからない。なにか知らないか?」との連絡を受け――「ぬぁぁぁぁ!」と叫んで、慌てて和也のもとにやって来たのである。
司令官が和也に、魔王マリエールと四天王筆頭フェイが心待ちにしていると力説すると、和也は勢いよく頷いて立ち上がった。
「そうだ。待たせちゃだめだよね。でも、いい感じのチーズがたくさんできそうなんだよなー。ネーちゃんと、ちびスラちゃん達が頑張ってくれているからね。スラちゃん1号、できかけのチーズを運んでも大丈夫かな?」
スラちゃん1号は「たぶん問題ないですよ。ちびスラちゃん達に頑張ってもらいましょうね」とチーズ作成担当のネーちゃんを呼び、荷台に積み込むように指示を出すのだった。
急に出発の準備をはじめた和也達を見て、砦の魔族と犬狼族達が悲しそうな顔になっていた。彼らはすでに和也に心酔しきり、別れが受け入れられないのだ。
「俺達もついていきます!」
「それを言うなら、犬狼族は和也殿にも忠誠を誓っておりますぞ!」
「なんだよ。俺達が最初に和也さんを見つけたんだぞ!」
「最初にグルーミングしていただいたのは儂じゃ」
「副官ちゃんが先だろうが!」
「なにを言うか! やろうって言うのか!」
なぜか一触即発状態の砦の魔族と犬狼族。
乱闘騒ぎに発展しそうになるのを見て、和也が間に入る。
「俺のために争うのはやめてほしいなー。俺達は出発するけど、また戻ってくるから! それまでに、ヨーグルト、チーズ、バターをいっぱい作って待っていてよ。その前に、一時のお別れのグルーミング祭りだー」
和也の言葉に泣きそうになっていた者達は、「グルーミング祭り」と聞き、大歓声を上げて和也に群がるのだった。
5.和也は旅立つ
「もー」
「和也様! 早く帰ってきてくださいね!」
「山牛の飼育はお任せください!」
「チーズを大量に作って待ってますよー」
翌朝、出発前の和也のもとに山牛をはじめとして大勢の者が集まっていた。
一人ずつではなくいっせいに話しかけられ、和也がさすがに困惑していると、その言葉の中に爆弾発言が放り込まれる。
「私の子供にグルーミングしてくださいねー」
副官のその一言で、見送りの場が修羅場と化す。
「こ、子供? なにー!」
「嘘だー副官ちゃん! 子供ができたなんて嘘だと言ってくれ!」
「司令官許すまじ!」
「マジ倒す!」
その場にいた司令官が後ずさりしながら口にする。
「ちょっ! 待て! 話せばわかる」
「わかるわけねー! 野郎ども、やっちまおうぜ!」
「「「おー」」」
❖ ❖ ❖
先ほどまで和也が旅立つのは嫌だとバリケードのように前を塞いでいた魔族達が、今は司令官を追いかけ回している。
そんな様子を見て唖然としていた和也だったが、ふと思いだしたように副官に確認する。
「さっきの話だけど――」
「ふふっ。申し訳ございません。あのままでは和也様が出発できないと思いまして」
小さく舌を出しながらそう答える副官。
和也は納得したものの、殺意を向けられ追いかけ回されている司令官を見て、少しだけ申し訳なく感じる。
「司令官さんは大丈夫? ほら、あの人なんて抜剣までして追いかけているよ?」
「彼は実力がありますから大丈夫ですよ。この程度で倒されるような人じゃないです。それに、お父さんとして強くあってほしいですからね」
そう言って少し頬を赤らめながらお腹をさする副官。スラちゃん1号が「あらあらまあまあ」と触手を動かすと、和也は手を叩く。
「さっきのは嘘じゃなくて本当だったんだね。じゃあ、なにかあったら大変だね! 前に作ったお守りをあげるよ! スラちゃん1号、あれまだ残っていたよね?」
スラちゃん1号は「ええ、ありますよ。どれにします?」と、ネックレスを取りだす。
ネックレスには大きな宝石が付けられていた。魔力を感じ取れる者には、石自体が光っているように見える不思議な宝石である。
「うーん、そうだなー。これにしようかな? いやこっちがいいかな? ……よし、全部あげるよ。そのときの気分で変えてくれていいから!」
和也から五種類のブレスレットすべてを渡された副官は、青白い顔になっていた。
遠慮しよう、全力で遠慮しよう、そう思った副官だったが、スラちゃん1号から「和也様からの下賜を断るのですか?」と無言の威圧を受けて観念した。
「だ、大事にさせてもらいます。家宝としますね」
「そんなすごい物じゃないから気にしなくていいんだよー。えっと、透明なのは着けていると元気になるんだよ! これは俺が着けて確認したから効果は間違いないよ!」
副官は、せめて家宝にしようとしたが、和也から軽い感じで普段から着けるように言われてしまった。
和也から言われては断れない、それに和也はいつ戻ってくるかもわからない。そう思った副官は涙目になりながらも、日替わりでネックレスを着けることを和也に約束するのだった。
❖ ❖ ❖
「よーし! じゃあ出発だー。司令官さんー。頑張ってねー」
和也の号令に、一同が出発をはじめる。
整然と並ぶ軍勢に続いて、和也はホウちゃんに騎乗し、スラちゃん1号を頭の上に乗せながら進みはじめた。
「えっ!? お、おい! 和也殿が出発されるぞ! 見送りしなくていいのかよ」
和也が出発するのに気づいた司令官が、しつこいほどに追いかけながら攻撃をしてくる部下達に声をかける。
殺気だった部下達は和也達に別れの挨拶をしながらも、司令官を追いかけるのをやめない。
「和也様! 帰りには絶対に寄ってくださいよ! そして司令官は動かないでくださいよ!」
「一太刀だけ! ちょっと攻撃を受けるだけですから、一太刀浴びてくださいよ!」
「おい! 誰か補助魔法をかけろよ! 本気で当たらねえ」
「攻撃魔法は山牛に当たるから使うなよ!」
「当たり前だ! あれ? 山牛も司令官を追いかけてないか?」
それらの攻撃を器用にかわしながら、司令官が大声で叫ぶ。
「一太刀受けたら怪我するわ! うわぁ! ちょっ! なんでお前達も突撃してくるんだよ!」
「「「もー」」」
なぜか山牛も司令官に突撃していた。
司令官は山牛の猛攻を避けると、和也に向かって言う。
「和也様! 牧場のことは俺達に任せてください! あと、魔王マリエール様によろしくお伝えください! ここまでくれば反撃しても文句は言われないよな。覚悟しろよ、お前達」
「「「うわー。司令官がキレたー」」」
ついに、司令官が反撃をはじめた。
次々と吹っ飛んでいく砦の魔族達を眺めながら、和也達はゆっくりと魔王城に向かって行進する。和也は、遠くで高笑いをしている司令官に向かって大声で言う。
「司令官さん、やりすぎに気をつけてねー。それにしてもみんないい人達だったねー。今度会うときはプレゼントを用意しとかないと」
スラちゃん1号は「そうですね。お子さんも産まれているでしょうから、子供服を用意しましょう。モイちゃんの糸も大量にありますからね。産着や子供用の服もたくさん作っておきますね」と和也の上で弾みながら答える。
何気ない会話のようだが、司令官・副官だけでなく魔王まで、胃が痛くなるような内容だった。
というのも、モイちゃんの糸こと「コイカの糸」は伝説の素材とされる物で、世界広しといえどそうそう存在しえないのだから。
6.そのまま出発するなんてありえなかった
「平和だねー。街道はきれいに整備されているし、襲われることはないし、休憩する場所も定期的にあるし」
和也はホウちゃんにもたれながら、のほほんとしている。
だが、だらーんとしているのは和也だけで、ほかの者達は周囲をしっかり警戒していた。
魔王城側からは出迎えや護衛の用意はなかった。砦の司令官から、街道をまっすぐに行けばよいと言われただけである。
魔王城への案内役として同行している、土の四天王マウントの娘であるルクアが事情を説明する。
「本来なら護衛は必要ですが、和也様の戦力を見て問題ないと判断されたのでしょうか。魔族は力がすべてですからね」
せっかく発言したのに、これまでの存在感のなさから「え? いたの?」との視線を向けられたルクアは泣きそうになる。
気を取り直して、ルクアは和也に話しかける。
「和也様。この先しばらくは砦も街もありません。ちょっと行ったところに小さな集落がありますから、そちらで休憩しましょう。先触れを出しておきます」
「わかったー。その集落にはどれくらいの人がいるの? 近くに街とかなくて生活はできるのかな? なにかプレゼントを用意したほうがいい?」
そう尋ねつつ、ホウちゃんの上で器用にだらだらとしている和也を見て、ルクアは笑みを浮かべる。
かなり危険な行動なのだが、ホウちゃんが落ちないように気を使っているのと、スラちゃん1号が触手を操って支えているのとで、和也が落ちることはなかった。
しばらく他愛のない話をしながら集落に向かう和也達だったが、先触れに出ていたルクアの部下が青い顔をして戻ってきた。
和也がいったい何事かと見ていると、部下はルクアに慌てた様子で言う。
「ほ、報告します! この先の集落で疫病が流行っているとのことです。和也様一行はこの集落に寄ることなく進んでください!」
「集落はどうするの?」
和也が心配して問うと、報告者に代わってルクアが答える。
ルクアの案は、案内役をセンカに譲って自分は砦に戻るというものだった。それで、その集落への救援物資を魔王城に依頼するらしい。
和也は、スラちゃん1号を抱き寄せてジッと見つめる。
スラちゃん1号は「大丈夫です、和也様。こんなこともあろうかと、救援物資は用意してありますから。病気は、私が診断して薬を作りますね。では、ルクアさん。集落に案内してください」と触手を動かした。
慌てたのはルクアである。
ルクアは、スラちゃん1号の優しさに感謝しながらも……魔王領にとって大切な要人である彼を集落に向かわすことはできないと反対した。
和也はルクアに向かって言う。
「ルクアさん。困ったときはお互い様だよ。俺はこれまでに困っているイーちゃんやネーちゃんを助けてきたし、モイちゃんやリザードマンさんや蜂さんともそんな感じで仲よくなってきたんだ。グラモの土竜一族なんて、借金に困って全員が無の森に引っ越してきたじゃん。俺はそういう人達を助けてきたし、それはこれからも変わらないよ。あと、ルクアさんが今から砦に戻っても、救援が間に合わないかもしれないじゃん」
「和也様……ありがとうございます。ですが、スラちゃん1号さんが『無理ですね』と言われたらすぐに撤退してくださいませ。それと、和也様が集落に入るのは、ほかの者が入り終えた最後ですわよ。これは譲れませんわ!」
ルクアがそう主張すると、スラちゃん1号はルクアの頬をなでた。そして小さく頷き、和也の安全を最優先で考えていることを伝える。
それからスラちゃん1号は「では、私達だけで状況を確認してきます。和也様はホウちゃんから降りたらだめですからね」と伝え、集落に向かっていった。
残された和也の周りではキャンプが作られ、炊きだしの準備がはじまった。
ちびスラちゃん達が回復薬を作りだし、リザードマンやキラービー達はセンカの部下達と一緒に周辺の調査に向かう。
「ねえ、集落には行かないから、ホウちゃんから降りてもいいかな? ご飯も食べたいし」
そう主張する和也に対し、ホウちゃんは「主! 私の背中はそれほど乗り心地が悪いでしょうか? ご満足いただけるように全力を尽くしていたのですが」と落ち込んだように伝える。
そんなせめぎ合いが行われていたが……最終的には、和也がホウちゃんの背中で食事をすることになった。
「ホウちゃんの背中は乗り心地抜群だよ? でも、地面に足を着けたいなーと思ってさ。ずっとホウちゃんに乗りっぱなしなのも申し訳ないしさ。それに、炊きだしのご飯も試食しないとだめじゃん?」
しかし、そのまま馬上で炊きだしの味見をすることになり、和也は味を調整する指示を出していく。
「もうちょっと味を薄くして煮込んでくれるかな。お肉は小さな団子にしてほしい。胃が弱って、食事が取れないかもしれないからね。それと、経口補水液も作っておこうかな。水と塩と砂糖の割合は……うん、こんな感じかな?」
和也はそんなふうにして、大量に物資を準備していった。
しばらくして、集落の調査に行っていたスラちゃん1号達がキャンプに戻ってきたときには、大量のスープと経口補水液が用意されていたのだった。
7.和也が集落にやって来た
「高熱が出ていて、お腹を下しているのかー。吐いたりはしてないの? そっちは大丈夫なんだ。ふむふむ、じゃあ用意した経口補水液とスープは役立つかな。それで原因は――森の中に生えてたキノコを食べたの? それって疫病じゃなくて食中毒じゃない?」
スラちゃん1号からの報告を聞いた和也は、どこから取りだしたのか、カルテのような物になにやら書き込んだ。
和也はペンを咥えてしばらく考え込むと、原因となったというキノコを手に取った。
「これがそうなの? 普通のキノコだよね? スラちゃん1号がこのキノコを原因と判断したのはどうして?」
和也に問われ、スラちゃん1号は「私がこのキノコを取り込んだ際に、毒物の反応が出たからですよ」と触手を動かしながら軽い感じで答えた。
それを聞いて、和也は慌ててしまう。
彼は顔を真っ青にし、慌ててスラちゃん1号の身体をなで回しだした。
「なんでそんなに危ないことしたの!? いでよ! 万能グルーミング! ほら見せて。ここですかー? それともこっちですか? 早く悪いところを言いなさいー」
「ちょっ! 和也様! どこも悪くないですから! 解析するために取り込んだだけです。ほら、安心してください。あなたのスラちゃん1号はこの通り元気ですよ。それよりも集落の人々が大変です。早く行きましょう」と身体を弾ませるスラちゃん1号。
「あまり危ないことをしないでよ。毒キノコを食べるなんて本当にやめてよね。よし、反省したのならOKだよ! それじゃあスープ持った? 経口補水液は準備万端? うん! では、これより和也部隊は救援に向かう。皆の者続けー、急ぐぞー。ホウちゃん全力だ!」
和也は、ホウちゃんを勢いよく走らせた。
すると、ホウちゃんは和也によいところを見せようとして――本当に全力を出してしまう。あっという間に、後続部隊をはるか彼方まで引き離してしまった。
スラちゃん1号が触手でホウちゃんを叩く。
「こら、なにをしているのです。和也様だけ急いでも意味がないでしょうが。もう少し考えなさい。和也様の言われる通りに動くだけではだめですよ」と、スラちゃん1号は溶解液をホウちゃんに引っかけていた。
「ひ、ひひーん。ひんひん」
「申し訳ございません、許してください」と伝えて、ホウちゃんは歩みを止める。後続部隊が追いつくのを待っている間、スラちゃん1号は和也にもお説教をはじめる。
「いいですか、和也様? 集団行動は大事です。和也様が勝手に動かれたら、皆ついていかないといけなくなるしょう? 和也様にはしっかりとしていてもらわないと困ります。もっと支配者としてどっしりと構えていてください」と、スラちゃん1号がちくちくやっていると――ようやく後続達が追いついてきた。
和也は、スラちゃん1号に必死に謝る。
「ごめんなさい! もう突撃はしないから許してー」
和也に追いついた者達は、和也がスラちゃん1号に怒られているのを見て、なにが起きているのかわからずオロオロするしかなかった。
スラちゃん1号は一通り説教し終えるとため息を吐き、そして「次からは気をつけてくださいね」と触手を優しく動かした。
「許してくれるんだね。俺に注意をしてくれるスラちゃん1号は最高だよ」
和也はスラちゃん1号を抱き上げ、何度も頬ずりする。
スラちゃん1号は照れていたが、思いだしたように病人が待っていることを伝えた。その言葉に和也は急に慌てだし、みんなに向かって指示をする。
「イーちゃん達はスープを温め直して。ネーちゃん達はお湯とタオルの準備。それが終わったら、集落の人達の身体を拭こう。そしてモイちゃん印のパジャマを着せてあげよう。その後は、経口補水液を飲ませてあげて。俺とスラちゃん達はここに救護所を作る。ホウちゃんは森を駆け抜けて、襲いかかってきそうな魔物とかがいたら倒してきて」
和也の命令に応えると、皆は次々と動きだしていった。
「どうしたの? ちびスラちゃんに届けてもらったチーズフォンデュ、美味しくなかった? ワインの量が多かったかな?」
「いえ、じつに美味しい料理でした。あのような料理を食べられるのは本当に幸せです。可愛い嫁さんを見ながらの食事って最高ですよ。和也殿には本当に感謝……じゃなくて! いや、感謝しているのは本当ですが、和也様、そろそろ出発しないとだめです!」
司令官に一気に話され、和也は首をかしげる。
「え? 出発? まだ山牛の乳を使った料理が残っているのに、無の森に帰るの?」
司令官は慌てて手を横に振って声を上げる。
「違いますよ! 魔王城です! 魔王城に向かうんですよ! 魔王マリエール様に会う約束をお忘れですか!? 帰らないでください。文字通り俺の首が飛びます!」
「忘れてた! そういえば、マリエールさんとお話しするために無の森を出たんだった。スラちゃん1号は覚えていたの? 『え? 当然、覚えていますよ』だって? なんだよー教えてよー。スラちゃん1号は俺の秘書さんなんだよ」
スラちゃん1号は「あらあら。いつの間にやら秘書になっていたのですね。ただ、あまりにも和也様が楽しそうにされていましたので、マリエールくらい待たせてもよいかと思いまして」と澄まし顔で身体を動かした。
司令官は泣きそうになった。スラちゃん1号からとんでもない言い分を聞かされたからである。
ちなみに、司令官自身もすっかり忘れていた。
だが、チーズフォンデュを食べていたところ四天王筆頭フェイから「定時連絡以降、和也殿の行方がわからない。なにか知らないか?」との連絡を受け――「ぬぁぁぁぁ!」と叫んで、慌てて和也のもとにやって来たのである。
司令官が和也に、魔王マリエールと四天王筆頭フェイが心待ちにしていると力説すると、和也は勢いよく頷いて立ち上がった。
「そうだ。待たせちゃだめだよね。でも、いい感じのチーズがたくさんできそうなんだよなー。ネーちゃんと、ちびスラちゃん達が頑張ってくれているからね。スラちゃん1号、できかけのチーズを運んでも大丈夫かな?」
スラちゃん1号は「たぶん問題ないですよ。ちびスラちゃん達に頑張ってもらいましょうね」とチーズ作成担当のネーちゃんを呼び、荷台に積み込むように指示を出すのだった。
急に出発の準備をはじめた和也達を見て、砦の魔族と犬狼族達が悲しそうな顔になっていた。彼らはすでに和也に心酔しきり、別れが受け入れられないのだ。
「俺達もついていきます!」
「それを言うなら、犬狼族は和也殿にも忠誠を誓っておりますぞ!」
「なんだよ。俺達が最初に和也さんを見つけたんだぞ!」
「最初にグルーミングしていただいたのは儂じゃ」
「副官ちゃんが先だろうが!」
「なにを言うか! やろうって言うのか!」
なぜか一触即発状態の砦の魔族と犬狼族。
乱闘騒ぎに発展しそうになるのを見て、和也が間に入る。
「俺のために争うのはやめてほしいなー。俺達は出発するけど、また戻ってくるから! それまでに、ヨーグルト、チーズ、バターをいっぱい作って待っていてよ。その前に、一時のお別れのグルーミング祭りだー」
和也の言葉に泣きそうになっていた者達は、「グルーミング祭り」と聞き、大歓声を上げて和也に群がるのだった。
5.和也は旅立つ
「もー」
「和也様! 早く帰ってきてくださいね!」
「山牛の飼育はお任せください!」
「チーズを大量に作って待ってますよー」
翌朝、出発前の和也のもとに山牛をはじめとして大勢の者が集まっていた。
一人ずつではなくいっせいに話しかけられ、和也がさすがに困惑していると、その言葉の中に爆弾発言が放り込まれる。
「私の子供にグルーミングしてくださいねー」
副官のその一言で、見送りの場が修羅場と化す。
「こ、子供? なにー!」
「嘘だー副官ちゃん! 子供ができたなんて嘘だと言ってくれ!」
「司令官許すまじ!」
「マジ倒す!」
その場にいた司令官が後ずさりしながら口にする。
「ちょっ! 待て! 話せばわかる」
「わかるわけねー! 野郎ども、やっちまおうぜ!」
「「「おー」」」
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先ほどまで和也が旅立つのは嫌だとバリケードのように前を塞いでいた魔族達が、今は司令官を追いかけ回している。
そんな様子を見て唖然としていた和也だったが、ふと思いだしたように副官に確認する。
「さっきの話だけど――」
「ふふっ。申し訳ございません。あのままでは和也様が出発できないと思いまして」
小さく舌を出しながらそう答える副官。
和也は納得したものの、殺意を向けられ追いかけ回されている司令官を見て、少しだけ申し訳なく感じる。
「司令官さんは大丈夫? ほら、あの人なんて抜剣までして追いかけているよ?」
「彼は実力がありますから大丈夫ですよ。この程度で倒されるような人じゃないです。それに、お父さんとして強くあってほしいですからね」
そう言って少し頬を赤らめながらお腹をさする副官。スラちゃん1号が「あらあらまあまあ」と触手を動かすと、和也は手を叩く。
「さっきのは嘘じゃなくて本当だったんだね。じゃあ、なにかあったら大変だね! 前に作ったお守りをあげるよ! スラちゃん1号、あれまだ残っていたよね?」
スラちゃん1号は「ええ、ありますよ。どれにします?」と、ネックレスを取りだす。
ネックレスには大きな宝石が付けられていた。魔力を感じ取れる者には、石自体が光っているように見える不思議な宝石である。
「うーん、そうだなー。これにしようかな? いやこっちがいいかな? ……よし、全部あげるよ。そのときの気分で変えてくれていいから!」
和也から五種類のブレスレットすべてを渡された副官は、青白い顔になっていた。
遠慮しよう、全力で遠慮しよう、そう思った副官だったが、スラちゃん1号から「和也様からの下賜を断るのですか?」と無言の威圧を受けて観念した。
「だ、大事にさせてもらいます。家宝としますね」
「そんなすごい物じゃないから気にしなくていいんだよー。えっと、透明なのは着けていると元気になるんだよ! これは俺が着けて確認したから効果は間違いないよ!」
副官は、せめて家宝にしようとしたが、和也から軽い感じで普段から着けるように言われてしまった。
和也から言われては断れない、それに和也はいつ戻ってくるかもわからない。そう思った副官は涙目になりながらも、日替わりでネックレスを着けることを和也に約束するのだった。
❖ ❖ ❖
「よーし! じゃあ出発だー。司令官さんー。頑張ってねー」
和也の号令に、一同が出発をはじめる。
整然と並ぶ軍勢に続いて、和也はホウちゃんに騎乗し、スラちゃん1号を頭の上に乗せながら進みはじめた。
「えっ!? お、おい! 和也殿が出発されるぞ! 見送りしなくていいのかよ」
和也が出発するのに気づいた司令官が、しつこいほどに追いかけながら攻撃をしてくる部下達に声をかける。
殺気だった部下達は和也達に別れの挨拶をしながらも、司令官を追いかけるのをやめない。
「和也様! 帰りには絶対に寄ってくださいよ! そして司令官は動かないでくださいよ!」
「一太刀だけ! ちょっと攻撃を受けるだけですから、一太刀浴びてくださいよ!」
「おい! 誰か補助魔法をかけろよ! 本気で当たらねえ」
「攻撃魔法は山牛に当たるから使うなよ!」
「当たり前だ! あれ? 山牛も司令官を追いかけてないか?」
それらの攻撃を器用にかわしながら、司令官が大声で叫ぶ。
「一太刀受けたら怪我するわ! うわぁ! ちょっ! なんでお前達も突撃してくるんだよ!」
「「「もー」」」
なぜか山牛も司令官に突撃していた。
司令官は山牛の猛攻を避けると、和也に向かって言う。
「和也様! 牧場のことは俺達に任せてください! あと、魔王マリエール様によろしくお伝えください! ここまでくれば反撃しても文句は言われないよな。覚悟しろよ、お前達」
「「「うわー。司令官がキレたー」」」
ついに、司令官が反撃をはじめた。
次々と吹っ飛んでいく砦の魔族達を眺めながら、和也達はゆっくりと魔王城に向かって行進する。和也は、遠くで高笑いをしている司令官に向かって大声で言う。
「司令官さん、やりすぎに気をつけてねー。それにしてもみんないい人達だったねー。今度会うときはプレゼントを用意しとかないと」
スラちゃん1号は「そうですね。お子さんも産まれているでしょうから、子供服を用意しましょう。モイちゃんの糸も大量にありますからね。産着や子供用の服もたくさん作っておきますね」と和也の上で弾みながら答える。
何気ない会話のようだが、司令官・副官だけでなく魔王まで、胃が痛くなるような内容だった。
というのも、モイちゃんの糸こと「コイカの糸」は伝説の素材とされる物で、世界広しといえどそうそう存在しえないのだから。
6.そのまま出発するなんてありえなかった
「平和だねー。街道はきれいに整備されているし、襲われることはないし、休憩する場所も定期的にあるし」
和也はホウちゃんにもたれながら、のほほんとしている。
だが、だらーんとしているのは和也だけで、ほかの者達は周囲をしっかり警戒していた。
魔王城側からは出迎えや護衛の用意はなかった。砦の司令官から、街道をまっすぐに行けばよいと言われただけである。
魔王城への案内役として同行している、土の四天王マウントの娘であるルクアが事情を説明する。
「本来なら護衛は必要ですが、和也様の戦力を見て問題ないと判断されたのでしょうか。魔族は力がすべてですからね」
せっかく発言したのに、これまでの存在感のなさから「え? いたの?」との視線を向けられたルクアは泣きそうになる。
気を取り直して、ルクアは和也に話しかける。
「和也様。この先しばらくは砦も街もありません。ちょっと行ったところに小さな集落がありますから、そちらで休憩しましょう。先触れを出しておきます」
「わかったー。その集落にはどれくらいの人がいるの? 近くに街とかなくて生活はできるのかな? なにかプレゼントを用意したほうがいい?」
そう尋ねつつ、ホウちゃんの上で器用にだらだらとしている和也を見て、ルクアは笑みを浮かべる。
かなり危険な行動なのだが、ホウちゃんが落ちないように気を使っているのと、スラちゃん1号が触手を操って支えているのとで、和也が落ちることはなかった。
しばらく他愛のない話をしながら集落に向かう和也達だったが、先触れに出ていたルクアの部下が青い顔をして戻ってきた。
和也がいったい何事かと見ていると、部下はルクアに慌てた様子で言う。
「ほ、報告します! この先の集落で疫病が流行っているとのことです。和也様一行はこの集落に寄ることなく進んでください!」
「集落はどうするの?」
和也が心配して問うと、報告者に代わってルクアが答える。
ルクアの案は、案内役をセンカに譲って自分は砦に戻るというものだった。それで、その集落への救援物資を魔王城に依頼するらしい。
和也は、スラちゃん1号を抱き寄せてジッと見つめる。
スラちゃん1号は「大丈夫です、和也様。こんなこともあろうかと、救援物資は用意してありますから。病気は、私が診断して薬を作りますね。では、ルクアさん。集落に案内してください」と触手を動かした。
慌てたのはルクアである。
ルクアは、スラちゃん1号の優しさに感謝しながらも……魔王領にとって大切な要人である彼を集落に向かわすことはできないと反対した。
和也はルクアに向かって言う。
「ルクアさん。困ったときはお互い様だよ。俺はこれまでに困っているイーちゃんやネーちゃんを助けてきたし、モイちゃんやリザードマンさんや蜂さんともそんな感じで仲よくなってきたんだ。グラモの土竜一族なんて、借金に困って全員が無の森に引っ越してきたじゃん。俺はそういう人達を助けてきたし、それはこれからも変わらないよ。あと、ルクアさんが今から砦に戻っても、救援が間に合わないかもしれないじゃん」
「和也様……ありがとうございます。ですが、スラちゃん1号さんが『無理ですね』と言われたらすぐに撤退してくださいませ。それと、和也様が集落に入るのは、ほかの者が入り終えた最後ですわよ。これは譲れませんわ!」
ルクアがそう主張すると、スラちゃん1号はルクアの頬をなでた。そして小さく頷き、和也の安全を最優先で考えていることを伝える。
それからスラちゃん1号は「では、私達だけで状況を確認してきます。和也様はホウちゃんから降りたらだめですからね」と伝え、集落に向かっていった。
残された和也の周りではキャンプが作られ、炊きだしの準備がはじまった。
ちびスラちゃん達が回復薬を作りだし、リザードマンやキラービー達はセンカの部下達と一緒に周辺の調査に向かう。
「ねえ、集落には行かないから、ホウちゃんから降りてもいいかな? ご飯も食べたいし」
そう主張する和也に対し、ホウちゃんは「主! 私の背中はそれほど乗り心地が悪いでしょうか? ご満足いただけるように全力を尽くしていたのですが」と落ち込んだように伝える。
そんなせめぎ合いが行われていたが……最終的には、和也がホウちゃんの背中で食事をすることになった。
「ホウちゃんの背中は乗り心地抜群だよ? でも、地面に足を着けたいなーと思ってさ。ずっとホウちゃんに乗りっぱなしなのも申し訳ないしさ。それに、炊きだしのご飯も試食しないとだめじゃん?」
しかし、そのまま馬上で炊きだしの味見をすることになり、和也は味を調整する指示を出していく。
「もうちょっと味を薄くして煮込んでくれるかな。お肉は小さな団子にしてほしい。胃が弱って、食事が取れないかもしれないからね。それと、経口補水液も作っておこうかな。水と塩と砂糖の割合は……うん、こんな感じかな?」
和也はそんなふうにして、大量に物資を準備していった。
しばらくして、集落の調査に行っていたスラちゃん1号達がキャンプに戻ってきたときには、大量のスープと経口補水液が用意されていたのだった。
7.和也が集落にやって来た
「高熱が出ていて、お腹を下しているのかー。吐いたりはしてないの? そっちは大丈夫なんだ。ふむふむ、じゃあ用意した経口補水液とスープは役立つかな。それで原因は――森の中に生えてたキノコを食べたの? それって疫病じゃなくて食中毒じゃない?」
スラちゃん1号からの報告を聞いた和也は、どこから取りだしたのか、カルテのような物になにやら書き込んだ。
和也はペンを咥えてしばらく考え込むと、原因となったというキノコを手に取った。
「これがそうなの? 普通のキノコだよね? スラちゃん1号がこのキノコを原因と判断したのはどうして?」
和也に問われ、スラちゃん1号は「私がこのキノコを取り込んだ際に、毒物の反応が出たからですよ」と触手を動かしながら軽い感じで答えた。
それを聞いて、和也は慌ててしまう。
彼は顔を真っ青にし、慌ててスラちゃん1号の身体をなで回しだした。
「なんでそんなに危ないことしたの!? いでよ! 万能グルーミング! ほら見せて。ここですかー? それともこっちですか? 早く悪いところを言いなさいー」
「ちょっ! 和也様! どこも悪くないですから! 解析するために取り込んだだけです。ほら、安心してください。あなたのスラちゃん1号はこの通り元気ですよ。それよりも集落の人々が大変です。早く行きましょう」と身体を弾ませるスラちゃん1号。
「あまり危ないことをしないでよ。毒キノコを食べるなんて本当にやめてよね。よし、反省したのならOKだよ! それじゃあスープ持った? 経口補水液は準備万端? うん! では、これより和也部隊は救援に向かう。皆の者続けー、急ぐぞー。ホウちゃん全力だ!」
和也は、ホウちゃんを勢いよく走らせた。
すると、ホウちゃんは和也によいところを見せようとして――本当に全力を出してしまう。あっという間に、後続部隊をはるか彼方まで引き離してしまった。
スラちゃん1号が触手でホウちゃんを叩く。
「こら、なにをしているのです。和也様だけ急いでも意味がないでしょうが。もう少し考えなさい。和也様の言われる通りに動くだけではだめですよ」と、スラちゃん1号は溶解液をホウちゃんに引っかけていた。
「ひ、ひひーん。ひんひん」
「申し訳ございません、許してください」と伝えて、ホウちゃんは歩みを止める。後続部隊が追いつくのを待っている間、スラちゃん1号は和也にもお説教をはじめる。
「いいですか、和也様? 集団行動は大事です。和也様が勝手に動かれたら、皆ついていかないといけなくなるしょう? 和也様にはしっかりとしていてもらわないと困ります。もっと支配者としてどっしりと構えていてください」と、スラちゃん1号がちくちくやっていると――ようやく後続達が追いついてきた。
和也は、スラちゃん1号に必死に謝る。
「ごめんなさい! もう突撃はしないから許してー」
和也に追いついた者達は、和也がスラちゃん1号に怒られているのを見て、なにが起きているのかわからずオロオロするしかなかった。
スラちゃん1号は一通り説教し終えるとため息を吐き、そして「次からは気をつけてくださいね」と触手を優しく動かした。
「許してくれるんだね。俺に注意をしてくれるスラちゃん1号は最高だよ」
和也はスラちゃん1号を抱き上げ、何度も頬ずりする。
スラちゃん1号は照れていたが、思いだしたように病人が待っていることを伝えた。その言葉に和也は急に慌てだし、みんなに向かって指示をする。
「イーちゃん達はスープを温め直して。ネーちゃん達はお湯とタオルの準備。それが終わったら、集落の人達の身体を拭こう。そしてモイちゃん印のパジャマを着せてあげよう。その後は、経口補水液を飲ませてあげて。俺とスラちゃん達はここに救護所を作る。ホウちゃんは森を駆け抜けて、襲いかかってきそうな魔物とかがいたら倒してきて」
和也の命令に応えると、皆は次々と動きだしていった。
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