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66 決戦
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徐々に広がる瘴気の渦を見ながら、レオが自分に言い聞かせるように呟いた。
「絶対に負けない。絶対にだ。必ず守り抜くぞ」
ロビンと同じ銀の髪が風も無いのにゆらっと揺れた。
力強く握られた拳を包む白い手袋の指先に血が滲んでいる。
まるでレオだけを包むような霧が立ちこめた時、壺がタプンと音をたてた。
シフォンが慌てて駆け寄り、ものすごい速さで攪拌を始める。
山裾を睨みつけるレオの左目から、真っ赤な血が流れ落ちていた。
「プロント! レオの目を見てやってくれ! 真実の瞳が入った!」
プロントが駆け寄ると、片目を失ったレオがゆっくりと微笑んだ。
ゆっくりとポケットからハンカチを取り出す。
それは王城で祈り続けている家族から贈られたハンカチだった。
プロントがハンカチを受け取ろうと手を伸ばす。
「大丈夫です。自分でできますから」
「まあそう言うな。俺にやらせてくれよ」
プロントはそのハンカチでレオの片目を覆うように縛った。
「これで最強さ。あんたが真実の瞳だったのだね、レオ」
シフォンの頬が興奮したように赤く染まっていた。
「片目で良いのだろうか。これだけでは申し訳無いような気分だよ」
「十分さ。隻眼の英雄さん」
シフォンは用意していた革袋に、完成した魔消し薬を詰めてプロントに渡した。
「おっ! なかなか重たいな」
「ああ、全て極上の材料だからね。なるべく広範囲に撒いておくれ。恐らく肉壁がすぐに溶け始めるから、なるべく避けるんだよ」
「わかった。任せておけ」
「プロント、あんたは大悪魔に吸収されるが、そんなボロボロの体なんてくれちまいな。魂は私が回収するから安心して」
「ああ、もちろん信じているさ。シフォン、愛しているよ。お前は本当に良い女だ」
「うん、あたしも愛してる。あんたも最高の男だよ、プロント」
二人は深く短いキスをした。
もじもじするレモンを手招きして抱きしめたプロントがレオに言う。
「先鋒の役割は必ず果たすと約束しよう。すまんがシフォンとレモンを頼む」
「必ず守ると誓います」
「ソフィアもな」
「お任せください」
プロントはシフォンとレモンにもう一度キスをしてからゆっくりと歩き出した。
それと同時にワンダがのろしをあげて戦闘開始を知らせる。
左右に散っていた兵士たちが、それを見て雄叫びをあげた。
「レモン、お前はソフィアといなさい。目を覚ましたらまず水を飲ませて。その後でテポロンで作った茶を飲ませるんだ。できるね?」
「うん、母さん……絶対に帰ってきてよ?」
「安心しな。必ず父さんの魂を連れて帰ってくるから」
レモンは頷いてシフォンにしがみついた。
「ここで待っているからね」
頷いたシフォンの体が大きな鳥に変わった。
その黒い体を躍らせて空高く舞い上がり、瘴気の渦に向かって呪文を唱えた。
「ロベンバルミンソス!」
地を割って這い出ようとしていた大悪魔の頭部が揺れ、動きが止まる。
プロントの横を駆け抜けたレオがその頭部に渾身の一撃を放った。
「おのれぇぇぇぇぇ!」
レオの叫びを聞き、駆けだしたプロントが、カチ割られた頭部へと飛び込んだ。
ジュッという音がして、微かに肉が焼け焦げる匂いがする。
「下がれ! 急いで下がるんだレオ!」
大きな鳥が大悪魔の上を旋回しながら叫ぶ。
プロントが飛び込んだ傷穴に頭を下げて、レオは踵を返した。
テント近くで、ロビンを背負おうと悪戦苦闘しているワンダに駆け寄る。
「ワンダ……言い残すことはあるか?」
「そうですねぇ。親には立派だったと噓を吐いてください」
「噓ではないだろう」
「いや……情けないですが、手も足も震えてしまってロビン殿下の体を上手く固定できないのです。お恥ずかしいですがロープを結んでくださいませんか」
「当たり前だ。お前はよく耐えている」
「ははは……やはり死ぬのは怖いものです。でもね、残される殿下の辛さに比べると、こっちの方が楽かなって思いますよ。もうお側に立つこともできませんが、私の魂はレオ殿下と共にありますからね、たまには愚痴を聞いてあげますよ」
「ああ。お前は本当に良い友だ。私の親友だよ、ワンダ」
ロビンの体を背負ったワンダが、レオナードを抱き上げた。
「さあ、レオナード王子殿下。私が必ずお父上の元に送り届けますからね」
レオナードはニコニコしながらワンダとレオを交互に見た。
「さすがですね。凄いなぁ」
「お前も凄いよ、ワンダ」
ワンダが歩き出した。
痛むのか苦しいのか、大悪魔が藻搔くように首を激しく振っている。
頭にできた裂傷からはドロドロしたものが流れ出ていた。
地割れは止まっているが、悪魔自体はまだ生きているのは間違いない。
やはり『魔消し薬』だけでは殲滅できなかったようだ。
しかし徐々に弱ってきているのは明らかだ。
「今ですね」
「ああ、今だな」
ワンダは足を速め、藻搔く大悪魔の正面に立った。
「レオ殿下、よろしくお願いします!」
「おお! 任せろ!」
レオが再び剣を抜き、鋭い跳躍で大悪魔の首筋を袈裟懸けに切った。
ドロドロの液体が噴き出し、立っているワンダの足元まで飛び散る。
「行け! ワンダ!」
上空からシフォンの声が降ってくる。
「うおぉぉぉぉぉぉぉ!」
駆け出したワンダの背で、ロビンの体がまるで手を振っているように跳ねた。
ワンダは大悪魔が垂れ流すドロドロの中を進み、躊躇せずその穴に飛び込んだ。
どぉんという音が響き、大悪魔の頭部が前に倒れた刹那、ワンダの叫び声が大気を貫く。
「ビバーレ!」
声と同時に大悪魔の傷口から光が噴き出す。
その光はベールのように辺りを包みこみ、輝きの消滅と共に大悪魔の体も消えていく。
奇跡を目の当たりにしたレオは、ただ呆然と立ち竦みながら、ぽつんと独り言を発した。
「自分が国を救うなどと大口を叩いていたのが恥ずかしい。弟を犠牲にし、親友を逝かせ、まだ言葉も話せないほどの幼い子の命まで……私こそが本当の悪魔なのではないか? 私が死ぬべきだったのではないのか? ああ……私は……私はどうすべきだった? なあソフィア、教えてくれ」
胸をかき毟るようにして嘆き悲しむレオを、薄いピンクの光が包んだ。
『大丈夫ですよ。あの方達は、私がちゃんと天国へお連れしますから、安心なさって下さい。もうすぐソフィアが目覚めます。側にいてやってくださいませね。あの子は幼い頃から泣き虫さんだったから』
頭の中に聞こえた声の主は誰なのだろう。
レオが漠然とそんなことを考えていた時、いきなり鋭い声が降ってきた。
「爆発するぞ! 急げ! 全員退避だ! 全力で走れ!」
シフォンの声に我に返ったレオがテントの方へ振り返った。
「ソフィア!」
まだ気を失ったままであろうシフォンと、付き添っているレモンを助けるべく駆けだすレオ。
「急げ! なるべく離れて体を隠せ! 爆風を避けろ!」
シフォンはプスプスと内部から燃え始めた大悪魔の上空を旋回しつつ、まだ魔族と戦っている兵士たちに叫んだ。
「退け! 退くんだ! 走れぇぇぇぇぇ!」
指揮者の声に一斉に駆けだした兵士と、何が起こっているのかわからない魔族。
両者の間の距離がどんどん広がっていく。
「くるぞ! 伏せろ!」
シフォンがよりいっそう高く舞い上がって叫んだ。
「レモン! ソフィアは私が運ぶ! 走れ! あの岩影に飛び込め!」
レオの声にレモンの体がビクッと揺れた。
「レオ?」
「早くしろ。爆発するぞ」
「ひぃっ!」
ソフィアを搔っ攫うように横抱きにしたレオと、慌てて駆けだすレモン。
「飛び込め!」
その言葉と同時に爆音が響き渡り、地鳴りのような振動が起こった。
「少し我慢してくれ」
レオがソフィアとレモンの上に覆いかぶさった。
パラパラと小石が降る音が聞こえるだけで、巻きあがった土煙で何も見えない状態だ。
しばらくそのままでいたレモンが、レオの下から這い出した。
「レオ? ねえレオ? 大丈夫?」
レオの頭に巻かれたハンカチが滑り落ち、ぽっかりと開いたその穴は乾いた血がこびりついていた。
「ソフィア? レオも……えぇぇぇん。母さぁぁぁぁぁん……怖いよぉぉぉ」
まるで幼子のように泣きじゃくるレモンは、ひたすら母親に助けを求めた。
「絶対に負けない。絶対にだ。必ず守り抜くぞ」
ロビンと同じ銀の髪が風も無いのにゆらっと揺れた。
力強く握られた拳を包む白い手袋の指先に血が滲んでいる。
まるでレオだけを包むような霧が立ちこめた時、壺がタプンと音をたてた。
シフォンが慌てて駆け寄り、ものすごい速さで攪拌を始める。
山裾を睨みつけるレオの左目から、真っ赤な血が流れ落ちていた。
「プロント! レオの目を見てやってくれ! 真実の瞳が入った!」
プロントが駆け寄ると、片目を失ったレオがゆっくりと微笑んだ。
ゆっくりとポケットからハンカチを取り出す。
それは王城で祈り続けている家族から贈られたハンカチだった。
プロントがハンカチを受け取ろうと手を伸ばす。
「大丈夫です。自分でできますから」
「まあそう言うな。俺にやらせてくれよ」
プロントはそのハンカチでレオの片目を覆うように縛った。
「これで最強さ。あんたが真実の瞳だったのだね、レオ」
シフォンの頬が興奮したように赤く染まっていた。
「片目で良いのだろうか。これだけでは申し訳無いような気分だよ」
「十分さ。隻眼の英雄さん」
シフォンは用意していた革袋に、完成した魔消し薬を詰めてプロントに渡した。
「おっ! なかなか重たいな」
「ああ、全て極上の材料だからね。なるべく広範囲に撒いておくれ。恐らく肉壁がすぐに溶け始めるから、なるべく避けるんだよ」
「わかった。任せておけ」
「プロント、あんたは大悪魔に吸収されるが、そんなボロボロの体なんてくれちまいな。魂は私が回収するから安心して」
「ああ、もちろん信じているさ。シフォン、愛しているよ。お前は本当に良い女だ」
「うん、あたしも愛してる。あんたも最高の男だよ、プロント」
二人は深く短いキスをした。
もじもじするレモンを手招きして抱きしめたプロントがレオに言う。
「先鋒の役割は必ず果たすと約束しよう。すまんがシフォンとレモンを頼む」
「必ず守ると誓います」
「ソフィアもな」
「お任せください」
プロントはシフォンとレモンにもう一度キスをしてからゆっくりと歩き出した。
それと同時にワンダがのろしをあげて戦闘開始を知らせる。
左右に散っていた兵士たちが、それを見て雄叫びをあげた。
「レモン、お前はソフィアといなさい。目を覚ましたらまず水を飲ませて。その後でテポロンで作った茶を飲ませるんだ。できるね?」
「うん、母さん……絶対に帰ってきてよ?」
「安心しな。必ず父さんの魂を連れて帰ってくるから」
レモンは頷いてシフォンにしがみついた。
「ここで待っているからね」
頷いたシフォンの体が大きな鳥に変わった。
その黒い体を躍らせて空高く舞い上がり、瘴気の渦に向かって呪文を唱えた。
「ロベンバルミンソス!」
地を割って這い出ようとしていた大悪魔の頭部が揺れ、動きが止まる。
プロントの横を駆け抜けたレオがその頭部に渾身の一撃を放った。
「おのれぇぇぇぇぇ!」
レオの叫びを聞き、駆けだしたプロントが、カチ割られた頭部へと飛び込んだ。
ジュッという音がして、微かに肉が焼け焦げる匂いがする。
「下がれ! 急いで下がるんだレオ!」
大きな鳥が大悪魔の上を旋回しながら叫ぶ。
プロントが飛び込んだ傷穴に頭を下げて、レオは踵を返した。
テント近くで、ロビンを背負おうと悪戦苦闘しているワンダに駆け寄る。
「ワンダ……言い残すことはあるか?」
「そうですねぇ。親には立派だったと噓を吐いてください」
「噓ではないだろう」
「いや……情けないですが、手も足も震えてしまってロビン殿下の体を上手く固定できないのです。お恥ずかしいですがロープを結んでくださいませんか」
「当たり前だ。お前はよく耐えている」
「ははは……やはり死ぬのは怖いものです。でもね、残される殿下の辛さに比べると、こっちの方が楽かなって思いますよ。もうお側に立つこともできませんが、私の魂はレオ殿下と共にありますからね、たまには愚痴を聞いてあげますよ」
「ああ。お前は本当に良い友だ。私の親友だよ、ワンダ」
ロビンの体を背負ったワンダが、レオナードを抱き上げた。
「さあ、レオナード王子殿下。私が必ずお父上の元に送り届けますからね」
レオナードはニコニコしながらワンダとレオを交互に見た。
「さすがですね。凄いなぁ」
「お前も凄いよ、ワンダ」
ワンダが歩き出した。
痛むのか苦しいのか、大悪魔が藻搔くように首を激しく振っている。
頭にできた裂傷からはドロドロしたものが流れ出ていた。
地割れは止まっているが、悪魔自体はまだ生きているのは間違いない。
やはり『魔消し薬』だけでは殲滅できなかったようだ。
しかし徐々に弱ってきているのは明らかだ。
「今ですね」
「ああ、今だな」
ワンダは足を速め、藻搔く大悪魔の正面に立った。
「レオ殿下、よろしくお願いします!」
「おお! 任せろ!」
レオが再び剣を抜き、鋭い跳躍で大悪魔の首筋を袈裟懸けに切った。
ドロドロの液体が噴き出し、立っているワンダの足元まで飛び散る。
「行け! ワンダ!」
上空からシフォンの声が降ってくる。
「うおぉぉぉぉぉぉぉ!」
駆け出したワンダの背で、ロビンの体がまるで手を振っているように跳ねた。
ワンダは大悪魔が垂れ流すドロドロの中を進み、躊躇せずその穴に飛び込んだ。
どぉんという音が響き、大悪魔の頭部が前に倒れた刹那、ワンダの叫び声が大気を貫く。
「ビバーレ!」
声と同時に大悪魔の傷口から光が噴き出す。
その光はベールのように辺りを包みこみ、輝きの消滅と共に大悪魔の体も消えていく。
奇跡を目の当たりにしたレオは、ただ呆然と立ち竦みながら、ぽつんと独り言を発した。
「自分が国を救うなどと大口を叩いていたのが恥ずかしい。弟を犠牲にし、親友を逝かせ、まだ言葉も話せないほどの幼い子の命まで……私こそが本当の悪魔なのではないか? 私が死ぬべきだったのではないのか? ああ……私は……私はどうすべきだった? なあソフィア、教えてくれ」
胸をかき毟るようにして嘆き悲しむレオを、薄いピンクの光が包んだ。
『大丈夫ですよ。あの方達は、私がちゃんと天国へお連れしますから、安心なさって下さい。もうすぐソフィアが目覚めます。側にいてやってくださいませね。あの子は幼い頃から泣き虫さんだったから』
頭の中に聞こえた声の主は誰なのだろう。
レオが漠然とそんなことを考えていた時、いきなり鋭い声が降ってきた。
「爆発するぞ! 急げ! 全員退避だ! 全力で走れ!」
シフォンの声に我に返ったレオがテントの方へ振り返った。
「ソフィア!」
まだ気を失ったままであろうシフォンと、付き添っているレモンを助けるべく駆けだすレオ。
「急げ! なるべく離れて体を隠せ! 爆風を避けろ!」
シフォンはプスプスと内部から燃え始めた大悪魔の上空を旋回しつつ、まだ魔族と戦っている兵士たちに叫んだ。
「退け! 退くんだ! 走れぇぇぇぇぇ!」
指揮者の声に一斉に駆けだした兵士と、何が起こっているのかわからない魔族。
両者の間の距離がどんどん広がっていく。
「くるぞ! 伏せろ!」
シフォンがよりいっそう高く舞い上がって叫んだ。
「レモン! ソフィアは私が運ぶ! 走れ! あの岩影に飛び込め!」
レオの声にレモンの体がビクッと揺れた。
「レオ?」
「早くしろ。爆発するぞ」
「ひぃっ!」
ソフィアを搔っ攫うように横抱きにしたレオと、慌てて駆けだすレモン。
「飛び込め!」
その言葉と同時に爆音が響き渡り、地鳴りのような振動が起こった。
「少し我慢してくれ」
レオがソフィアとレモンの上に覆いかぶさった。
パラパラと小石が降る音が聞こえるだけで、巻きあがった土煙で何も見えない状態だ。
しばらくそのままでいたレモンが、レオの下から這い出した。
「レオ? ねえレオ? 大丈夫?」
レオの頭に巻かれたハンカチが滑り落ち、ぽっかりと開いたその穴は乾いた血がこびりついていた。
「ソフィア? レオも……えぇぇぇん。母さぁぁぁぁぁん……怖いよぉぉぉ」
まるで幼子のように泣きじゃくるレモンは、ひたすら母親に助けを求めた。
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