クロヴァンの探偵日記

高松 津狼

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第三章 オソレカラス山編

第30話 熊 と チャンパカ

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チャンパカ「そこで待っとけ。僕が熊と戦ってくる。」
私「そんな無茶な!私も戦うよ!」
チャンパカ「まぁ待ってろ。」
私「でも熊なんて、人じゃないんだから危険だよ!」

チャンパカは心配している私を宥めるような目で見てきた。
私はよく分からないけど、止める気は起きなかった。きっと彼ならやれる...そう心の底で思ってしまった。

チャンパカ「よく見てて。クロヴァン。僕のことを。」

そう彼が言うと、ゆっくりとテントの外へ出た。
獰猛な熊の叫び声がこちらへ近付いてくる...怖い。

(熊の叫び声)
チャンパカ「仕方がない。ちょっとだけ本気を出すしかないかな。」

チャンパカはそう言うと、青磁色の剣を出して、熊と戦いはじめた。

カチンッ!カキンッ!

熊の爪と剣が当たり、鈍い音が辺りに響く。
熊は獰猛にチャンパカの体を狙って攻撃するが、それを澄ました顔でチャンパカは交わしていく。まるでファンタジー系の小説のようだ。
卓越した戦闘センスであることは、素人である私にすら分かる。
あんな怖い見た目をした大きな熊を相手に全く動じずに戦いきってる...さっき怪我して痛そうにしてたのが嘘みたいだ...

ガチンッ!

熊の大きな爪の一振るいが、チャンパカの剣技によって跳ね返されると、瞬く間にチャンパカは間合いに入って、心臓を一刺しした。

熊は大きな咆哮を上げながら乱暴に手を振り回している...

チャンパカは敢えて間合いに入ったままその攻撃を全て交わしている。そして、熊の背後を取ると、突然高く飛んで熊の首を一太刀で切った。

熊はそのまままっすぐ倒れていき、そのまま動かなくなった。

す...すごい。こんな凄い人だったんだ。
熊と戦っても全然動じない...しかも余力も残っていた...一体何者なんだこの人...!

チャンパカ「...(深呼吸)」

私は彼へなぜ勝てると思ったのか聞いてみることにした。

私「ねぇねぇ!どうして勝てると思ったの。」
チャンパカ「そうだなぁ...なんとなく戦える気がしたのかな。余り理由はない。」
私「で、でも戦うなんてなんでそんな危険な...」
チャンパカ「それに君に危険な思いをさせたくなかった。ただそれだけだよ。」
チャンパカ「このことはメラさんにも内緒ね...」

そういえば...メラさんも...同じ様に剣技を得意としていた気がする...
もしかしてこの二人、ヒョウタン人と戦ったことがあるのか...!?

私「ね...ねぇ。もしかしてチャンパカってヒョウタン人と戦ったことがあるの?」
チャンパカ「ここだけの話、何百人のヒョウタン人と戦ったことはあるよ。」
私「どのくらい強かった?私も戦える?」
チャンパカ「余りヒョウタン人と絡むといいことはないから、戦うことは避けることをお薦めするよ。この話はこれで終わりね。」
私「え...うん。」

もしかすると、この話は闇が深いのかな?
露骨に嫌悪感を示された...
私は少し気になったけれど、今は気にかけないことにした。

チャンパカと私は再びテントに向かい、再びフトンに横になった。
チャンパカも同じ様にフトンに入って私の隣で寝始めた。
私が少し緊張してもぞもぞしていると、チャンパカが私の背中をさすってきた。

チャンパカ「そんなにびくびくしなくたって大丈夫だよ。クロヴァンのことはちゃんと守るから。」

私は帰って逆に体が熱くなった。
さっきの熊を倒すときに服の間から少し見えた見た目に反して筋肉の着いた腕...真面目に相手を見ている時の鋭い眼光。強い相手を前にしても動じない胆力。その全てがカッコよかった。
この人の横に居れば...なぜか安心できる気がした。それと同時に体がポッと温かくなり続けている。初めての感覚だ。よく分からない感情。

私はふとチャンパカの方に顔を向けた。
チャンパカはもう寝ている...この人が寝ている顔ってこんなに綺麗なんだ...
それに鎖骨周りの筋肉。しっかり肉が付いている。カッコいいなぁ...

私が彼に少し見惚れていると、彼が突然目を開けた。

チャンパカ「クロヴァンは、このモノリスの調査が終わったら行きたい場所はあるかい?」
私「へ...?いや、とと特にないけど。なんでいきなり?」
チャンパカ「じゃあいつか、僕の故郷に連れて行ってあげるね。」
私「え...そのいきなりなにを...」
チャンパカ「いや...やっぱりなんでもない。またいつかその話はするね。」

そう言うとチャンパカは急に眠ってしまった。
私もなぜか急に体が冷めてきた。これで眠れるけれど...
なんだか少し寂しいな...

ーー翌朝ーー

チャンパカ「ほら。クロヴァン。早く上るぞ。この森でもうこんなに明るいってことは、もう正午くらいだぞ。」
私「うわぁ!?もうそんな時間!?」

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