転生したら悪役令嬢だった婚約者様の溺愛に気づいたようですが、実は私も無関心でした

ハリネズミの肉球

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【第二章】恋愛ゲーム、壊します宣言

15 学園への道―「奇妙な優しさ」

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馬車に乗り込み、アレクシスと向かい合う形で座る。この国の馬車は高級感にあふれ、絹張りの座席はふかふかだ。車輪の揺れも少なく、移動にともなうストレスは少ない。
でも、私の心は落ち着かない。向かい合った王子が、私の様子を時折うかがってくるからだ。

「……何かご用?」

たまりかねて尋ねると、彼はわずかに目を伏せ、「いや、特にはない」と一言。その割に、次の瞬間には「昨夜はちゃんと休めたのか」とか「朝食は摂ったのか」とか、やたら世話を焼くような質問を投げてくる。
正直、戸惑いしかない。こんなに細やかな気遣いを見せるアレクシスは、私の知る(というかゲームでの印象の)王子像とだいぶかけ離れている。

「ご心配ありがとうございます。でも私は……だいじょうぶです」

ぎこちなく答えると、彼はほんの少しだけ笑みの形になる。昨日まで苦悩に染まっていた表情からは想像しがたいほど穏やかだ。

「そうか。なら、よかった」

その穏やかな横顔を見たとき、私の中で何かが引っかかる。もしかしてこの王子は、単なる“冷徹な攻略対象キャラ”じゃなく、本当は優しくて不器用な人なのかもしれない……そんな予感がしてしまう。
けれど、まだ相手を信じきるには早い。私の立場は悪役令嬢なのだから――そう自分に言い聞かせるようにして、視線を外した。

馬車が王立学園へと近づくころ、周囲に見える街並みも活気を取り戻していた。朝の市場が開き、行き交う馬車や人々が活発に動いている。窓の外に広がる風景は、まさに中世ヨーロッパ風の王国そのものだ。
前世でもファンタジーの舞台設定が好きだった私は、少し興味を惹かれながら外を見る。――が、そんな好奇心も、学園が近づくとともに緊張へと変わっていく。

「ああ、きっと今日はリリィとの対面もあるだろうし、周囲からも色々言われるだろうな……」

でも、こうなった以上は仕方ない。私は深呼吸をして、心構えをする。アレクシスを見れば、彼もまたどこか張り詰めた空気をまとっていた。
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