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【第8章】転生して、ようやく“本当の私”になれた
80 遺跡の入り口――第二王子派の迎撃
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崩れた石段を上り、巨大な石門の手前まで来ると、ノエルの言った通り数名の兵士が警戒に立っていた。パッと見て、どこか正規軍には見えないいかがわしい装束の私兵だ。
アレクシスは騎士たちに合図し、一気に突撃する。相手は驚きつつも応戦してくるが、騎士団の訓練を受けた者たちに敵うわけがない。短い交戦の末、私兵たちは縛め上げられる。
「う、うぐぐ……殿下、なぜここに……!」
拘束された男が苦しげに声をあげ、アレクシスに詰め寄ろうとする。だが、騎士が口を塞ぐ。やはり第二王子派の人間らしい。
一行はさらに遺跡の奥へと踏み込む。中は薄暗く、石柱が何重にも並び、かつて大聖堂だったのだろうかと思わせる壮麗な造りの痕跡がある。だが、一部は崩れ、瓦礫が散乱している。
「ここから先、あまり多くの人員で動くと物音が響くわ。敵に気づかれる前に、俺と数名で先行する。セレナ、お前は――」
とアレクシスが言いかけたが、セレナは即答する。
「私も行く。魔法で支援できるし、待ってるだけなんてできないわ。あの石が本当にあるなら、私がこの目で見なきゃ気が済まない」
王子は苦笑しながらも、「わかった」と承諾した。ノエルと、腕の立つ騎士数名を連れて、少人数で遺跡の奥へと進んでいく。
石の床を踏むたびに埃が舞い、鼻がむずがゆい。壁には古代文字らしき彫刻が残り、どこか荘厳な雰囲気が漂う。まるで別世界に迷い込んだかのような感覚だ。
やがて、かすかな人声が聞こえてきた。暗い通路を曲がると、大きなホール状の空間に出る。その中央で、複数の人々がランタンを掲げ、床を掘り起こしたり壁を調べたりしているのが見える。――黒い甲冑や派手な衣服を纏った者たちが混ざっており、どう見ても学者には見えない。
「あれが第二王子派か……!」
アレクシスが小声で言い、ノエルが頷く。
「間違いありません。私が隠れて監視していたのも、あの場所です。さらに奥の祭壇を目指している模様でしたが、途中で何かを見つけたのか、ここを掘り返し始めたようです」
それならすぐにでも奇襲を仕掛けたい。セレナやアレクシスは気を引き締めながら、壁際に隠れつつ様子を伺う。すると、ホールの中央にいる人物が目に入った。
――高価なマントを羽織り、厳かな態度を保ちながら周囲に命令を飛ばす男。アレクシスが息を呑む。
「……あれは、第二王子ライオネル……!」
王子本人がやはり来ていた。金色の髪はアレクシスに似ているが、微妙に色が薄く、表情はどこか冷笑的だ。彼は床のあたりを指差しながら、「早く掘れ」と私兵に促している。
セレナの胸に嫌な予感が走る。“王家同士の争い”になれば、収拾がつかないことになる。でも、ライオネルがすでに禁断の戦力を整えているなら、こちらも遠慮してはいられない。
アレクシスは騎士たちを見回し、静かに号令を下した。
「これ以上進ませるわけにはいかない。……突撃する。第二王子だろうが、違法行為を働いているなら拘束するのが王家の義務だ!」
騎士たちが力強く頷く。セレナも気合を入れて魔法の準備を整えた。――この勝負、絶対に負けられない。
アレクシスは騎士たちに合図し、一気に突撃する。相手は驚きつつも応戦してくるが、騎士団の訓練を受けた者たちに敵うわけがない。短い交戦の末、私兵たちは縛め上げられる。
「う、うぐぐ……殿下、なぜここに……!」
拘束された男が苦しげに声をあげ、アレクシスに詰め寄ろうとする。だが、騎士が口を塞ぐ。やはり第二王子派の人間らしい。
一行はさらに遺跡の奥へと踏み込む。中は薄暗く、石柱が何重にも並び、かつて大聖堂だったのだろうかと思わせる壮麗な造りの痕跡がある。だが、一部は崩れ、瓦礫が散乱している。
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とアレクシスが言いかけたが、セレナは即答する。
「私も行く。魔法で支援できるし、待ってるだけなんてできないわ。あの石が本当にあるなら、私がこの目で見なきゃ気が済まない」
王子は苦笑しながらも、「わかった」と承諾した。ノエルと、腕の立つ騎士数名を連れて、少人数で遺跡の奥へと進んでいく。
石の床を踏むたびに埃が舞い、鼻がむずがゆい。壁には古代文字らしき彫刻が残り、どこか荘厳な雰囲気が漂う。まるで別世界に迷い込んだかのような感覚だ。
やがて、かすかな人声が聞こえてきた。暗い通路を曲がると、大きなホール状の空間に出る。その中央で、複数の人々がランタンを掲げ、床を掘り起こしたり壁を調べたりしているのが見える。――黒い甲冑や派手な衣服を纏った者たちが混ざっており、どう見ても学者には見えない。
「あれが第二王子派か……!」
アレクシスが小声で言い、ノエルが頷く。
「間違いありません。私が隠れて監視していたのも、あの場所です。さらに奥の祭壇を目指している模様でしたが、途中で何かを見つけたのか、ここを掘り返し始めたようです」
それならすぐにでも奇襲を仕掛けたい。セレナやアレクシスは気を引き締めながら、壁際に隠れつつ様子を伺う。すると、ホールの中央にいる人物が目に入った。
――高価なマントを羽織り、厳かな態度を保ちながら周囲に命令を飛ばす男。アレクシスが息を呑む。
「……あれは、第二王子ライオネル……!」
王子本人がやはり来ていた。金色の髪はアレクシスに似ているが、微妙に色が薄く、表情はどこか冷笑的だ。彼は床のあたりを指差しながら、「早く掘れ」と私兵に促している。
セレナの胸に嫌な予感が走る。“王家同士の争い”になれば、収拾がつかないことになる。でも、ライオネルがすでに禁断の戦力を整えているなら、こちらも遠慮してはいられない。
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「これ以上進ませるわけにはいかない。……突撃する。第二王子だろうが、違法行為を働いているなら拘束するのが王家の義務だ!」
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