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一章「異世界に転生した」
脱走してみた
しおりを挟む「奴隷は外につなげて、一緒に走らせることも多いらしいのだけど、そんなこと僕の好みじゃないからね」
「あんたは俺を買ってどうする気だ」
「おやおや、口の利き方がなっていないねえ。それに随分と男っぽい喋り方するじゃないか」
ねっとりとしている。顔をいいけど、何だか嫌悪感を感じる。裏がありそうなのが怖いのかな。
「それだったらどうなんだよ」
「いや、そのような勝気で男勝りな性格の女性が、堕ちる光景を想像するだけでたまらないものがあるからねえ。もちろん、僕とのあれこれをする間にそのような言葉遣いをすることが歓迎だが、外ではきちんとした言葉遣いをしてもらわなくては困るからねえ。屋敷では昼間にきちんと教育を受けてもらうことにしよう。そうして淑女となった君も見てみたいものだ」
淑女とは一体……。意味が分からないというよりも、奴隷に淑女となれと言うほうが意味がわからない。だって俺は性奴隷であって、別にそういったマナーや何やらの教育などをお金をかけて受ける必要はなにもないのだから。
「意味が分からないというような表情だね。僕はね、最初の奴隷には側にいてふさわしいだけの品格というものを身に着けて欲しいと思っているんだよ。それに教養ある女性が夜はすごいなんて興奮するじゃないか」
「この変態め」
言い返す言葉もこれしかないのが何とも言えない。
「さて、名前をまだ聞いていなかった。名前は何というのかね」
俺は苗字が正直きらいだ。だって濡場忍なんていう名前なのだから。忍はまだいい。だけど苗字だけは何とかならなかったのかと心底思う。
「苗字は……言いたくない。下の名前は忍」
「シノブというのか。良い名前だな。どこまで耐えることが出来るのか実に楽しみだ」
「分かったけどさ、この拘束は外してはくれないのか?」
拘束具があれば逃げることもままならないからな。まずはこれを外させることが一歩だ。
「そうだな。まあ大丈夫だろう。首輪は僕の趣味で外さないけど、足枷と手枷くらいは良いかな」
そういって外してくれた。これで自由だ。馬車の中で立ち上がって、ドアを開けた。男はそれを想定したかは分からないけど、特に行動を起こさない。これを俺は、驚いて何もできないだけと都合の良い解釈をすることにした。
「性奴隷になんてなってやるもんかじゃあな!」
開いた馬車の扉から飛び降りて、脱出した。ケガをしているが俺には回復魔法のヒールが使える。
「ヒール」
詠唱をして、傷を癒し全力で走った。案外チョロいな。こんな簡単に逃げられるなんて奴隷契約も対したことないな。
そう思っていたのもつかの間だった。突然、電撃が走った。
「ひ、ひゃああああああ!!!!!やめてくれ!!!!!!!!」
痛みという痛みが俺の身体を通り抜けていく。痛い、痛くて頭がどうにかなりそうだ。動けない。走ることなんてできるわけもなく、その場で倒れこんでしまった。
「まったく、ここまで短絡的とは思わなかった。でも拘束を外せと言ってきた時点でこうなることは予想で着ていたけどね」
そうかこの男、俺が脱走を試みても何もしなかったのは驚いていたからじゃない。無駄な行為でしかなく、こうなることが分かっていたからなんだ。俺は掌で転がされていただけというのか。嘆かわしい。
「こんな行為をするようじゃ、お仕置きは必要だね。いや調教といったほうがいいかい?」
「く、くそったれ」
「おやおや、ここまで勝気とはなかなかいるものんじゃない。僕は本当にいい買い物をしたようだ。さてこの行為がどうなるか戻ったらきっちりその体に教えてあげよう。
そういって動けない俺に、手枷足枷をつけて拘束した。
「馬車につなげようとも思ったけど、それじゃ面白くないからやらないことにしよう。でもその拘束はしばらく外してあげないかもね。少なくとも調教が終わるまではね」
「そ、そうかい。好きにしろよ」
それがいまだ痛む身体で発することのできる精一杯の強がりだった。
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