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一章「1人目の奴隷」
奴隷の意外な一面が見えたかもしれません
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「ルナ……ルナか。綺麗な名前だな」
本当に綺麗だ。
「……ありがとうございます」
何だろう。少し沈黙があった気がする。もしかしなくても言いたくないことがあるのかもしれない。でもそれくらい誰だってあるし別に問題もないだろう。
「私もご主人様の名前聞いてもいいですか?」
「俺は森野翔太っていうんだ。森野が性で翔太が名だな」
改めて名前を紹介しあって、なんだか気恥ずかしい。今夜は何もする気もないし、もう寝よう。ルナは俺の名前を声に出している。俺に対して今、どのような感情を持っているかわからない。少なくとも奴隷として買っている以上、あまりいいものではないかもしれないけど、主人である俺の名前を覚えようとしてくれているのは素直に嬉しいことだ。
「俺はもう寝るから。そのな、ルナも早く寝るようにな」
「ひゃ、ひゃい!」
尻尾と耳の毛が逆立っている。そこまで過剰に反応しなくてもいいのにな。まあ、自分の世界にでも入っていていきなり声をかけられて驚いたのだろう。
「そんなことよりもご主人様」
「どうしたそんなに改まって」
しかし急に冷静になってコイツの感情の緩急はどうなっているのだろう。
「首輪がついているとはいえ、私がご主人様が寝ている間に逃げるとは思っていないのですか?」
「言っている意味がよくわからないんだが」
一体何が言いたいんだろう。確か、首輪は奴隷自身では外すことができないはずだし、それに奴隷紋の効果で俺に主人に逆らうこともできないはず。であれば、逃げ出しても奴隷という身分であることは遅かれ早かれ露呈するわけなので逃げ出しても何か出来るわけでもないと思うが、その認識がなにか間違っているのだろうか。
「逃げ出すとは考えていないのですか?」
同じ質問が返ってきた。
「少なくとも逃げ出したところで金も持っていないだろうし、首輪も契約もなくなるわけじゃないんだからルナ一人で逃げ出してもその先がないだろう。そこまで馬鹿じゃないと少なくとも俺は信じているし、そんなことを聞く時点で逃げ出そうなんて考えていないんだろう?」
「……ご主人様は奴隷について本当に何も知らないんですね。普通、街中で出歩くときには枷を外されている奴隷が大半です。しかしそれは日中で大抵主人と一緒にいるときです。それ以外では拘束をされていることが多いと聞いています。それに奴隷が逃亡するなどよくある話のようです。それで奴隷商に戻ってきた者も少なくありません。ですので夜、私を拘束されないのかなと。逃げ出しちゃうかもしれないですよ私」
「つまりルナは拘束されたがっているマゾであるという認識で大丈夫かな。お前、俺のことを変態だと言っていたけど、実はお前の方が変態適正があるんじゃないのか?」
するとルナは顔を真っ赤にしてしまった。身体ももじもじさせているのは気のせいだろうか。というか、コイツそんなに拘束されたかったのか。真正の変態かもしれない。どこかのSMクラブでもいけそうな口かもしれないな。
「そんなことない!……です。それでつけるんですかつけないんですか」
性的なことをしたくないと言ったり、暗に拘束してくれと頼んだりよくわからない奴だ。でもこれで遊ぶのも面白そうだし、それに奴隷という身分であるが故の防衛本能というか、主人である俺の信頼を少しでも早くとりたい、あるいは俺に半旗を翻す意思はないと明確に示したいのかもしれないな。
「分かったよ。そんなに奴隷であるルナが望むんだ。その期待に主人である俺も応えないといけないな。それじゃあつけてやるからベッドに座れ」
立ち上がっていたルナに命令した。ルナは静かに頷きベッドに座った。耳も尻尾もしおれていないから嫌ってことはないだろう。取り合えず、何をつけるか考えたが、買った当初についていた手枷、足枷それから奴隷商からもらったものをつけることにした。
「それじゃつけるぞ」
「お願いします……」
何だかルナの顔が少し赤い気がするのだが気のせいかな。
「それもですか!?」
ルナは俺が取り出したものに少し驚いたようだ。
「なんだお前が拘束しろって言うからつけるんだ。それとも今更やめるのか?」
「~~~お願いします」
本当にこいつは何を考えているんだかわからないが、ルナが若干抵抗しようとしたのもわかる気がする。手枷と足枷を首輪に取り付けた鎖に接続するのだ。そうすることで手足の動きはより抑制される。しかし動けないということもないため動かそうとすると、もれなく鎖のジャラジャラという音がついてくる。素晴らしい音ではないか。この微妙には動かせるけど、いやでも拘束具の存在を認識させられるものは甘美なものだと俺は確信している。
「あのご主人様、この枷の鎖なんだか短い気がするんですか……」
「さすがに気が付くよな。でもお前が逃げ出すかもしれないなんて俺を脅すから絶対逃げ出せないように短くもしてみたんだが?」
「ここまで短いなんて……本当に何もできないですね」
ルナは枷の感覚を確かめるように手足を動かしていた。こんなに動きにくいとトイレが不安だがまあ、本人が望んだことだし何とかなるだろう。それに息が荒いのも狂気性を感じて怖い。お風呂に入る前に外してすごく嬉しそう顔をしていたのはなんだったのだろうか。酒は飲んでいないはずだが、酔っぱらっているのかと疑いたくなる。
「ま、まあ俺は本当にもう寝るから。さすがに床にまで固定してトイレにいけなくて結果、処理の手間を増やすのは面倒だからしない。いいな」
あらかじめ予防線を張ったうえで顔を赤らめているルナを横目に横になった。
「はいご主人様。ありがとうございます。おやすみなさい」
ちょっと恐ろしい奴隷を買ってしまったかもしれない。反抗的な部分を堕とすことを目標としてたが、これは違う意味でもう堕ちているかもしれない。重症だな。こいつが問題があるのはこの部分なのかもしれない。それを分かって引き取り手がいないと言っていたのだとしたらあの奴隷商にとんでもない商品をつかまされたことにはなるな。でもまあ、楽しい生活にはなりそうだし、多分反抗的な側面を持っているのも本当だろうからいいか。
本当に綺麗だ。
「……ありがとうございます」
何だろう。少し沈黙があった気がする。もしかしなくても言いたくないことがあるのかもしれない。でもそれくらい誰だってあるし別に問題もないだろう。
「私もご主人様の名前聞いてもいいですか?」
「俺は森野翔太っていうんだ。森野が性で翔太が名だな」
改めて名前を紹介しあって、なんだか気恥ずかしい。今夜は何もする気もないし、もう寝よう。ルナは俺の名前を声に出している。俺に対して今、どのような感情を持っているかわからない。少なくとも奴隷として買っている以上、あまりいいものではないかもしれないけど、主人である俺の名前を覚えようとしてくれているのは素直に嬉しいことだ。
「俺はもう寝るから。そのな、ルナも早く寝るようにな」
「ひゃ、ひゃい!」
尻尾と耳の毛が逆立っている。そこまで過剰に反応しなくてもいいのにな。まあ、自分の世界にでも入っていていきなり声をかけられて驚いたのだろう。
「そんなことよりもご主人様」
「どうしたそんなに改まって」
しかし急に冷静になってコイツの感情の緩急はどうなっているのだろう。
「首輪がついているとはいえ、私がご主人様が寝ている間に逃げるとは思っていないのですか?」
「言っている意味がよくわからないんだが」
一体何が言いたいんだろう。確か、首輪は奴隷自身では外すことができないはずだし、それに奴隷紋の効果で俺に主人に逆らうこともできないはず。であれば、逃げ出しても奴隷という身分であることは遅かれ早かれ露呈するわけなので逃げ出しても何か出来るわけでもないと思うが、その認識がなにか間違っているのだろうか。
「逃げ出すとは考えていないのですか?」
同じ質問が返ってきた。
「少なくとも逃げ出したところで金も持っていないだろうし、首輪も契約もなくなるわけじゃないんだからルナ一人で逃げ出してもその先がないだろう。そこまで馬鹿じゃないと少なくとも俺は信じているし、そんなことを聞く時点で逃げ出そうなんて考えていないんだろう?」
「……ご主人様は奴隷について本当に何も知らないんですね。普通、街中で出歩くときには枷を外されている奴隷が大半です。しかしそれは日中で大抵主人と一緒にいるときです。それ以外では拘束をされていることが多いと聞いています。それに奴隷が逃亡するなどよくある話のようです。それで奴隷商に戻ってきた者も少なくありません。ですので夜、私を拘束されないのかなと。逃げ出しちゃうかもしれないですよ私」
「つまりルナは拘束されたがっているマゾであるという認識で大丈夫かな。お前、俺のことを変態だと言っていたけど、実はお前の方が変態適正があるんじゃないのか?」
するとルナは顔を真っ赤にしてしまった。身体ももじもじさせているのは気のせいだろうか。というか、コイツそんなに拘束されたかったのか。真正の変態かもしれない。どこかのSMクラブでもいけそうな口かもしれないな。
「そんなことない!……です。それでつけるんですかつけないんですか」
性的なことをしたくないと言ったり、暗に拘束してくれと頼んだりよくわからない奴だ。でもこれで遊ぶのも面白そうだし、それに奴隷という身分であるが故の防衛本能というか、主人である俺の信頼を少しでも早くとりたい、あるいは俺に半旗を翻す意思はないと明確に示したいのかもしれないな。
「分かったよ。そんなに奴隷であるルナが望むんだ。その期待に主人である俺も応えないといけないな。それじゃあつけてやるからベッドに座れ」
立ち上がっていたルナに命令した。ルナは静かに頷きベッドに座った。耳も尻尾もしおれていないから嫌ってことはないだろう。取り合えず、何をつけるか考えたが、買った当初についていた手枷、足枷それから奴隷商からもらったものをつけることにした。
「それじゃつけるぞ」
「お願いします……」
何だかルナの顔が少し赤い気がするのだが気のせいかな。
「それもですか!?」
ルナは俺が取り出したものに少し驚いたようだ。
「なんだお前が拘束しろって言うからつけるんだ。それとも今更やめるのか?」
「~~~お願いします」
本当にこいつは何を考えているんだかわからないが、ルナが若干抵抗しようとしたのもわかる気がする。手枷と足枷を首輪に取り付けた鎖に接続するのだ。そうすることで手足の動きはより抑制される。しかし動けないということもないため動かそうとすると、もれなく鎖のジャラジャラという音がついてくる。素晴らしい音ではないか。この微妙には動かせるけど、いやでも拘束具の存在を認識させられるものは甘美なものだと俺は確信している。
「あのご主人様、この枷の鎖なんだか短い気がするんですか……」
「さすがに気が付くよな。でもお前が逃げ出すかもしれないなんて俺を脅すから絶対逃げ出せないように短くもしてみたんだが?」
「ここまで短いなんて……本当に何もできないですね」
ルナは枷の感覚を確かめるように手足を動かしていた。こんなに動きにくいとトイレが不安だがまあ、本人が望んだことだし何とかなるだろう。それに息が荒いのも狂気性を感じて怖い。お風呂に入る前に外してすごく嬉しそう顔をしていたのはなんだったのだろうか。酒は飲んでいないはずだが、酔っぱらっているのかと疑いたくなる。
「ま、まあ俺は本当にもう寝るから。さすがに床にまで固定してトイレにいけなくて結果、処理の手間を増やすのは面倒だからしない。いいな」
あらかじめ予防線を張ったうえで顔を赤らめているルナを横目に横になった。
「はいご主人様。ありがとうございます。おやすみなさい」
ちょっと恐ろしい奴隷を買ってしまったかもしれない。反抗的な部分を堕とすことを目標としてたが、これは違う意味でもう堕ちているかもしれない。重症だな。こいつが問題があるのはこの部分なのかもしれない。それを分かって引き取り手がいないと言っていたのだとしたらあの奴隷商にとんでもない商品をつかまされたことにはなるな。でもまあ、楽しい生活にはなりそうだし、多分反抗的な側面を持っているのも本当だろうからいいか。
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