愛させてよΩ様

ななな

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1章

19

初めての発情期から、3ヶ月経ったが発情期は一向に来ない。
どうやら、僕はあんまり発情期が軽いみたいだ。
入学した頃に植えたカモミールも、もうそろそろ収穫出来そうだ。

「リオン様、もし良かったらなんですけどカモミールの絵の描き方を教えてくれませんか」
「いいよ。僕もあんまり上手って訳じゃないけどね」
「......お恥ずかしながら、絵が酷すぎると実習ノートが再提出になってしまって」
「そっか。きっと一緒に描けば大丈夫だよ」

オリヴァーは絵が苦手なんだな。
意外だ。いつも何でもそつなくこなすから絵も上手いのかと勝手に思っていた。

「......これなんですが」
「これは......」

オリヴァーが描いたカモミールは花とは言えないくらい歪んでいて、カモミールと言わなければ芸術的なライオンに見えた。

「まず、これは消して。それから小さめの円を描いてみようか」

これは中々、時間が掛かりそうだ。

「描けました!」
「次は、花びらを均一に描こう」

......花びらが苦手なのか、描いては消してを繰り返しだした。
見てみると花びらの先が尖り、大きさもバラバラだ。


「花びらの先はこうやって丸く描くと、カモミールに似ると思うよ」
「はい!」

何個か花びらを描くうちに慣れてきたのか、大分上手くなってきている。
アル様の生徒会の会議が終わるのは5時。
このペースなら5時までに描き上がりそうだな。

「リオ、お待たせ」
「あれ、アル様。今日は随分早いのですね」
「今日は会長が風邪気味だからと早く終わったんだ」
「すみません。もう時間ですよね。後は自分で描けますので大丈夫です」
「いや、いいんだよ。何の課題なの?」
「実習の植物の絵を描いているんです。......あまりにも絵が下手で再提出になってしまいまして、リオン様に教えて貰っていたのです」
「それなら私も一緒に見てあげよう。絵は得意なんだ」
「ありがとうございます!」

なんだか、不思議な組み合わせだ。
オリヴァーとアル様が話してるのは新鮮な気がする。

「これは、少し薄めに線を引くといいよ」
「本当ですね。綺麗に見えます!」

アル様は僕に教えるように、分かりやすく的確に教えてあっという間に絵が完成した。

「ありがとうございます!お二人のおかげで上手く描けました」
「オリヴァーくんは教えるとすぐに出来るからこんなに早く終わったんだよ。ね、リオ」
「うん。オリヴァーが頑張ったからだよ」
「本当にありがとうございました!それでは提出して来ますね。さようなら」
「うん!また明日」

オリヴァーは手を振って教室から出ていってしまった。

「それでは、僕達も帰りましょうか」
「そうだね」

馬車に揺られ、今日あった事などを話す。
帰りの日課だ。

「そういえば、体調はどう?発情期から3ヶ月経つけど」
「今のところ大丈夫です。あんまり頻繁に発情期になっても困るので、頻度が少なければいいんですけどね」
「そっか。それで、運命は見つかった?」

忘れていた。
運命の番探しなど忘れて、学校生活を楽しんでいた。

「えっと、まだです......」
「そっか。見つからないといいな」
「アル様は運命の番は......」
「そんなのずっと前から見つけているよ」
「僕以外でいないのですか」
「いない。君以上の子なんていないよ」
「そう...ですか...」

そう言われて喜んでいる自分がいる。
やっぱり運命なのだろうか。
そう信じたくなっている。
信じてしまえば、もっとアル様と距離が近づくのだろうか。
発情期が来てからそんな事ばかり考えてしまう。

「アル様、僕...ごめんなさい」

やっぱり、怖い。
言えない。

「何十年でも待つよ。そうしたら、信じて欲しいな」

こんなに優しい人を何十年も待たせるのは心が痛い。

「そんなに待たせません。数年後にはきっと」
「本当!?すごく嬉しいよ。ずっと待ってるね」

数年後どころかそのうち、運命だと認めてしまいそうだ。

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