愛させてよΩ様

ななな

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1章

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殿下と馬車に乗るのは初めてだ。
思ったより距離が近くて緊張する。
「リオ。昨日はよく寝られた?」
「実を言うと緊張しちゃって...あまり寝た気がしないです。アルベルト殿下はよく眠れましたか?」
「...リオ、二人の時はアルって呼ぶの、緊張で忘れちゃったかな?」
「あっ、アル様...すみません。まだ呼び慣れなくて」
「様も要らないんだけどな」
去年の殿下の誕生日会から、二人きりの時はミドルネームで呼ぶって話をしたんだった。
「...アル...様、今日はいい天気ですね。入学式日和です」
やっぱり、様無しは無理だ...。
だって尊敬すべき未来の国王だし、今までずっとアルベルト殿下と呼んでいたのにいきなり呼び捨ては出来ない。
「...確かにいい天気だね。リオは晴れが好き?」
「好きです。暖かくて、本を読む時に日向ぼっこもできて...」
「最近はどういう本読んだの?」
「えっと...」
昨日読み終えたのは、令嬢の間で流行ってる貴族と騎士が駆け落ちするロマンス小説だけど...。
言うのが気恥ずかしい。きっと、殿下はそういうものを読まないだろうし僕がそういうものが好きだと思われたくない。
「...騎士道精神みたいな」
間違ってはない...令嬢を最後まで守り抜く所とか...。
「騎士が好き?王子は嫌?」
「え?あ、そんな」
「...意地悪してみたかっただけだよ」
「...あまり困らせないでください」
本当冷や冷やさせられる。
ずっと心臓がうるさい。
「リオは恥ずかしがり屋さんだもんね。ごめんね」
「アル様は意地悪です...」
本当なら不敬罪に当たる言葉だけど、僕が馴れ馴れしくすればするほど喜ぶお方で許されてしまう。
婚約者の爵位が低ければ、何をしてもいいという認識が定着してる中でこの国の王子というお方に大切にされてるのは珍しいことだ。
アル様の弟は運命の番がもう3回も変わり取っ替え引っ替えしているが盲目的な貴族と国民達は誰1人として責めない。
この国では地位が高ければ何をしても許されてしまう。
アル様はその概念を変えたいとおっしゃっていた。
そのお話を聞くまで僕も盲目的な国民達と同じで地位が高い人のすることはどうしようもないことだと思っていた。
本当のことを言うとアル様のお手伝いがしたい。この国が変わるのを側で見ていたい。
僕が本当に運命の番だったらアル様のお側に居れるのに。
叶わないのは知ってるから、もうとっくに諦めたのだけど優しくされるとどうしても思ってしまう。
「リオ、どうしたの?そんな顔して。体調でも悪いの?馬車に酔ってしまった?」
「あ、いえ...緊張で」
「馬車を停めてくれないか?」
「本当に大丈夫です!あの...」
「私が緊張してしまったんだ。付き合ってくれないか」
「...はい」
本当は緊張なんてしてないことも分かってる。
僕を気遣ってくれたのだ。
本当に優しい人。
運命の番じゃないのだから、優しくなんかしないで欲しい。離れたくなくなってしまうから。
僕が好きになったら困ってしまうのはアル様の方なのだから。




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