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1章
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アル様と少し休憩をし学校に向かった。
王族には裏の専用の出入り口があり、そこから出入りする。
婚約者の僕も同じく、そこを使わせてもらえる。
王族専用出入り口があるのは暗殺未遂が起きたからだ。先代の国王が学生だった時に平民が生徒になりすまし、学校に侵入し陛下を殺そうとした。
それから学校の警備が厳しくなり、王族のみ従者と共に行動が許された。
正門は登下校時、人が多過ぎて警備が困難になるため専用出入り口が作られた。
大体、王族が従者無しで大勢がいる場所にいること自体おかしいのだから、最初からそうすればよかったのだ。
今は入学式まで時間があるからとアル様と庭園に来ている。
庭園には色とりどりの花と噴水に東屋とベンチがあり、生徒がお茶会やパーティーをする時に使えるようになっている。
ベンチに腰掛けてぼーっとしている。
何か話したほうがいいかと思ったけど、天気が良く、暖かいせいで眠たくて頭が回らない。
「気持ちがいいね」
「はい。...少し、寝てしまいそうです」
流石にアル様の前では恥ずかしくて寝れそうにないけど。このベンチで本を読みたいな。
「おすすめの本ってあるかな?」
びっくりした。
考えてることが口に出ていたのかと思った。
「おすすめなら...」
正直に僕が好きだと思ったやつか。
それとも、人気の本を言うか。
「おすすめは、森に住む美しい人って本です。あまり、人気の作品ではないんですけど、僕はとても好きで...」
きっと、聞いただけで読むことはないだろう。だから、僕が1番好きな本。
「森に住む美しい人...分かった。覚えたよ」
本当に読んでくれるのだろうか。
読んでくれたら本当に嬉しい。
「アル様はおすすめありますか?本じゃなくても、なんでも...」
「本だったら、花束と貴方が好きかな」
「花束と貴方...その本って運命の番に出会っても好きだった人と一緒になる本ですよね」
「流石だね、リオは。運命を越えるなんて素敵じゃない?」
「運命を越えるなんてことは出来るわけないって思います。でも、だからこそ出来たら本当に素敵なんでしょうね」
「運命の人より、好きな相手といたいけどね」
「運命の番が好きな相手になるので無理ですよ」
それに運命の番なら、周りもその人と結ばれることを望むはず。
「嫌って言ってくれたらいいのに」
「...どういうことですか」
「そんな顔させるつもりじゃなかったんだよ」
そう言って、僕の唇を親指でなぞった。
触られて気づいたけど、下唇を噛んでいた。
きっと、すごく嫌そうな顔をしたのが目に浮かぶ。
アル様の前でそんな顔をしていたということも恥ずかしかったし、唇をなぞられるのもドキドキしてしまった。
これじゃ、僕がまだ見ぬ運命の番に嫉妬しているようだ。
「嫌ではございません...。それが国のためではございませんか」
そう、これは国のために必要なこと。
「アル様、そろそろ式典が始まりますので中に戻りましょうか」
「そうだね...ねぇ、どうしたら信じてくれる?」
風であまり聞こえなかった。
「すみません。今なんとおっしゃいましたか」
「いや、なんでもない。戻ろうか」
王族には裏の専用の出入り口があり、そこから出入りする。
婚約者の僕も同じく、そこを使わせてもらえる。
王族専用出入り口があるのは暗殺未遂が起きたからだ。先代の国王が学生だった時に平民が生徒になりすまし、学校に侵入し陛下を殺そうとした。
それから学校の警備が厳しくなり、王族のみ従者と共に行動が許された。
正門は登下校時、人が多過ぎて警備が困難になるため専用出入り口が作られた。
大体、王族が従者無しで大勢がいる場所にいること自体おかしいのだから、最初からそうすればよかったのだ。
今は入学式まで時間があるからとアル様と庭園に来ている。
庭園には色とりどりの花と噴水に東屋とベンチがあり、生徒がお茶会やパーティーをする時に使えるようになっている。
ベンチに腰掛けてぼーっとしている。
何か話したほうがいいかと思ったけど、天気が良く、暖かいせいで眠たくて頭が回らない。
「気持ちがいいね」
「はい。...少し、寝てしまいそうです」
流石にアル様の前では恥ずかしくて寝れそうにないけど。このベンチで本を読みたいな。
「おすすめの本ってあるかな?」
びっくりした。
考えてることが口に出ていたのかと思った。
「おすすめなら...」
正直に僕が好きだと思ったやつか。
それとも、人気の本を言うか。
「おすすめは、森に住む美しい人って本です。あまり、人気の作品ではないんですけど、僕はとても好きで...」
きっと、聞いただけで読むことはないだろう。だから、僕が1番好きな本。
「森に住む美しい人...分かった。覚えたよ」
本当に読んでくれるのだろうか。
読んでくれたら本当に嬉しい。
「アル様はおすすめありますか?本じゃなくても、なんでも...」
「本だったら、花束と貴方が好きかな」
「花束と貴方...その本って運命の番に出会っても好きだった人と一緒になる本ですよね」
「流石だね、リオは。運命を越えるなんて素敵じゃない?」
「運命を越えるなんてことは出来るわけないって思います。でも、だからこそ出来たら本当に素敵なんでしょうね」
「運命の人より、好きな相手といたいけどね」
「運命の番が好きな相手になるので無理ですよ」
それに運命の番なら、周りもその人と結ばれることを望むはず。
「嫌って言ってくれたらいいのに」
「...どういうことですか」
「そんな顔させるつもりじゃなかったんだよ」
そう言って、僕の唇を親指でなぞった。
触られて気づいたけど、下唇を噛んでいた。
きっと、すごく嫌そうな顔をしたのが目に浮かぶ。
アル様の前でそんな顔をしていたということも恥ずかしかったし、唇をなぞられるのもドキドキしてしまった。
これじゃ、僕がまだ見ぬ運命の番に嫉妬しているようだ。
「嫌ではございません...。それが国のためではございませんか」
そう、これは国のために必要なこと。
「アル様、そろそろ式典が始まりますので中に戻りましょうか」
「そうだね...ねぇ、どうしたら信じてくれる?」
風であまり聞こえなかった。
「すみません。今なんとおっしゃいましたか」
「いや、なんでもない。戻ろうか」
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