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1章
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柄にもないことをしてしまった。
これじゃあ、僕がアル様を好きだというのがバレてしまう。
というか、今のでバレてしまったのでは。
アル様はあれから頬が染まりきって、なかなかいつものような涼しげな顔に戻らなかった。
それを、他の人に見せたくないと思ってしまった。
どうしようもないほど、愛しくて、また同じ顔をさせたい。
でも、誰にも見せたくない。
「アル様、お顔が緩んだままですよ。王族らしい表情に戻してください」
「......きみが、そうさせたんだろう。それなのに君が直せと言うのは理不尽ではないか」
照れた顔で、不満を訴えられても可愛いく見えてしまう。
「それは、そうですが......。アル様の、照れたお顔を誰にも見せたくないのです」
「また、そういうことを言う。今日はリオも変だよ」
「アル様が僕をおかしくしてるのに」
また、アル様の顔が緩み、せっかく冷めてきた頰がまた熱くなっている。
「......あまり、揶揄わないでくれ。俺はリオに弱いんだ」
「少し、休憩してから教室に行きましょう」
いつも登校は余裕を持って来てるので、休憩するだけの時間はある。
今日の僕はどうかしている。
アル様が照れたのを見ただけ、それだけなのに。
王族専用の部屋に行き、一緒にソファーに座る。
いつもはもっと詰めてくるのに、今日は少し、遠かった。
それに、少しもこっちを見ない。
普段は近くにいたら、穴が空くほどに見つめてくるのに。
「アル様、こっちを向いてください」
「......今はまだ見れない。大体、今日のリオはおかしいよ。片想いをし続けてきた私からしたら、期待してしまうよ」
「......運命じゃないのに?」
思わず、声が出た。
僕たちは運命じゃないのだ。
「運命じゃないと言われても、まだこんなに......」
「だめです」
それ以上は聞いてはいけない気がして、アル様の口を塞いでしまった。
王族の発言を遮るだなんて、首が飛んでしまう。
「だめだと言うのに、私をなかなか諦めさせてくれないなんて、君は酷い人だ」
「アル様だって酷い人です。運命じゃないのに、運命と言ったり、期待させるようなことばかりなさる」
「リオが頑固だからだよ。いつまでも認めてくれないから。期待していいのに」
「期待したら、後で辛くなるのは僕じゃないですか。」
「辛くなんてさせない」
「信じない」
「信じてよ」
今日の僕はやっぱり変だ。
信じたい。
信じたら傷つくのは僕だ。
そう、分かっているのに。
アル様の側にいたい。
もし、今番えるのなら、すぐに番ってしまいたい。
アル様の気持ちが変わらないうちに。
そう出来たのなら、どんなに幸せなんだろう。
アル様が運命だったらどんなに良かったか。
これじゃあ、僕がアル様を好きだというのがバレてしまう。
というか、今のでバレてしまったのでは。
アル様はあれから頬が染まりきって、なかなかいつものような涼しげな顔に戻らなかった。
それを、他の人に見せたくないと思ってしまった。
どうしようもないほど、愛しくて、また同じ顔をさせたい。
でも、誰にも見せたくない。
「アル様、お顔が緩んだままですよ。王族らしい表情に戻してください」
「......きみが、そうさせたんだろう。それなのに君が直せと言うのは理不尽ではないか」
照れた顔で、不満を訴えられても可愛いく見えてしまう。
「それは、そうですが......。アル様の、照れたお顔を誰にも見せたくないのです」
「また、そういうことを言う。今日はリオも変だよ」
「アル様が僕をおかしくしてるのに」
また、アル様の顔が緩み、せっかく冷めてきた頰がまた熱くなっている。
「......あまり、揶揄わないでくれ。俺はリオに弱いんだ」
「少し、休憩してから教室に行きましょう」
いつも登校は余裕を持って来てるので、休憩するだけの時間はある。
今日の僕はどうかしている。
アル様が照れたのを見ただけ、それだけなのに。
王族専用の部屋に行き、一緒にソファーに座る。
いつもはもっと詰めてくるのに、今日は少し、遠かった。
それに、少しもこっちを見ない。
普段は近くにいたら、穴が空くほどに見つめてくるのに。
「アル様、こっちを向いてください」
「......今はまだ見れない。大体、今日のリオはおかしいよ。片想いをし続けてきた私からしたら、期待してしまうよ」
「......運命じゃないのに?」
思わず、声が出た。
僕たちは運命じゃないのだ。
「運命じゃないと言われても、まだこんなに......」
「だめです」
それ以上は聞いてはいけない気がして、アル様の口を塞いでしまった。
王族の発言を遮るだなんて、首が飛んでしまう。
「だめだと言うのに、私をなかなか諦めさせてくれないなんて、君は酷い人だ」
「アル様だって酷い人です。運命じゃないのに、運命と言ったり、期待させるようなことばかりなさる」
「リオが頑固だからだよ。いつまでも認めてくれないから。期待していいのに」
「期待したら、後で辛くなるのは僕じゃないですか。」
「辛くなんてさせない」
「信じない」
「信じてよ」
今日の僕はやっぱり変だ。
信じたい。
信じたら傷つくのは僕だ。
そう、分かっているのに。
アル様の側にいたい。
もし、今番えるのなら、すぐに番ってしまいたい。
アル様の気持ちが変わらないうちに。
そう出来たのなら、どんなに幸せなんだろう。
アル様が運命だったらどんなに良かったか。
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