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1章
12
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オリヴァーとこれからどのように接していくか。
そんなことを考えていたら、アル様の迎えがきた。
こういうのは、アル様に相談しなければ。
「リオ、」
「アル様」
まさか、タイミングが重なってしまうとは...。
少し、嬉しい。
「ふふ、先にどうぞ」
なんだか、可愛いな。
アル様らしくないところが可愛い。
こんな顔久しぶりに見たな。
「...ありがとうございます。アシュリー家についての噂はご存知ですか?」
「あぁ、次期騎士団長候補と噂されてるオリヴァー君のことだよね。あまり良くない噂だ。アシュリー家にそんな気はないと思うけど」
やっぱり、アル様も知っていたのか。
さすが、次期国王だ。
情報にも強い。
「噂をなくすのは厳しいよね。だから、オリヴァー君に別の仕事を任せようと思って」
「それは...!素晴らしい考えですね!」
「だろう?...私の護衛を頼もうかと思っているんだけどどうかな?」
アル様の護衛をするため、騎士団長は出来ない。
オリヴァーの実力も隠す必要はなくなる。
「流石です!とてもいい考えです!」
「それか、リオの護衛かな」
「僕の護衛なんていらないですよ」
「私はリオがとても大切なんだよ。護衛をつけないなんて落ち着かないし、私が守れるところに居て欲しいと思っている」
今日のアル様はなんだか、いつもより力が抜けて素直な気がする。
いつもは言わないようなことばかりおっしゃる。
「アル様、いいことでもありましたか?」
「...突然だなぁ。そうだね。些細なことさ」
何があったんだろう。
知りたい。
アル様にこんな顔させる方法を知りたい。
「些細なことでも知りたいと言ったら......なんでも無いです。聞かなかったことにしてください」
言ってて、恥ずかしくなってしまった。
なんでも無いと言ったのも、なおさら恥ずかしい。
「......話すタイミングが同じだっただけなんだ。後、話そうと思っていた内容も......。なんだか、恥ずかしいね」
「え、」
話すタイミングが同じ......たったそれだけ。
でも、僕も一緒だった。
嬉しいと思ってしまった。
「僕も同じです......。内容も一緒だったんですね。更に嬉しいです」
アル様がどんな反応をするのか。
見たくてたまらない。
恐る恐る、アル様を見つめる。
「...本当かい?」
口元を隠し、真っ赤な顔で視線を窓へ向けている。
初めて、みた。
照れてる顔なんて。
いつも、澄ました顔で僕を試すようなことを言うアル様が照れている。
「アル様、こっち向いてください」
もっと、見たい。
僕と同じことを考えただけで喜んでしまうことに恥ずかしがるこの人の顔を。
「君は、たまに強引になるよね」
気づいたら、アル様の頬に触れていた。
「アル様の照れている顔だなんて、初めて見ました」
「君にしか見せれないよ」
「なんだか、すごく可愛いです」
「...君の方が可愛い。いつも抱きしめたいと思うよ」
「僕も今、すごく抱きしめたいです」
「いいの?」
馬車が揺れる中、アル様の隣に座る。
美しい顔が伏し目がちに、僕を見つめる。
「アル様って僕が思ってるより、可愛い人なんですね」
運命じゃないのに、こんなにも惹かれてしまう。
いつか、僕の元を離れてしまうのに期待せずにはいられない。
時が止まればいいのに。
「可愛いのは君だよ」
いつまでもそう言ってくれればいいのに。
そんなことを考えていたら、アル様の迎えがきた。
こういうのは、アル様に相談しなければ。
「リオ、」
「アル様」
まさか、タイミングが重なってしまうとは...。
少し、嬉しい。
「ふふ、先にどうぞ」
なんだか、可愛いな。
アル様らしくないところが可愛い。
こんな顔久しぶりに見たな。
「...ありがとうございます。アシュリー家についての噂はご存知ですか?」
「あぁ、次期騎士団長候補と噂されてるオリヴァー君のことだよね。あまり良くない噂だ。アシュリー家にそんな気はないと思うけど」
やっぱり、アル様も知っていたのか。
さすが、次期国王だ。
情報にも強い。
「噂をなくすのは厳しいよね。だから、オリヴァー君に別の仕事を任せようと思って」
「それは...!素晴らしい考えですね!」
「だろう?...私の護衛を頼もうかと思っているんだけどどうかな?」
アル様の護衛をするため、騎士団長は出来ない。
オリヴァーの実力も隠す必要はなくなる。
「流石です!とてもいい考えです!」
「それか、リオの護衛かな」
「僕の護衛なんていらないですよ」
「私はリオがとても大切なんだよ。護衛をつけないなんて落ち着かないし、私が守れるところに居て欲しいと思っている」
今日のアル様はなんだか、いつもより力が抜けて素直な気がする。
いつもは言わないようなことばかりおっしゃる。
「アル様、いいことでもありましたか?」
「...突然だなぁ。そうだね。些細なことさ」
何があったんだろう。
知りたい。
アル様にこんな顔させる方法を知りたい。
「些細なことでも知りたいと言ったら......なんでも無いです。聞かなかったことにしてください」
言ってて、恥ずかしくなってしまった。
なんでも無いと言ったのも、なおさら恥ずかしい。
「......話すタイミングが同じだっただけなんだ。後、話そうと思っていた内容も......。なんだか、恥ずかしいね」
「え、」
話すタイミングが同じ......たったそれだけ。
でも、僕も一緒だった。
嬉しいと思ってしまった。
「僕も同じです......。内容も一緒だったんですね。更に嬉しいです」
アル様がどんな反応をするのか。
見たくてたまらない。
恐る恐る、アル様を見つめる。
「...本当かい?」
口元を隠し、真っ赤な顔で視線を窓へ向けている。
初めて、みた。
照れてる顔なんて。
いつも、澄ました顔で僕を試すようなことを言うアル様が照れている。
「アル様、こっち向いてください」
もっと、見たい。
僕と同じことを考えただけで喜んでしまうことに恥ずかしがるこの人の顔を。
「君は、たまに強引になるよね」
気づいたら、アル様の頬に触れていた。
「アル様の照れている顔だなんて、初めて見ました」
「君にしか見せれないよ」
「なんだか、すごく可愛いです」
「...君の方が可愛い。いつも抱きしめたいと思うよ」
「僕も今、すごく抱きしめたいです」
「いいの?」
馬車が揺れる中、アル様の隣に座る。
美しい顔が伏し目がちに、僕を見つめる。
「アル様って僕が思ってるより、可愛い人なんですね」
運命じゃないのに、こんなにも惹かれてしまう。
いつか、僕の元を離れてしまうのに期待せずにはいられない。
時が止まればいいのに。
「可愛いのは君だよ」
いつまでもそう言ってくれればいいのに。
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