私立章愛学院ハンドメイド部!

白山小梅

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五章 予選結果発表!

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「あの……いろいろなパターンをシミュレーションしてみるのはどうですか?」

 口火を切ったのは穂波だった。

「何が出るのかわからないなら、何が出ても対処出来るように、いろいろなデザインを考えておけばいいんですよ! 例えばさっき先生が話していた浴衣だったらどうするか、ドレスだったらどんなドレスで誰が何を作るかとか、考えるのも楽しくないですか?」

 穂波の提案を、皆が頭で思い浮かべるかのように宙を見る。それから急に全員の顔が笑顔になった。

「それ、いいかもしれないね」
「先にいろいろ考えておけば、臨機応変に別のデザインに変更したり出来るかも」

 すると和歌がカバンの中を探り出し、スケッチブックを取り出す。

「よく刺繍のデザインをスケッチブックに描いたりするんで、いつも持ち歩いてるんです! 良かったら使いませんか?」
「……ちなみに絵も得意?」
「少しだけ」
「よし、じゃあこれから部活のたびに、みんなでいろいろ考えていこう! 絵はわかぱん担当ね」
「はい!」
「ということで、初回は竹代ちゃんからも出た浴衣にしよう! 竹代ちゃんも一緒に聞いてくれる?」
「いいわよ。その代わり十五分だけね」

 竹代先生の了承を得ると、和歌は作業台にスケッチブックを置き、浴衣の絵を描き始めた。

「材料は会場にあるって言うことは、生地は選べないってことよね。とりあえず色味だけ考えようか。そうしたら会場で同じような色を選べばいいし」
「浴衣かぁ……淡い色か濃い色か」
「この際、黒とかは? いろいろ合わせやすいし、小物次第で可愛くも大人っぽくも出来ると思う」
「生地のデザインによるけどね。じゃあ黒で行こう。浴衣はこんちゃんに任せるとして、他はどうする?」

 今回は浴衣ということで、視線が木乃香に集中する。

「そうだな……今って可愛い半襟が人気なんだよね。レースっぽいのが見えると可愛くない?」
「じゃあ私がレースを編む感じですね!」
「うん、なるべく大きめをレースがいいなぁ。長さはいらないけど。それから帯も手作りがいいかも。浴衣に合わせられるし」
「それならミシンでガーって縫えるね。接着芯使うのはあり?」
「ありだね。あと帯飾りに、ビーズとかパール使ってるのも多いかも」
「じゃあそこは私がやる。浴衣ならパール系がいいかな? 上品な感じするよね」

 残った和歌と睦月は顔を見合わせる。

「むっちゃん先輩、羊毛フェルトで花とか作れます?」
「うん、出来るよ……あぁ、髪飾りか。確かにお花で作ったら可愛いかも」
「あと、小さいポンポンを繋げてぶら下げるのも可愛い気がします」
「いいねぇ。浴衣の色味に合わせてアレンジ出来るし。逆にわかぱんはさ、麻の布に刺繍とかは? 浴衣なら麻も合いそう」
「うわぁ、麻ならクロスステッチで和柄を縫っていくのもいいですよね。素敵~!」

 生徒達の会話が盛り上がりを見せる中、竹代先生は立ち上がった。

「私がいなくても、十分みんなの力で出来ると思うわよ」
「本当? 竹代ちゃんにそんなこと言われたら頑張るしかないよ~!」

 さらに会話が盛り上がる中、竹代先生はニコニコしながら家庭科準備室を後にした。
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