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1 消せない想い
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すると史乃が何かを思い出したかのように、手をポンっと叩いた。
「たとえば、従兄弟の……太一くんだっけ? ちょっと関係は近いけど、なしではないんじゃない? 前にどこかのパーティーでも、芹香のことをエスコートしてたじゃない」
「あぁ、あれはお兄ちゃんがいなかったから仕方なくよ。合コンで会った人より太一の方が近すぎて、そういう感情にはなれないな」
二人の間に沈黙が流れ、やがてため息をつく。
「……拗らせてるね」
「相当にね」
「そういえば、来週の金曜日の夜に合コンがあるけど、芹香はどうする?」
「あー……来週の週末にお父さんが久しぶりにホームパーティーを開くらしくて、ちょっと無理かも」
「あれっ? 最近はずっと不参加だったんじゃなかった?」
芹香は苦笑した。父親が開くホームパーティーの回数は減ってきていたが、必ずと言っていいほど誠吾は参加をしていた。
きっと忙しいだろうし、わざわざ来なくてもいいのに──彼と顔を合わせたくなくて、最近は直前になって予定を作り、わざと不参加を決め込んでいた。
「不参加し過ぎて怒られちゃった。次はちゃんと出ることって言われてる」
「それは断れないわ」
「でしょ? でももう大人なんだし、そろそろ自由になりたいなぁ」
「でも一人暮らしはさせてもらえないんでしょ?」
「だって心配するのが目に見えてるし……」
心配してくれるのはありがたい。でも自分一人では何も出来なくなりそうで怖くなる。自分の意思で家に留まっているわけではないからこそ、不満も日に日に大きくなっていた。
「じゃあ芹香が家を出るのは、結婚する時だけだね」
「それこそ一生しないかもしれないじゃない」
「ってことは、一生実家暮らし?」
「や、やめてよ? そんなことにはならないもん」
「あはは! まぁ検討を祈るよ。さて、そろそろ会社に戻りますか」
「そうだね」
二人は残っていたコーヒーを飲み干すと席を立つ。しかしその瞬間、芹香は何か妙な気配を感じて後ろを振り返った。
「芹香?」
「あぁ、ごめんね。今行く」
誰かに見られているような観覚──しかし辺りを見回してみてもおかしなところはない。
芹香は首を傾げながら、きっと勘違いだと自身に言い聞かせて店を後にした。
「たとえば、従兄弟の……太一くんだっけ? ちょっと関係は近いけど、なしではないんじゃない? 前にどこかのパーティーでも、芹香のことをエスコートしてたじゃない」
「あぁ、あれはお兄ちゃんがいなかったから仕方なくよ。合コンで会った人より太一の方が近すぎて、そういう感情にはなれないな」
二人の間に沈黙が流れ、やがてため息をつく。
「……拗らせてるね」
「相当にね」
「そういえば、来週の金曜日の夜に合コンがあるけど、芹香はどうする?」
「あー……来週の週末にお父さんが久しぶりにホームパーティーを開くらしくて、ちょっと無理かも」
「あれっ? 最近はずっと不参加だったんじゃなかった?」
芹香は苦笑した。父親が開くホームパーティーの回数は減ってきていたが、必ずと言っていいほど誠吾は参加をしていた。
きっと忙しいだろうし、わざわざ来なくてもいいのに──彼と顔を合わせたくなくて、最近は直前になって予定を作り、わざと不参加を決め込んでいた。
「不参加し過ぎて怒られちゃった。次はちゃんと出ることって言われてる」
「それは断れないわ」
「でしょ? でももう大人なんだし、そろそろ自由になりたいなぁ」
「でも一人暮らしはさせてもらえないんでしょ?」
「だって心配するのが目に見えてるし……」
心配してくれるのはありがたい。でも自分一人では何も出来なくなりそうで怖くなる。自分の意思で家に留まっているわけではないからこそ、不満も日に日に大きくなっていた。
「じゃあ芹香が家を出るのは、結婚する時だけだね」
「それこそ一生しないかもしれないじゃない」
「ってことは、一生実家暮らし?」
「や、やめてよ? そんなことにはならないもん」
「あはは! まぁ検討を祈るよ。さて、そろそろ会社に戻りますか」
「そうだね」
二人は残っていたコーヒーを飲み干すと席を立つ。しかしその瞬間、芹香は何か妙な気配を感じて後ろを振り返った。
「芹香?」
「あぁ、ごめんね。今行く」
誰かに見られているような観覚──しかし辺りを見回してみてもおかしなところはない。
芹香は首を傾げながら、きっと勘違いだと自身に言い聞かせて店を後にした。
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