Ring a bell〜冷然専務の裏の顔は独占欲強めな極甘系〜

白山小梅

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9 思いがけず

1-2

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 しかしやけに冷静な杏奈の様子に、鈴香は眉間に皺を寄せて唇を尖らせる。

「先輩はそういう憧れってないんですか?」
「えっ、あっ、うん、すごく素敵な街だよね! ノースエリアは憧れるというか……私は行くとやっぱり緊張しちゃう」
「あっ、なるほど! その気持ちもわかるなぁ。あれっ、でも先輩ってあのお金持ち学園の出身ですよね。誰か知り合いとかいませんか~?」

 今のところ知り合いと呼べるのは由利高臣だけだったが、そんなことは口が裂けても言えない。鈴香は可愛い後輩ではあるが、いざ男性の話になるとかなりの肉食系に変貌するからだ。

「んー、残念ながらもう連絡をとってるひとはいないんだ。ごめんね」
「なんだぁ、残念」
「だとしたら今日の合コンに絶対にいかなくちゃじゃない? 早く終わらせるためにもそろそろ始めなきゃね」
「そうですね! そうしましょう」

 二人が今話し合っているのは、秋から始まるフェアのための新作デザートだった。秋といえば芋、栗、カボチャ。それをどう使うか、他のファミリーレストランとは被らず、顧客層を取り込めるメニューにするにはどうしたらいいかなどを話し合っていた。

「この間の課長の話だと、さつまいも食事メニューが使うから、デザートは栗でっていうことでしたよね」
「そうそう。去年の各社のデザートを調べたけど、最近はどこも西洋栗より和栗を使うデザートが増えてる気がするよねぇ」
「ですね。味の濃さとか、ねっとりとした食べ応えとかは、やっぱり和栗の特徴かなって思います」
「和栗かぁ。だとすると、やっぱりモンブラン?」
「それならどんなモンブランにしますか?」

 鈴香は引き出しからノートを取り出すと、メモと共に絵を描き始める。

「去年旅行に行った時、賞味期限が十分のモンブランに出会いましたよ~。メレンゲがサクサクで美味しかったなぁ」
「でもファミレスはゆっくりくつろいでもらいたいしね」
「まぁ確かにそうですね」
「しかも十分だとターゲットが大人向けに絞られちゃうから、それを良しとするのか……ちょっと考えよう」
「了解です。あとは和栗の中でも、ブランド和栗を使うのはどうですか?」

 鈴香はパソコンを打ち込むと、あるホームページを開いて杏奈に見せる。そこには全国のブランド和栗農家が掲載されており、それぞれの栗の特徴などが書かれていた。
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