Macaron Marriage〜恋をしないと決めたのに、極甘の愛に溶かされる〜

白山小梅

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8 月夜の告白

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* * * *

 華子が作っておいてくれた夕食を食べ、風呂を済ませた萌音は、パジャマに着替えてから自室に戻る。

 普段ならリラックス出来る時間だが、今日はいつもに比べてどこか落ち着かない。

 別に明日会う約束をしているわけじゃない。私は在宅で仕事をするから、偶然バッタリ会うなんてことはきっとないはず。だけど上野夫妻のドレスの件で話すことがあるかもしれないし……。

 ベッドに座って膝を抱え込むと、そっと目を伏せる。

 私は翔さんとどうなりたいんだろう……好きという気持ちは自覚した。でも八ヶ月しかないのに恋をするの? それは婚約者への裏切り行為にならない?

 もやもやする頭を抱えながら、気分転換をしようと窓辺に近付く。窓を開けると、秋の夜らしいひんやりとした空気が流れ込んでくる。両腕をさすりながら、萌音は星空に目を向けた。

 あの頃見ていた空と変わらない星の瞬きに、うっとりと見惚れていた時だった。

「何してるの?」

 突然声が聞こえ、萌音は反射的にあのレンガの塀の方へと視線を向ける。まさか……そんなわけないよね……そう思いながらも、目を凝らしてしまう自分がいた。

 だってこの声……でもこのシチュエーション……。それは一つの答えを導いていた。

「あーあ、はバレちゃったみたいだね」

 塀の上から垂れ下がる長い足。そして横の木は昔よりも背が伸びたはずなのに、その人物も同様に背が高くなったのか、やはり葉の影に顔が隠れている。

 見えないけれど、萌音ははっきりと確信していた。

「もしかして……翔さん……ですか?」

 高鳴る鼓動が、耳の奥にまで響いてくる。その人物は顔にかかる葉を退けると、ひょっこりと優しい笑顔を萌音に向けた。

「正解」
「どうして……」
「ん? 今日は月がきれいだから、一緒にワインでもどうかと思いまして」

 翔は塀に座ったまま、萌音に見えるように片手でワインのボトルを持つ。彼の姿を見た萌音は、先ほどまで悩んでいたのが嘘のように胸が熱くなっていく。

「それとももう遅いしワインだけ置いて帰った方がいいですか?」
「そ、そんな! あの……でも……私パジャマだし、もうメイクも落としちゃったし……」
も毎夜パジャマでしたけどね。それに今は夜ですし、月明かりしかありませんよ。まぁそうでなくても萌音さんはそのままで十分可愛いですけどね」

 その言葉に萌音はドキッとする。翔さんってやっぱり……。

「あっ……じゃあ今玄関のドアを開けますね」
「……良かったら外で飲みませんか?」

 確かに部屋で二人きりになるよりは、外の方が緊張しないかもしれない。

「……じゃあグラスを持ってくるので待っててください」
「外は少し冷えるので暖かくして来てくださいね」

 萌音は頷くと、窓を閉めてからカーディガンを羽織る。それから慌てて一階に降りてキッチンに向かうと、食器棚からグラスを二つ取り出してトレーに載せた。
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