Macaron Marriage〜恋をしないと決めたのに、極甘の愛に溶かされる〜

白山小梅

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8 月夜の告白

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* * * *

 寝室に足を踏み入れると、翔はそのまま窓の方へと近付き、懐かしそうに窓の外を眺めた。

 窓枠に萌音をそっと下ろすと、自身もその向かい側に腰掛ける。

 この勢いのままベッドに連れていかれるのではとドキドキしていた萌音は、ホッと胸を撫で下ろす。それから翔の顔を見ながら、ずっと気になっていたあの言葉が頭に蘇る。

「翔さん……あの時どうして顔を見ないでって言ったんですか?」

 それは萌音がずっと気になっていたことだった。もし顔を知っていれば、再会した時にすぐに気付けたはず。

「あの頃は父の仕事の関係で、家族でパーティーに参加することも多くて、必然的にメディアに晒されることもあったんです。だからもし初対面やの女の子キスしたなんてことがバレるようなことになればまずいんじゃないか……というのが、子どもだった私の見解でした」
「……私、そんなにお喋りな子どもに見えましたか?」
「いえ……でも、よく両親から責任ある行動を取るように言われてましたからね。いろいろ気にしすぎていたんですよ」

 翔は萌音の髪を撫でていく。

「……どうしてあの時キスしたんですか?」
「一番は顔を見られないように。それに….離れ難かったというのもあるかな」

 頬に触れる翔の手に自分の手を重ねる。翔の言葉が嬉しくて赤くなる頬を、その手で隠そうとした。

「再会してすぐに萌音さんだとわかりましたよ。ただ顔を知っているのは私だけでしたから……」
「言ってくれればよ良かったのに……」
「あなたが忘れている可能性だってあるじゃないですか。それにいろいろ事情もありまして……」
「事情?」

 首を傾げた萌音から、翔は気まずそうに視線を外す。

「まぁそれは追々話すこととして……」

 翔は立ち上がると、萌音の体を抱き上げてベッドに向かう。

「き、キスだけですからね!」
「わかってますって」

 そう言っているのに、萌音をベッドに下ろした翔の表情がやけに緩んでいるのが気になった。

 身の危険を感じながら警戒心を解かずにいた萌音だったが、ベッドの上に乗った翔の手によって、いとも簡単に押し倒されてしまう。

「や、約束が違いますよ! こんなのダメです!」
「ふふふ、可愛いなぁ、萌音さんは。大丈夫、今夜は今まで我慢してきた分だけキスしたいなぁっていうだけですから。それに……」

 翔は不敵な笑みを浮かべると、萌音の喉に口づけてから舌でペロリと舐める。

「キスって日本語では"口づけ"とも言いますよね。つまり唇が触れることです。ということは、私の唇が萌音さんの体のどの部分に触れてもキスに変わりはないということですね」

 萌音は今更ながら冷や汗が止まらなくなる。

「や、やっぱり唇限定ってことに……」
「なりませんよ」

 翔はニヤッと笑うと、萌音の唇を塞いだ。
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