21 / 139
リライトトライ1
第二十話
しおりを挟む「俺、過去に戻る以前にも、出会い方は違うけど優乃先輩に会って、好きになってたんだ」
「ふへ? そーなんですか? でもソレだと……」
「ああ、記憶に残ってないのはおかしいな」
「そーですよ」
頭に包帯を巻きながら俺はゆっくりと説明していく。まだ色んな意味で頭痛がするけど、大分マシになってきた。
「ソレは多分、俺が自分で記憶を閉じ込めてたんだ。宗二とかも俺に気を遣って内緒にしてたんだと思う。ソレが、リライの言ってた真っ黒に塗りつぶされてた部分だろう」
「……ふへ」
「俺、ストレス障害になってたんだ。軽度のPTSDってヤツ。さっきリライに聞かれた時には思い出せなかったけど、実家の部屋で覚えのない薬の袋、見たことがある……」
「……ぴーてぃーえすでぃー?」
「ちょうどさっきまでいた辺りから、卒業するらへんまで記憶が抜けてるんだ」
「あ……記憶障害……ですか!」
「そう、さっきリライの言ってたヤツだ。お前の言ってた通り、その無意識に閉じ込めてた記憶が……俺の自殺の原因に繋がるんだと思う……そうだろ。リライ?」
そう、あの夢は閉じ込めていた俺の懐古と悔恨の念が溢れ出していたのだろう。
「……ごめんなさいですよ」
リライはあっさりと認めた。
「やっぱ知ってたんだな」
「……はいですよ。って言っても、さっき知ったばかりで! ソレの内容わまだ分からねーですよ!」
「…………」
「アキーロがその記憶を思い出した時、自分を殺すことになる……ソレだけしか分からなかったですよ。ソレを伝えよーと思ったけど」
「……電波に止められた、と」
「……はいですよ」
……ったく。
まぁリライの親玉の判断が間違ってるって断言は出来ないけどな。あの場で思い出したところで、その場でぶっ壊れるか、死期が早まっただけかもしれない。
「アキーロ。ごめんなさいですよ」
リライが不安気な目をこちらに向ける。
「……ありがとな。リライ」
「……ふへ?」
俺の言葉が意外だったのだろう。驚いた顔をしている。
「ギリギリだけど手遅れにならないで済んだ」
「……ほへ?」
「だから、もう一度さっきの続きに戻らせてくれないか?」
「……え、また戻るつもりですか!? でも、今死にかけたばっかりぢゃねーですか!? 今度こそ死ぬかもしれねーですよ!?」
「頼む! たまごかけご飯でも、ネズミの王国でも、何でもお前が望むモンを用意してやるから! だから俺をもう一度だけでいい! あの時間に帰らせてくれ!」
俺は話をするのももどかしく、リライの両肩を手で掴んだ。
「そーゆーことぢゃなくて! さっきのわまだ運がよかっただけで、次わホントにぶっ壊れちまうかもしれねーですよ!?」
「このままでも俺は死ぬ! ここで行かないと、絶対に俺は自分を許せなくなる! 自分で自分をぶっ殺したくなる!」
「一体戻ってどーするってゆーですか! 何の為に戻るですか!?」
涙目でこちらを精一杯睨んでくるリライ。
……最初に比べると随分と人間らしくなったな。
だがここだけは譲るワケにはいかない。
「……今まで知らない内に取りこぼしてたモンを、取り戻す為だ!」
そう叫んで俺はリライの唇に自分の唇を重ねた。
「……っ!!」
大きく息を呑む音が聞こえて、少し間が空いてから、例のブラックアウトがやってきた。
「……きっ! おい秋! しっかりしろコラ!」
気が付いたら視界に宗二と賢の顔があった。ソレも左右に激しく揺れる視界に。
やたら顔面が痛いのはこいつらが俺にビンタを入れまくっているからだと気づく。
「いてーよ!」
そう言って俺は両手で左右にいる二人の顔面にパンチを叩き込んだ。
『ぐわっ!』
「秋色復活!」
俺は立ち上がり両手を掲げて空へと叫ぶ。
《……コレが最後ですよ? 危なくなったらまた強制解除ですよ?》
……サンキュー。リライ。
無事戻って来れたみたいだ……無事でもないけど。
『秋! 大丈夫なのか?』
驚いて叫ぶ二人に、俺は床に手を着いて頭を叩きつけた。THE・土下座だ。
「宗二! 賢! 親友と見込んでお前らに頼みたいことがある!」
『……え? え?』
事態が飲み込めずうろたえる二人に、俺はソレを話した。
0
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
黒に染まった華を摘む
馬場 蓮実
青春
夏の終わりに転校してきたのは、忘れられない初恋の相手だった——。
高須明希は、人生で“二番目”に好きになった相手——河西栞に密かに想いを寄せている。
「夏休み明けの初日。この席替えで、彼女との距離を縮めたい。話すきっかけがほしい——」
そんな願いを胸に登校したその朝、クラスに一人の転校生がやってくる。
彼女の名は、立石麻美。
昔の面影を残しながらも、まるで別人のような気配をまとう彼女は——明希にとって、忘れられない“初恋の人”だった。
この再会が、静かだった日常に波紋を広げていく。
その日の放課後。
明希は、"性の衝動"に溺れる自身の姿を、麻美に見られてしまう——。
塞がっていた何かが、ゆっくりと崩れはじめる。
そして鬱屈した青春は、想像もしていなかった熱と痛みを帯びて動き出す。
すべてに触れたとき、
明希は何を守り、何を選ぶのか。
光と影が交錯する、“遅れてきた”ひと夏の物語。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる