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リライトトライ3.5
如月京一郎は変態である⑥
しおりを挟む「……ふぅ」
紫煙を勢いよく吐き出し、煙草を携帯灰皿に放り込む。
「……ふむ」
そろそろ時間か、目的地に向かうとしよう。
俺の名は戸山秋色。齢二十五にして未だに穢れを知らぬ童貞紳士だ。
今、俺は街灯照らす夜道を歩いている。高校時代の級友達から久しぶりに集まってメシでも食べようとお誘いを受けたからだ。
井上宗二に石田賢、そして如月京一郎。
ケーツーに会うのはいつぶりだろう? 俺の記憶では高校を卒業して以来会ってないはずだが……アテにならない。
「…………」
俺の過ごした高校生活の記憶では賢とケーツーは面識がない。ソレどころか俺の知っている高校生活に賢の姿はない。
だが、この間会った際にあいつの口からはケーツーの名前が出た。その理由についても分かっている。
「……ふぅ」
一瞬、家で留守番をしている妹のことが頭に浮かぶ。留守番というか、昼寝している間に置いてきてしまったのだが。
俺が友達とご飯食べてくるなんて言ったら絶対についてきたがるだろうからな。
多分起きて俺の姿がないことに気づいたら泣いてしまうだろう。少し前に起こったショッキングなできごと以来、元来より更に泣き虫で甘えん坊になってしまったのだ。
……ちゃんとお土産買って行くからな。あと、まぁワガママの一つも聞いてやろう。
……で、何だっけ?
あぁ、今日久しぶりに会うケーツーの話だ。
如月京一郎は変態である。しかしソレと同時に秀才である。
そういえば後から聞いた話だとケーツーは俺達の高校の生徒会長と幼馴染みだったんだよな。
その生徒会長がまだ副会長だった時に、最後の選挙の際にケーツーを熱心に生徒会に誘っていたんだっけか。
でも結局ケーツーはなんやかんやと理屈を捏ねて立候補はしなかったんだよな。宗二もケーツーが嫌なら無理強いはできないとか言って成り行きを見守るしかできないでいたな。
勿論俺も何もしなかった、と思う。
俺は優乃先輩を失ってから微妙に記憶に欠落があるんだ。特に中学後半から高校卒業まで。全部忘れてるワケでもないが。
しかし、今の俺の脳裏には、一つの可能性が浮かんでる。
俺にはここ最近ある奇跡が舞い降りたので、大切な人を取り戻すことができたんだ。
その結果、彼女を失わなかった俺は今の俺が歩んできたのより充実、奔放な学生時代を送ったのだと言われたことがある。
……もしかしたら、その充実秋色はケーツーに協力をしたのではないだろうか?
倉廩満ちて則ち礼節を知る――などとまで言うつもりはないが、あの時の俺に比べて心が満たされていた秋色は、周囲を気遣う心を備えていたのではないだろうか?
そして賢もいる。調子こいた俺と賢がそこにいて、面白半分にしろ真剣にしろ、おせっかいを焼いたのではないだろうか?
そんな可能性だ。
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