異世界召喚された最強カードゲーマー、神々の戦争を『クソゲー』認定して無双する

さかーん

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第46話 エピローグ 三枚の切り札

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 ニョームガルデが誇る、最新鋭の蒸気船が、静かに、大海原を滑っていく。
 近代文明の極致であった、機械仕掛けの街は、もう、水平線の彼方へと消え去った。
 三人は、船の甲板で、遠ざかっていく大陸を、言葉もなく、見つめていた。

 振り返れば、それは、まるで、目まぐるしい夢のような日々だった。

 カードショップで、一枚のレアカードに、ただ、胸をときめかせていた、あの平和な放課後。
 それが、この壮大な物語の、プロローグだったなんて、誰が想像できただろうか。

 ローデリア王国に召喚され、初めて、本当の戦争の、その残酷さと、重さを知った。
 アキラは、ゲーム盤の上で遊ぶ、孤独な『プレイヤー』であることをやめ、仲間と共に戦う、リーダーへと成長した。

 灼熱の城塞都市カラト・アルナフルでは、力だけでは、何も解決できないことを学んだ。
 三人は、知恵と、勇気と、そして、ハッタリを武器に、欲望渦巻く闘技場を制し、最初の神器、『真実の盾』を手に入れた。

 呪われた霧の島では、見えない敵――自分自身の、心の弱さと、向き合った。
 彼らは、互いの痛みを分かち合い、支え合うことで、千年の呪縛を解き放ち、二つ目の神器、『共鳴のホルン』を得た。

 そして、完璧な論理が支配する、機械仕掛けの街ニョームガルデ。
 神の、完璧なプログラムを、彼らは、人間らしい、『非論理』と『想定外』の連続で、打ち破った。そして、三つ目の神器、『時を歪める砂時計』を獲得した。

「…なあ」

 夕日に染まる海を見ながら、タカシが、ぽつりと、つぶやいた。
「オレたち、なんだか、すげえ、遠いところまで、来ちまったよな」

 その言葉に、ヒトミが、穏やかに、微笑んだ。
「ええ。召喚されたばかりの頃の私たちとは、もう、別人ね。…特に、あなた」
 ヒトミは、タカシの、少しだけ、たくましくなった横顔を見る。
「以前のあなたなら、どんな問題も、ただ、殴って解決しようとしたでしょう。でも、今は、違う。いつだって、私たちを守るために、一番、辛くて、一番、我慢のいる役割を、引き受けてくれる。…強いだけじゃない、本当の『強さ』を、あなたは、手に入れたわ」
「…なっ…! ば、バーカ! 当たり前だろ!」

 タカシは、照れくさそうに、そっぽを向いた。
 アキラは、そんな二人を見て、静かに笑っていた。
 タカシだけじゃない。ヒトミも、そして、自分自身も、変わった。

 ヒトミは、かつて、自分の知識と、論理だけを信じる、孤高の賢者だった。だが、今は、仲間たちの、非論理的な直感や、感情の爆発を、信じることができる。そして、何よりも、素直になれなかった、自分自身の、本当の気持ちを、仲間に、伝える勇気を持った。

 そして、アキラは。
 彼は、もう、全てを、一人で背負い込む、孤独なプレイヤーではない。
 仲間の意見に、耳を傾け、仲間を信じ、そして、時には、自分の弱さや、涙を、仲間に、見せることができるようになった。

「…そうだな」

 アキラは、夕日に向かって、言った。
「オレたちは、変わった。…ううん、進化したんだ。オレたち、『デッキブレイカーズ』っていう、このデッキは、戦うたびに、新しいコンボを、新しい戦術を、覚えて、強くなってる」

 神という、あまりにも、巨大な敵。
『観測者』アインは、これからも、彼らのデータを分析し、さらに、非情で、完璧な、次の一手を、打ってくるだろう。
 だが、もう、怖くはない。

 アキラの背中には、『真実の盾』。
 ヒトミの腰には、『共鳴のホルン』。
 タカシのポーチには、『時を歪める砂時計』。

 彼らが手にした、三つの神器。
 それは、彼らが、それぞれの試練を乗り越え、絆を深めてきた、確かな、証だった。

 これは、まだ、七つのうちの、三つの物語に過ぎない。
 彼らの前には、まだ見ぬ、四つの神器と、それを巡る、壮大な冒険が、広がっている。

 船は、進む。
 神さえも、その全貌を知らない、原始の大陸、『巨獣の揺りかご』へと。

 三人は、顔を見合わせた。
 その目には、未来への、確かな覚悟と、そして、何よりも、隣にいる、最高の仲間への、絶対的な信頼が、輝いていた。

 彼らの、本当の意味での冒険は、まだ、始まったばかりだ。

(完)
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