殺人鬼はブルーフィッシュの夢をみる

土方かなこ

文字の大きさ
3 / 4

乱闘

しおりを挟む
放たれた弾丸はサクラの衣服をさき、皮膚を傷つけた
銃はこの町でも限られた数しかみない
それにばれたら即刻警察のサンドバッグという名目の死刑だ

「…この町にきてからそれなりにたつのに、どうして今頃銃なんて使うのさ」

「ははっ 俺様はロイドタウンの王になるっ
手始めに前から気に食わなかったお前からぶっ潰してやろうと思ってなっ
何が殺し屋だよっ この町にお前みてえなガキはいらねぇんだよっ」

血走った目にこけた頬
薬につかった人間は腐るほどみてきた
ここではまともな人間なんて誰一人いやしない
ノア以外はっ

一息で距離をつめ、男の懐に入り込む
とっさに銃を握る男の手を押さえて鳩尾を殴り付けた
咄嗟に離された銃を奪い距離をとる
「っかはっ」

「ガルドっ」
控えていたのかお仲間がぞろぞろ表れ、サクラを囲んだ

「近接戦は銃より素手の方が早いよ」
「っくそっ お前らっ銃を取りかえせっ」

「こんなもの別にいらないよ」
弾を引き抜き地面になげる


「ねぇ今なら見逃すけどどうする?」

「なにいってんだ ああん?」
男ナイフを大きく振りかぶりサクラに突き刺そうとした

瞬間サクラは殴りかかった男の喉元を躊躇なく掻ききり、蹴り飛ばす
おびただしい量の血液が地面を濡らして染み込んでいった
その鮮やかな動きに、男達の動きが止まる

「今逃げるなら殺さないけど」

「っ状況見えてんのかてめぇ
こっちは7人いんだぜ」

そうだけど、と呟き袖から出てきたナイフを握りくるくると手慰みにする

「知ってるでしょ 僕はこの町に育てられた生粋の殺し屋だよ
アマチュアに負けるわけないじゃん」

「っち こいつが噂に聞いてたやつか」
「なんでこんなガキがっ 」

三人が一斉に飛びかかる

「もう 僕だって一銭にもならない殺しなんてしたくないんだけどっ」


サクラの産みの親はいわれぬ罪でこの町に入れられた被害者の一人であった
やがて生活の苦しさから身を売り、サクラを身籠った

しかしロイドタウンでは子供にだけ感染するダストが流行っており、殆どは産み落とされて一週間とたたず死んでしまう
奇跡的に成長してもこの町の犯罪者に淘汰され生き残れない
最早子供はこの町では目立ちすぎる存在なのだ

憐れに思った母親は死ぬ間際にサクラをとある男に託した
その男はサクラの母親に惚れ込んでいたイカれた殺人鬼

気まぐれに行われた虐待をこえた教育のなかであらゆる痛みと抵抗の仕方を仕込まれた

結局その男はそこらに転がってる粗大ゴミよろしく集積所行きになったが…
今思い出しても愉快な気持ちになる

しかしたまに残飯を寄越してくれていたのも事実だったため、すぐに路頭に迷った

目に止まったのは殺人鬼が請け負っていた殺人依頼状

男の息子という事で仕事を引き受け、それから依頼を回して貰うようになり、ようやく生活もできるようになったのだ

「くそっ こいつちょこまかとっ」

「あはは そんなんじゃ鼠一匹捕まえられないよ」

からかうようにひらりひらりと男達の攻撃を避ける
結局は慣れなのだ、こんなこと
伊達にこの町で殺人を生業にしてきたわけじゃない
素早く丁寧に仕事をこなし、金額次第では拷問も請け負う
何度も修羅場をくぐり抜け、生きるために殺してきた

気を緩めた男を見逃さず、素早くナイフを心臓をひとつきする

「っうがぁ」

「早く死にたい人からかかってきなよ」

    ノアには見られたくないな
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します

白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。 あなたは【真実の愛】を信じますか? そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。 だって・・・そうでしょ? ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!? それだけではない。 何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!! 私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。 それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。 しかも! ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!! マジかーーーっ!!! 前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!! 思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。 世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。

三十年後に届いた白い手紙

RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。 彼は最後まで、何も語らなかった。 その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。 戴冠舞踏会の夜。 公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。 それは復讐でも、告発でもない。 三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、 「渡されなかった約束」のための手紙だった。 沈黙のまま命を捨てた男と、 三十年、ただ待ち続けた女。 そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。 これは、 遅れて届いた手紙が、 人生と運命を静かに書き換えていく物語。

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

サレ妻の娘なので、母の敵にざまぁします

二階堂まりい
大衆娯楽
大衆娯楽部門最高記録1位! ※この物語はフィクションです 流行のサレ妻ものを眺めていて、私ならどうする? と思ったので、短編でしたためてみました。 当方未婚なので、妻目線ではなく娘目線で失礼します。

愛していました。待っていました。でもさようなら。

彩柚月
ファンタジー
魔の森を挟んだ先の大きい街に出稼ぎに行った夫。待てども待てども帰らない夫を探しに妻は魔の森に脚を踏み入れた。 やっと辿り着いた先で見たあなたは、幸せそうでした。

【完結】ドアマットに気付かない系夫の謝罪は死んだ妻には届かない 

堀 和三盆
恋愛
 一年にわたる長期出張から戻ると、愛する妻のシェルタが帰らぬ人になっていた。流行病に罹ったらしく、感染を避けるためにと火葬をされて骨になった妻は墓の下。  信じられなかった。  母を責め使用人を責めて暴れ回って、僕は自らの身に降りかかった突然の不幸を嘆いた。まだ、結婚して3年もたっていないというのに……。  そんな中。僕は遺品の整理中に隠すようにして仕舞われていた妻の日記帳を見つけてしまう。愛する妻が最後に何を考えていたのかを知る手段になるかもしれない。そんな軽い気持ちで日記を開いて戦慄した。  日記には妻がこの家に嫁いでから病に倒れるまでの――母や使用人からの壮絶な嫌がらせの数々が綴られていたのだ。

乙女ゲームの正しい進め方

みおな
恋愛
 乙女ゲームの世界に転生しました。 目の前には、ヒロインや攻略対象たちがいます。  私はこの乙女ゲームが大好きでした。 心優しいヒロイン。そのヒロインが出会う王子様たち攻略対象。  だから、彼らが今流行りのザマァされるラノベ展開にならないように、キッチリと指導してあげるつもりです。  彼らには幸せになってもらいたいですから。

【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く

ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。 5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。 夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…

処理中です...