残響世界の聖剣譚 -VRMMOで鍛えた魂で侵食されるこの世界を守ります-

気力♪

文字の大きさ
45 / 69
第二戦 VSサビク 騎士の国と聖剣達

RTAの始まり

しおりを挟む
 プラクティスエリアを解放しての現実世界戦力の拡張。それは途中でやってきた栗本により説明がなされた。

 今回の件で警察、自衛隊の中で志願者を募ったのだそうだ。意味のわからないモノに命を預けて戦う覚悟はあるのかと。

 その結果集まった義勇兵は50人ほど。それが、恐怖を勇気に変えられる現実を守る戦士たちの数だった。

 強化計画としては、彼らを今回の周で新規参入しさせ、ゲーム内で死戦を潜らせつつ、さらにプラクティスエリアで生命転換ライフフォースを習得させようというものだ。

 そして、その50人は今回の氷華のRTAプランにおいて重要な数になるのだとの話だ。

「それで、肝心のRTAプランってのは何なんだ?」
「琢磨くんが見つけてくれたじゃない。裏ボスへの一本道。あそこ突っ込んで首を取りに行く。シンプルに最短よ。それで王様が動けるようになれば王子問題は解決するわ。というか、マリオネティカの男は地下に来るだろうからそこを殺せば終わりよ」
「シンプル過ぎないか?」
「シンプルで良いじゃない。数で押すゴリ押しなんだから」

 それを言いながら氷華はメッセージにて《Echo World》のコミュニティに集まっている指揮官組に指示を伝えていた。

 ■□■

 そして、ワールド開放前の集まりにてミーティングが行われ、満場一致で氷華のRTAは採用された。

 手詰まりなのはもちろんあるが、面白そうなのに飛び込むのがゲーマーだからだ。

「では、RTA主催者として一言。今回のクソゲー、とっとと終わらせましょう!」

 そして、仕込んだサクラの50人が声を上げ、釣られて、どこか懐疑的だつた少数で組んでいるプレイヤーも声を上げた。

 雰囲気の攻撃である。これで、あえて邪魔をしようというプレイヤーの可能性はある程度まで潰すことができていた。

「では、時間です。ワールド転移!」

 その声と共に始まるワールドへの転移。現状でも総勢100名近い大所帯だったが、それを指揮する氷華に迷いはなかった。

 そうしてアバターを起こしている琢磨を目印に大移動を始める。当然に“見えている”騎士はそれを改めようとするが、対人戦闘のエキスパート達。50名の警官、自衛官達の体術により早々に無力化されていった。

 別段、おかしなことではない。

 蘇った人間達は魔物だ。故に第0アバターを触ることができ、第0アバターで触ることができる。それだけのことなのだ。

 そうしていると戦士団の者達が先頭のタクマを止めようとして動くが、それはもう先手必勝だと言わんばかりに突っ込んだ、カナデ、ユージを筆頭にした熟練プレイヤーがなりふり構わずに倒していく。

 そしてその中で、タクマは様子を伺っていた二人の戦士を見かけた。

「今から黒幕をぶちのめしに行きます! 乗りますか? イレースさん! ロックスさん!」
「乗った!」
「考えずに言うな! ……だが、俺たちは手詰まりだ。俺も乗るぞ」
「ありがとうございます! お二方!」

 そんな、雑に同行を決めたロックスとイレースは、決して考えなしだからではない。胸の奥が“この少年を信じて良いが、それはそれとして目を離すな”と告げているからだ。

 それは、ループのたびに蓄積する魂の強化に伴う感情の残滓。この世界のシステムでは、感情をリセットする事はできていないのだ。

『稀人のタクマ! どこに行く!』
「黒幕をぶっ潰しに! 王子組は開かずの門のあたりで動けるようにどうぞ!」

 また、遠くの者に声を伝えることができるサブリーダーの声が聞こえてくる。それはそうだ。こんな通り魔のような突っ走り方をしていれば誰だって気にはなる。

 そうしてタクマたち100人は町から外れて行き、祠へと辿り着く。

 そして、氷華のポイントで購入した警棒に似た短杖に生命転換ライフフォースを込めて手渡す。これは新規参入のプレイヤーへのサービス……という名目での戦力の底上げであったが。

 ただそれに込められた力に触れただけで生命転換ライフフォースに目覚める者もいるほど、込められた力は破格だった。

「ダンジョンは一本道! 予定通り先行してヤバイのは潰させるから、本隊はなるべく温存して!」
「ロックスさん、イレースさん! お二人は俺と共に!」

 そんな声と共に進む先行部隊。内訳はタクマ、ロックス、イレースの3人とカナデにユージ。そして、プレイヤーの中から自薦で出てきた4人ほど。

 いずれも、猛者だ。

「私の授業を邪魔してくださったモンスターの方々は、しっかりかっちりブチ抜いて差し上げますわ!」
「お前はいい加減それを根に持つな!」
「持ちますとも! 学ぶ機会を奪う者は、このプリンセスドリルのドリルの錆にすらしてあげませんわ!」

 元気すぎて、テンションのおかしいドリルがいるが、それはそれだろう。

 そうして、浅層を止まらずに走り抜け、中層へとやってきた。

 この辺りから、もうすでに迎撃用の人間が配置されている。

 流石に最初のあの動きで“マリオネティカの男”には気づかれたようだ。目的地が封印の間である事を。

「泥の相手はまず俺が! コアは動きませんが、よく観察しないと見つけられません! 泥と筋肉の動きに注視して!」

 そうして、泥の騎士の丹田を切り、それで死ななければ切り刻みつつ泥の動きを見切り、コアを貫く。

「できるか!」

 と叫ぶのが長親。プリンセスドリルの女房役として周知されている普通に強いプレイヤーである。

 それに対して、無理ならばと別の回答を見出した戦士達もいる。

「ならば、長親の分も私がブチ抜きましょう!」

 そうして、プリンセスドリルのドリル柄のランスから放たれる螺旋が泥を全て吹き飛ばし、コアを露出させた。そして続けての一突きで破壊。

「意外と軽いですね。これなら温存しても十分殺せますわ」
「なら、俺もだな」

 ユージは、迷いのないインファイトにて泥の騎士に接近して拳を叩き込み、そこを起点に魂の炎で泥ごと全身を焼く。

 それにより、コアは溶けて騎士は死に絶えた。

「熱は、思ったより有効だな。……これなら、戦える!」
「私も、黙ってるだけじゃない!」

 泥を纏ったゴブリンに対して、一撃を掌底で入れてから、曲剣で突く事でコアを破壊した。

「触って魂を流せば、どこにコアがあるのか判別できる。危険だけど、一番消費は軽い」

 そして、普通にタクマと同じ事をやってのける凄腕もまたいた。

「フッ、眼鏡による視力の補正があればこの程度」

 当たり前だが、この世界の伊達メガネにそんな機能はない。プラシーボ効果である。彼"メガ・ネビュラス"の実力が10割だ。


 それから個人技能でのごり押しであるが、観察して射抜けるようになったイレースもこれに加わり、タクマ、ドリル、ユージ、カナデ、メガネ、イレースの6をうまく回すように残りの3人はサポートに回るというチームワークで戦いは続いた。
 それが上手くハマり、深層間近の開かずの門まで辿り着くことができた。完全にノーダメージとはいかないが、魂は皆十分に温存できている。

「それじゃあ、開け!」

 扉をノックして、輝く鞘を晒すと扉にあるロックが外れる音がする。

 それと同時に、タクマにはこの場にいる全員の魂に何かが入り込むのも魂視にて見えた。

 アルフォンスの持つ王族の剣の紋章に対して、こちらは盾の紋章だろうか? 。そんなものがこの場にいるタクマ以外の中に入り込んでいた。

「面倒な毒じゃなきゃいいんだが」
『その可能性は、ダイナが悪意からこの鞘を渡したかにかかっていると思いますが』
「……ねぇな」
『同意です』

 そうして、後続の本隊がやってくる時のためにタクマたちは何がなんだかわかっていないアルフォンス達に状況を説明するのだった。ものすごく簡潔に。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

チート魔力を持ったせいで世界を束ねる管理者に目を付けられたが、巻き込まれたくないので金稼ぎします

桜桃-サクランボ-
ファンタジー
金さえあれば人生はどうにでもなる――そう信じている二十八歳の守銭奴、鏡谷知里。 交通事故で意識が朦朧とする中、目を覚ますと見知らぬ異世界で、目の前には見たことがないドラゴン。 そして、なぜか“チート魔力持ち”になっていた。 その莫大な魔力は、もともと自分が持っていた付与魔力に、封印されていた冒険者の魔力が重なってしまった結果らしい。 だが、それが不幸の始まりだった。 世界を恐怖で支配する集団――「世界を束ねる管理者」。 彼らに目をつけられてしまった知里は、巻き込まれたくないのに狙われる羽目になってしまう。 さらに、人を疑うことを知らない純粋すぎる二人と行動を共にすることになり、望んでもいないのに“冒険者”として動くことになってしまった。 金を稼ごうとすれば邪魔が入り、巻き込まれたくないのに事件に引きずられる。 面倒ごとから逃げたい守銭奴と、世界の頂点に立つ管理者。 本来交わらないはずの二つが、過去の冒険者の残した魔力によってぶつかり合う、異世界ファンタジー。 ※小説家になろう・カクヨムでも更新中 ※表紙:あニキさん ※ ※がタイトルにある話に挿絵アリ ※月、水、金、更新予定!

魔力ゼロの落ちこぼれ貴族、神々のエラーメッセージが読めるようになる~「神罰」のシステム権限で学園無双しつつ、本人だけはただのデバッグ作業だと

蒼月よる
ファンタジー
魔法(ナノマシン干渉)が使えず、名門アルマンド家の恥晒しとされた三男アッシュ。 実技試験に落ちて旧図書棟の掃除をさせられていた彼は、謎の遺物(管理デバイス)に触れたことで、世界の最高管理者権限(デバッガー権限)を手に入れてしまう。 「魔法」とは環境中の魔素を操作する事象。そして「神の奇跡」とは環境管理AIの気まぐれであるこの世界において。 アッシュの目には、相手の放つ魔法が単なる『不正なプロセスのエラーログ』として映り、頭の中で『YES(強制終了パッチ)』を選択するだけで完全に消去できるようになったのだ! 一切の詠唱も魔力発生も伴わずに、同級生の最大魔法をフッと消し去り、暴走する巨大魔物をワンボタンで光の粒子に還元するアッシュ。 本人はただ「うるさい警告文が出たからOKを押してデバッグ(人助け)しているだけ」のつもりなのだが……。 これは、エラーログを消しているだけの落ちこぼれ少年が、王都の至高魔法学園で「神の奇跡を下す聖者」として盛大に勘違いされながら成り上がっていく、痛快無双ファンタジー! この作品は以下の箇所にAI(Claude Code)を利用しています。 ・世界観・設定の管理補助 ・プロット段階の壁打ち ・作者による執筆後の校正

【完結】スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜

かの
ファンタジー
 世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。  スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。  偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。  スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!  冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!

ダンジョンをある日見つけた結果→世界最強になってしまった

仮実谷 望
ファンタジー
いつも遊び場にしていた山である日ダンジョンを見つけた。とりあえず入ってみるがそこは未知の場所で……モンスターや宝箱などお宝やワクワクが溢れている場所だった。 そんなところで過ごしているといつの間にかステータスが伸びて伸びていつの間にか世界最強になっていた!?

クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる

アルカス
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。 でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。 でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。 その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。 そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。

【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~

シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。 木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。 しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。 そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。 【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】

オッサン齢50過ぎにしてダンジョンデビューする【なろう100万PV、カクヨム20万PV突破】

山親爺大将
ファンタジー
剣崎鉄也、4年前にダンジョンが現れた現代日本で暮らす53歳のおっさんだ。 失われた20年世代で職を転々とし今は介護職に就いている。 そんな彼が交通事故にあった。 ファンタジーの世界ならここで転生出来るのだろうが、現実はそんなに甘く無い。 「どうしたものかな」 入院先の個室のベッドの上で、俺は途方に暮れていた。 今回の事故で腕に怪我をしてしまい、元の仕事には戻れなかった。 たまたま保険で個室代も出るというので個室にしてもらったけど、たいして蓄えもなく、退院したらすぐにでも働かないとならない。 そんな俺は交通事故で死を覚悟した時にひとつ強烈に後悔をした事があった。 『こんな事ならダンジョンに潜っておけばよかった』 である。 50過ぎのオッサンが何を言ってると思うかもしれないが、その年代はちょうど中学生くらいにファンタジーが流行り、高校生くらいにRPGやライトノベルが流行った世代である。 ファンタジー系ヲタクの先駆者のような年代だ。 俺もそちら側の人間だった。 年齢で完全に諦めていたが、今回のことで自分がどれくらい未練があったか理解した。 「冒険者、いや、探索者っていうんだっけ、やってみるか」 これは体力も衰え、知力も怪しくなってきて、ついでに運にも見放されたオッサンが無い知恵絞ってなんとか探索者としてやっていく物語である。 注意事項 50過ぎのオッサンが子供ほどに歳の離れた女の子に惚れたり、悶々としたりするシーンが出てきます。 あらかじめご了承の上読み進めてください。 注意事項2 作者はメンタル豆腐なので、耐えられないと思った感想の場合はブロック、削除等をして見ないという行動を起こします。お気を悪くする方もおるかと思います。予め謝罪しておきます。 注意事項3 お話と表紙はなんの関係もありません。

処理中です...