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四重奏連続殺人事件
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東トルキスタンと満鉄理事小倉高太郎
翌朝、倉科が珍しく早起きして出かける準備をしていると、
「あら、どうしたの? えらく早いわね。急な出張?」
妻の怪訝そうな問いに、
「いや、国会図書館で調べものなんだ」と倉科は出掛けに答えた。
国立国会図書館は、倉科の住居に近い目黒駅から地下鉄に乗り永田町駅で下車し、そこから徒歩で十分程のところにある。
入館を済ませ、書籍受け取りカウンターに進むと「真理がわれらを自由にする」との言葉が彫られている。
(そう願いたいものだが……)倉科は低く呟いた。
小倉高太郎著の「東トルキスタン紀行」を受け取った倉科は、閲覧室で入念に調べ始めた。昭和三年(一九二八年)発行とある。昭和六年(一九三一年)満州事変の三年前だ。
当時未完成だったトルキスタン・シベリア鉄道を経由して、小倉隊の一行は現在のカザフスタン領内にあるアルマトイ付近まで行き、後は陸路を馬と自動車を使用して東トルキスタン、現在の新疆ウイグル自治区に入った様子が詳細に書かれている。
紀行の主目的は、南京国民党政府の統治実態を観察し、隙あらば独立を伺っているムスリム教徒、主にウイグル族の動静を探り、究極的にはウイグル族独立派を支援することで南京国民党政府の弱体化を図ることであったらしい。
著書には、途中のイシククル湖畔にあるオッダーという集落でアリと言うウイグル族の若者をガイドに雇ったこと、彼がロシア語と支那語を話し、非常に聡明であったことも記されていた。
小倉氏は極めてこの若者が気に入ったようで、満鉄本社がある大連まで連れて帰ったとまで書いてある。
巻末には当時の東トルキスタンの風景と共に筆者である小倉高太郎氏とアリ青年が一緒の写真があった。年月を経た劣化により鮮明ではないが、倉科には、何となくアリ氏の目元が小田貴子の目元に似通っているように思えた。
(まさかねぇ……。オッダー? 小田とも通じるよなぁ……。まさか?)
倉科の頭の中は不思議な感じが充満し、それが何か一つの方向へ向かって奔流となっていくのを感じた。
事件解明とは全く関係のないことだが、倉科は、新疆ウイグル自治区からアフガニスタンに通じるワハーン回廊と言う東西二百キロ、南北十五キロの地帯を教えられ、新知識の獲得に満足した。
事務所に戻った倉科は、ネットを駆使して更に詳しく小倉高太郎を検索する傍ら、数日掛けて満鉄関係者で創設された「南満鉄会」に取材を行った。
その結果、判明したことは、戦後も、小倉高太郎は、東トルキスタン独立運動の支援に関わり、「日本・東トルキスタン協会」なる団体を立ち上げて、日本にいるトルキスタン出身ものを援助していたとのこと。
この団体には小倉の人脈で政界財界にも支援者がいるらしい。驚いたことに「南満鉄会」の名簿には夢想花音楽事務所のパトロンである大中博氏の父親、元通産大臣も名を連ねており、更に大中博氏は「日本・東トルキスタン協会」の理事に就任している。
ただ、「南満鉄会」への取材では、「日本・東トルキスタン協会」と「南満鉄会」の間における直接的な関係は何ら浮かんでこなかった。
倉科はタバコを燻らしながら、大胆な仮説を立ててみた。
アリと言うガイドの若者は小田貴子の曾祖父ではないだろうか?
小倉高太郎氏がアリの保護者となり日本まで連れてきたに違いない。
事実、樋山の聞き込みによると、満鉄の理事で男爵だった人物との親交があった旨の報告があり、更に、小倉高太郎の孫娘が小田貴子の母親であると言う事実がある。
小田貴子のアーリア人と見まがう彫りの深い顔立ちは、曾祖父がウイグル族だからであろう。
その他、「日本・東トルキスタン協会」に関しては大中博氏の存在があり、小倉高太郎から小田貴子の系譜を辿ると夢想花音楽事務所とKOA貿易の関係は浅くないことが判る。
事実、「日本・東トルキスタン協会」とKOA貿易の関係は、樋山調査事務者の調査員達が遭遇した謎の中国人達からも伺える。彼らは中国の公安関係に間違いなく、KOAを監視していたのだろう。KOA貿易と東トルキスタン独立運動との関係は濃厚と思われる。
しかし、大中氏の経営するS社は中国で工場も操業しており、相互の貿易額はかなりに上る。この点からして、大中氏が中国を刺激するような東トルキスタン独立運動に関わっているとは考えにくい。大中氏の「日本・東トルキスタン協会」理事は単なる名誉職以上のものではないだろう。
星野遼介は多分、祖父・父親から大アジア主義の薫陶を受けて育ち、中国大陸に対する複雑な思いや、民族独立に深い関心を抱いていたと考えられる。
大中氏を通じてKOA貿易と懇意になり、最初は偽ブランドの楽器等を仕入れていたのだろう。KOA貿易に出入りするうちに、ウイグル人等の東トルキスタン関係者と親交を深め、彼らの強固な民族独立精神に共感し、更に、小田貴子や家族との関係が深まるにつれて彼の独立運動に対する支援意思が確固としたものになったのだろう。
支援の一環として、シルクロード等の闇サイトでコカイン、麻薬等の禁制品を購入し、それらの転売により資金、武器・弾薬等を調達していたに違いない。
今考えると、それらの取引ではビットコインのような仮想通貨が決済に使用されていたことから、彼は、現在「億り人」(仮想通貨で一億円以上稼いだ人)どころではない巨額の資金を保有している可能性がある。この点からも金銭がらみの動機はありえないだろう。
しかし、星野遼介がそのような行動力、発想力を何処で身に付けたのだろうか?
榊江利子、鈴木正恵事件に関する種々の偽装工作技術についても特殊な訓練を受けていれば、容易に可能だろう。
そう考えると、冗談ではなく、彼の友人が語った「フランス外人部隊、アラブゲリラ云々」と言う空白の十年も現実味を帯びてくるように思える。
倉科の脳裏に突如、福岡の温泉付きホテルで見たアラブゲリラ訓練所の画像が浮かんだ。
(東トルキスタン独立運動、ウイグル族、イスラム過激派……。星野遼介は何処かでゲリラ訓練を受けたに違いない)
倉科の胸に確信のようなものが生まれた。
おそらく、榊江利子は星野遼介にリクルート等の報酬増額を求めた際、脅しの材料に彼のパソコンを覗き、ビットコイン、シルクロード等を知っていると告げたに違いない。
彼女は東トルキスタン独立運動等そんな難しいことにまるで興味はなく、彼氏に車を買ってやる程度の金額を要求しただけだろう。
しかし、この件が露見すると政財界の支援者に迷惑がかかるうえ、中国との外交問題に発展する可能性まである。星野遼介は戦慄を覚えたろう。
どうしても口封じが必要と感じたに違いない。
倉科は、ここまで仮説を辿ってみると、いままで引っかかっていた殺害の動機が氷解したとことを感じた。
更に、星野遼介は榊江利子が鈴木正恵、亀井綾乃にも内容を漏らしたに違いないとして、残り二人の口封じが必要として、殺害計画を立てたのだろう。
ただ、三村里香は亀井綾乃との人違いで殺害されたに違いない。
榊怜子と鈴木正恵の殺害には、実行犯による犯行隠蔽の工作が施されているが、三村里香の件では何らの工作も判明していない。
どう考えても、二件とは別の人間が実行した犯罪と思われる。
但し、前二件の犯人と特別な関係、犯人に代わって殺人を請け負うような関係、を有する者、そうすると、小田貴子の弟が浮かんでくる。
関係者の中で、明確な左利きは彼だけだ。
おそらく、三村里香の殺害犯は、亀井綾乃の住所、写真、身長、服装、バイオリン・ケースを携帯している等について情報を持っていただけで、実際に亀井綾乃との面識がなかったと考えられる。
倉科の目でも三村里香と亀井綾乃の後ろ姿は判別がつかないほどだから……。
ここまで考えてきたが、鈴木正恵についての殺害方法はまだ不明だ。これが判れば全てが解決できるのにと、山盛りになった灰皿を前に倉科は頭を抱えた。
倉科は考えが行き詰まると、(犯人なら全部しっているのになぁ……)との思いが強くなる。
捜査側が容疑者を逮捕して身柄を確保し、自供を迫る事情が、よく理解できる。自白偏重と言って、人権感覚に敏感な方々は批判するけど、ある程度、合理的な嫌疑があって、容疑者に自白を求めるのは仕方のないことではないだろうか。
犯人以外の人間がどんなに考えても思いつかない犯行方法が絶無とは言えないから。
即ち、犯罪の実行行為者しか知らない「秘密の暴露」を必要とする場合があるのだ。
翌朝、倉科が珍しく早起きして出かける準備をしていると、
「あら、どうしたの? えらく早いわね。急な出張?」
妻の怪訝そうな問いに、
「いや、国会図書館で調べものなんだ」と倉科は出掛けに答えた。
国立国会図書館は、倉科の住居に近い目黒駅から地下鉄に乗り永田町駅で下車し、そこから徒歩で十分程のところにある。
入館を済ませ、書籍受け取りカウンターに進むと「真理がわれらを自由にする」との言葉が彫られている。
(そう願いたいものだが……)倉科は低く呟いた。
小倉高太郎著の「東トルキスタン紀行」を受け取った倉科は、閲覧室で入念に調べ始めた。昭和三年(一九二八年)発行とある。昭和六年(一九三一年)満州事変の三年前だ。
当時未完成だったトルキスタン・シベリア鉄道を経由して、小倉隊の一行は現在のカザフスタン領内にあるアルマトイ付近まで行き、後は陸路を馬と自動車を使用して東トルキスタン、現在の新疆ウイグル自治区に入った様子が詳細に書かれている。
紀行の主目的は、南京国民党政府の統治実態を観察し、隙あらば独立を伺っているムスリム教徒、主にウイグル族の動静を探り、究極的にはウイグル族独立派を支援することで南京国民党政府の弱体化を図ることであったらしい。
著書には、途中のイシククル湖畔にあるオッダーという集落でアリと言うウイグル族の若者をガイドに雇ったこと、彼がロシア語と支那語を話し、非常に聡明であったことも記されていた。
小倉氏は極めてこの若者が気に入ったようで、満鉄本社がある大連まで連れて帰ったとまで書いてある。
巻末には当時の東トルキスタンの風景と共に筆者である小倉高太郎氏とアリ青年が一緒の写真があった。年月を経た劣化により鮮明ではないが、倉科には、何となくアリ氏の目元が小田貴子の目元に似通っているように思えた。
(まさかねぇ……。オッダー? 小田とも通じるよなぁ……。まさか?)
倉科の頭の中は不思議な感じが充満し、それが何か一つの方向へ向かって奔流となっていくのを感じた。
事件解明とは全く関係のないことだが、倉科は、新疆ウイグル自治区からアフガニスタンに通じるワハーン回廊と言う東西二百キロ、南北十五キロの地帯を教えられ、新知識の獲得に満足した。
事務所に戻った倉科は、ネットを駆使して更に詳しく小倉高太郎を検索する傍ら、数日掛けて満鉄関係者で創設された「南満鉄会」に取材を行った。
その結果、判明したことは、戦後も、小倉高太郎は、東トルキスタン独立運動の支援に関わり、「日本・東トルキスタン協会」なる団体を立ち上げて、日本にいるトルキスタン出身ものを援助していたとのこと。
この団体には小倉の人脈で政界財界にも支援者がいるらしい。驚いたことに「南満鉄会」の名簿には夢想花音楽事務所のパトロンである大中博氏の父親、元通産大臣も名を連ねており、更に大中博氏は「日本・東トルキスタン協会」の理事に就任している。
ただ、「南満鉄会」への取材では、「日本・東トルキスタン協会」と「南満鉄会」の間における直接的な関係は何ら浮かんでこなかった。
倉科はタバコを燻らしながら、大胆な仮説を立ててみた。
アリと言うガイドの若者は小田貴子の曾祖父ではないだろうか?
小倉高太郎氏がアリの保護者となり日本まで連れてきたに違いない。
事実、樋山の聞き込みによると、満鉄の理事で男爵だった人物との親交があった旨の報告があり、更に、小倉高太郎の孫娘が小田貴子の母親であると言う事実がある。
小田貴子のアーリア人と見まがう彫りの深い顔立ちは、曾祖父がウイグル族だからであろう。
その他、「日本・東トルキスタン協会」に関しては大中博氏の存在があり、小倉高太郎から小田貴子の系譜を辿ると夢想花音楽事務所とKOA貿易の関係は浅くないことが判る。
事実、「日本・東トルキスタン協会」とKOA貿易の関係は、樋山調査事務者の調査員達が遭遇した謎の中国人達からも伺える。彼らは中国の公安関係に間違いなく、KOAを監視していたのだろう。KOA貿易と東トルキスタン独立運動との関係は濃厚と思われる。
しかし、大中氏の経営するS社は中国で工場も操業しており、相互の貿易額はかなりに上る。この点からして、大中氏が中国を刺激するような東トルキスタン独立運動に関わっているとは考えにくい。大中氏の「日本・東トルキスタン協会」理事は単なる名誉職以上のものではないだろう。
星野遼介は多分、祖父・父親から大アジア主義の薫陶を受けて育ち、中国大陸に対する複雑な思いや、民族独立に深い関心を抱いていたと考えられる。
大中氏を通じてKOA貿易と懇意になり、最初は偽ブランドの楽器等を仕入れていたのだろう。KOA貿易に出入りするうちに、ウイグル人等の東トルキスタン関係者と親交を深め、彼らの強固な民族独立精神に共感し、更に、小田貴子や家族との関係が深まるにつれて彼の独立運動に対する支援意思が確固としたものになったのだろう。
支援の一環として、シルクロード等の闇サイトでコカイン、麻薬等の禁制品を購入し、それらの転売により資金、武器・弾薬等を調達していたに違いない。
今考えると、それらの取引ではビットコインのような仮想通貨が決済に使用されていたことから、彼は、現在「億り人」(仮想通貨で一億円以上稼いだ人)どころではない巨額の資金を保有している可能性がある。この点からも金銭がらみの動機はありえないだろう。
しかし、星野遼介がそのような行動力、発想力を何処で身に付けたのだろうか?
榊江利子、鈴木正恵事件に関する種々の偽装工作技術についても特殊な訓練を受けていれば、容易に可能だろう。
そう考えると、冗談ではなく、彼の友人が語った「フランス外人部隊、アラブゲリラ云々」と言う空白の十年も現実味を帯びてくるように思える。
倉科の脳裏に突如、福岡の温泉付きホテルで見たアラブゲリラ訓練所の画像が浮かんだ。
(東トルキスタン独立運動、ウイグル族、イスラム過激派……。星野遼介は何処かでゲリラ訓練を受けたに違いない)
倉科の胸に確信のようなものが生まれた。
おそらく、榊江利子は星野遼介にリクルート等の報酬増額を求めた際、脅しの材料に彼のパソコンを覗き、ビットコイン、シルクロード等を知っていると告げたに違いない。
彼女は東トルキスタン独立運動等そんな難しいことにまるで興味はなく、彼氏に車を買ってやる程度の金額を要求しただけだろう。
しかし、この件が露見すると政財界の支援者に迷惑がかかるうえ、中国との外交問題に発展する可能性まである。星野遼介は戦慄を覚えたろう。
どうしても口封じが必要と感じたに違いない。
倉科は、ここまで仮説を辿ってみると、いままで引っかかっていた殺害の動機が氷解したとことを感じた。
更に、星野遼介は榊江利子が鈴木正恵、亀井綾乃にも内容を漏らしたに違いないとして、残り二人の口封じが必要として、殺害計画を立てたのだろう。
ただ、三村里香は亀井綾乃との人違いで殺害されたに違いない。
榊怜子と鈴木正恵の殺害には、実行犯による犯行隠蔽の工作が施されているが、三村里香の件では何らの工作も判明していない。
どう考えても、二件とは別の人間が実行した犯罪と思われる。
但し、前二件の犯人と特別な関係、犯人に代わって殺人を請け負うような関係、を有する者、そうすると、小田貴子の弟が浮かんでくる。
関係者の中で、明確な左利きは彼だけだ。
おそらく、三村里香の殺害犯は、亀井綾乃の住所、写真、身長、服装、バイオリン・ケースを携帯している等について情報を持っていただけで、実際に亀井綾乃との面識がなかったと考えられる。
倉科の目でも三村里香と亀井綾乃の後ろ姿は判別がつかないほどだから……。
ここまで考えてきたが、鈴木正恵についての殺害方法はまだ不明だ。これが判れば全てが解決できるのにと、山盛りになった灰皿を前に倉科は頭を抱えた。
倉科は考えが行き詰まると、(犯人なら全部しっているのになぁ……)との思いが強くなる。
捜査側が容疑者を逮捕して身柄を確保し、自供を迫る事情が、よく理解できる。自白偏重と言って、人権感覚に敏感な方々は批判するけど、ある程度、合理的な嫌疑があって、容疑者に自白を求めるのは仕方のないことではないだろうか。
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