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番外編
生徒会会計の息抜き②
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生徒会室から出ると、身体も完全に休憩モードに入ってしまったのか、お腹がぐうとなった。
廊下ですれ違う生徒からの声かけに、手を振りながらこたえ、通り過ぎる。
そのまま、学園内のコンビニに向かい、軽食を買って校内から出た。
ちょうどいい木陰を見つけ、軽食を食べていると、校門の方に人影が見える。
「んー?」
荷物を持つその様子に、興味をそそられ、ゴミをポケットに突っ込み立ちすくむ生徒へと近づいていった。
………
…………
……………
「ねぇ、君どうしたの?大荷物持ってるってことは…転校生とか?」
「っ!」
後ろから声をかけると、くるりと振り向いた。驚きで眼鏡の奥の目が大きく開いている。
後ろ姿では分からなかったが、声をかけた生徒は随分と整った見た目をしていた。
ふわりと風によって揺れる茶色い髪に、可愛らしい顔を少し隠す様にべっ甲色の縁ありメガネをかけている。
新品であろう制服に目をうつすと自身のものとは違う色のネクタイがきっちりと結ばれているのがみえた。
「君みたいな子、チェックしてるはずだけど記憶がないなー。ね、なんて名前?ネクタイの色からすると1年でしょ。」
この学園では人気が出そうな見た目だなと、
前に周り、顔をもっと見ようと一歩近づく。
「…今年入学しました、1年の佐藤唯と言います。…えっと、先輩は?」
「そっか、唯くんね。俺は2年の森千隼って言うんだ。森ちゃん先輩でも、ちーくん先輩でも好きに呼んでね。」
すっと耳に入ってくる心地の良い声に、自然と笑顔になる。
「で、唯くんはもしかして迷子?」
「あ、はい。何処に何があるかとかまだ分かっていなくて…。」
「そっか、じゃあまずその荷物だし、寮に行かないとかな?」
自己紹介をすませ、寮への案内役をかって出た。
大きな方の荷物を持ち、そのおかげで空いた唯くんの手をとり、寮へ歩いていった。
……
………
…………
寮に着き、はなちゃんとのやり取りも終えて、唯くんの部屋へ向かう。
いくら荷物を取られているからといって、素直に着いてくる後輩が心配となった。
この学園特有の環境を、入ったばかりの相手に押し付けるのは良くないが、知っていなければ、防げるものも防げない。
俺自身、苦い思い出がある。…あの時は何も知らなかった。
あの人に助けて貰えなければどうなっていた事だろう。
いい方法ではないだろうが、可愛らしい後輩の為にも教えてあげないとなと、にこりと笑みを向けた。
部屋に入ろうとする俺を、止めるために伸ばされた唯くんの手の腕を取り、扉の中に引き込んだ。
玄関の戸に押しつけて、見下ろす。
「唯くんさー、ダメだよ。…無防備ってやつだね。」
「何っ、するんですか…っ、」
心の中で謝りながらも、腕を離さず、もう片方の手でなめらかな頬を撫でる。
「この学園ってね、ちょっと変わってて…男の子ばっかりでしょ?そんな環境だからか、好きになる人とか、性の発散先が同性なんだよねー。知ってた?」
徐々に身体が強張っていく様子を観察しながら、頬に添えた手を、頸の方へと滑らせた。
「や、やめ…、ッ」
ここまでやれば充分かなと、パッと解放した。
「わっ、」
よろける後輩の体を支えるも、すぐに離し距離をとる。
謝罪の意味も込めて、降参のポーズをしてみせた。
「おっと、ごめんねー。びっくりさせちゃった?危ないってこと教えるには身をもって知ってもらった方がと思ってさー。」
「………言ってくれれば分かります。」
「そーねー、そうだといいんだけど…ね。ま、そういう事だからさ、優しく見えるような人でも気をつけてね!唯くん可愛いからさ。」
まだよく理解出来ていないだろうが、この忠告が、彼を危険から救ってくれるといいなと勝手な思いを抱きつつ、ぽんと、頭を、撫でる。
「じゃあねー。」
緩い挨拶をし、ひらりと手を振りその場を去った。
……
………
…………
だいぶ休憩をとってしまった。
優秀な後輩はまだ生徒会室にいるだろうか。
重い扉を開ける。
「森先輩、おかえりなさい。ある程度片付けたので、確認して貰えますか?」
「うるしーありがとぉー。沢山休んじゃってごめんね。」
まとめられた資料を受けとる。
そういえば、と先ほどの出来事を伝えようかと思ったがやめておいた。
自分の席に座り、手のひらをみる。
「あの感じ、ウィッグだったなぁ…」
変装でもしているのか、はたまた違う理由なのか。
この学園の危険因子が増えるのかどうか…そこまで考えて少ない情報では考えても意味はないなと、気持ちを切り替え、少し量の減った資料に再び向き合うのであった。
廊下ですれ違う生徒からの声かけに、手を振りながらこたえ、通り過ぎる。
そのまま、学園内のコンビニに向かい、軽食を買って校内から出た。
ちょうどいい木陰を見つけ、軽食を食べていると、校門の方に人影が見える。
「んー?」
荷物を持つその様子に、興味をそそられ、ゴミをポケットに突っ込み立ちすくむ生徒へと近づいていった。
………
…………
……………
「ねぇ、君どうしたの?大荷物持ってるってことは…転校生とか?」
「っ!」
後ろから声をかけると、くるりと振り向いた。驚きで眼鏡の奥の目が大きく開いている。
後ろ姿では分からなかったが、声をかけた生徒は随分と整った見た目をしていた。
ふわりと風によって揺れる茶色い髪に、可愛らしい顔を少し隠す様にべっ甲色の縁ありメガネをかけている。
新品であろう制服に目をうつすと自身のものとは違う色のネクタイがきっちりと結ばれているのがみえた。
「君みたいな子、チェックしてるはずだけど記憶がないなー。ね、なんて名前?ネクタイの色からすると1年でしょ。」
この学園では人気が出そうな見た目だなと、
前に周り、顔をもっと見ようと一歩近づく。
「…今年入学しました、1年の佐藤唯と言います。…えっと、先輩は?」
「そっか、唯くんね。俺は2年の森千隼って言うんだ。森ちゃん先輩でも、ちーくん先輩でも好きに呼んでね。」
すっと耳に入ってくる心地の良い声に、自然と笑顔になる。
「で、唯くんはもしかして迷子?」
「あ、はい。何処に何があるかとかまだ分かっていなくて…。」
「そっか、じゃあまずその荷物だし、寮に行かないとかな?」
自己紹介をすませ、寮への案内役をかって出た。
大きな方の荷物を持ち、そのおかげで空いた唯くんの手をとり、寮へ歩いていった。
……
………
…………
寮に着き、はなちゃんとのやり取りも終えて、唯くんの部屋へ向かう。
いくら荷物を取られているからといって、素直に着いてくる後輩が心配となった。
この学園特有の環境を、入ったばかりの相手に押し付けるのは良くないが、知っていなければ、防げるものも防げない。
俺自身、苦い思い出がある。…あの時は何も知らなかった。
あの人に助けて貰えなければどうなっていた事だろう。
いい方法ではないだろうが、可愛らしい後輩の為にも教えてあげないとなと、にこりと笑みを向けた。
部屋に入ろうとする俺を、止めるために伸ばされた唯くんの手の腕を取り、扉の中に引き込んだ。
玄関の戸に押しつけて、見下ろす。
「唯くんさー、ダメだよ。…無防備ってやつだね。」
「何っ、するんですか…っ、」
心の中で謝りながらも、腕を離さず、もう片方の手でなめらかな頬を撫でる。
「この学園ってね、ちょっと変わってて…男の子ばっかりでしょ?そんな環境だからか、好きになる人とか、性の発散先が同性なんだよねー。知ってた?」
徐々に身体が強張っていく様子を観察しながら、頬に添えた手を、頸の方へと滑らせた。
「や、やめ…、ッ」
ここまでやれば充分かなと、パッと解放した。
「わっ、」
よろける後輩の体を支えるも、すぐに離し距離をとる。
謝罪の意味も込めて、降参のポーズをしてみせた。
「おっと、ごめんねー。びっくりさせちゃった?危ないってこと教えるには身をもって知ってもらった方がと思ってさー。」
「………言ってくれれば分かります。」
「そーねー、そうだといいんだけど…ね。ま、そういう事だからさ、優しく見えるような人でも気をつけてね!唯くん可愛いからさ。」
まだよく理解出来ていないだろうが、この忠告が、彼を危険から救ってくれるといいなと勝手な思いを抱きつつ、ぽんと、頭を、撫でる。
「じゃあねー。」
緩い挨拶をし、ひらりと手を振りその場を去った。
……
………
…………
だいぶ休憩をとってしまった。
優秀な後輩はまだ生徒会室にいるだろうか。
重い扉を開ける。
「森先輩、おかえりなさい。ある程度片付けたので、確認して貰えますか?」
「うるしーありがとぉー。沢山休んじゃってごめんね。」
まとめられた資料を受けとる。
そういえば、と先ほどの出来事を伝えようかと思ったがやめておいた。
自分の席に座り、手のひらをみる。
「あの感じ、ウィッグだったなぁ…」
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この学園の危険因子が増えるのかどうか…そこまで考えて少ない情報では考えても意味はないなと、気持ちを切り替え、少し量の減った資料に再び向き合うのであった。
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