ご主人様の安寧を守るのは当然です!

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本編

5、ご主人様を探せ

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自室に戻ると、明日の準備もすぐに終えてしまったため、手持ち無沙汰となる。

「…どうしようかな。」

ふむと考え、共同生活が始まるならば、掃除でもしようかと、掃除道具を持ち出す。

そこまで汚れてはいないが、玄関、廊下、共同スペースと綺麗にしていった。

次は水回りかと、まずはキッチンに向かうと、掃除をしなくてもいいくらいに綺麗で使われていないようだった。
一通りの調理器具なども揃っていたが、どうやら同居者は、自炊しないタイプらしい。

壁掛けの時計をみると、夕方と言える時間になっていた。

コンビニというか、小規模のスーパーのようなものがあったなと思い出し、夕飯を作るために買い物に出かける事にした。

……
………
…………


買い込んだ食材を、キッチンに備え付けてある冷蔵庫に入れ込む。

エプロンをつけ、手を洗うと食材を並べて、調理をはじめていった。

コトコトと鍋で煮込んでいると、ガチャと玄関の方で扉が開いた音がした。

「…え、カレーの匂い?」

名を八重坂と言ったか、同居者であろう声が聞こえる。
一度火を止めて、ひょこりとキッチンから顔を出した。

「おかえりなさい。初めまして、今日から同室の佐藤唯です。よろしく。」
「…。」

驚く相手に、話もせずにキッチンを使い料理をしていたのはまずかったか、と思考を巡らせる。

「勝手にごめんなさい。…やる事なくて、つい料理を…。」
「………い。」
「?」

ぼそりと何かを言ったようだが、聞き取れなかった。
聞き返そうとすると、口早に相手が話しはじめた。

「あの…」
「………おかしい。幻かな。これって新婚さんシチュエーション?、そして、お嫁さんかな?!やばっ、コレは攻めがいたら即ベッドコース!いや、そのままキッチンっていうのもあり。やっぱり台詞としては、ご飯にする?お風呂にする?それとも…って?で、照れながらいう受けに、攻めがもちろんお前だろって言うんだ…はーやばっ!」

1人で盛り上がる様子に、どうしたものかと思い、とりあえず相手が落ち着くまで待つこととした。

興奮し、ぶつぶつと話していたが、ばちりと目があった。

「理想の受けちゃんは、本物ですか?実際してるんですか?夢じゃない??」
「えっ、と。よく、わからないけど。」

こくりと頷くと、いつの間に距離を詰めたのか、目の前に移動していた。

「最高だよ!えー、佐藤だっけ?俺は八重坂蓮(やえさか れん)。八重坂でも、蓮でも好きに呼んで。いや、呼ばなくてもいい。俺はその世界線にいないから!…あ、ちなみにどんな人が好き?もう彼氏っている?」

鼻息荒く矢継ぎ早の質問についていけない。

「はー、その困り顔最高!」

自身の顔を押さえて上を向く八重坂に、今日からの生活に不安が過ぎった。

「…とりあえず、落ち着いて…」
「声もめっちゃ良いんだけど!」
「…ねぇ、そろそろ怒るよ。聞いてる?」
「怒る受けちゃんもいい…っ」
「もう、知らないよ。」

キッチンにまた潜り、先ほど炊けたご飯をかき混ぜないとと動き出す。
1人分よそり、リビングに運ぼうとする。

まだ廊下に立ち尽くしている様子にしょうがないと声をかける事にした。

「…八重坂くん、僕の作ったもので良ければ、一緒に食べ」「食べます!めちゃくちゃ食べます。そして、ごめんなさい!!」

前のめりの返事に思わず、笑ってしまう。
八重坂の方から、天使とかいう言葉も聞かれたが無視をし、もう1人分を用意して食卓に並べた。

……
………
…………

食事を食べながら、八重坂の話を聞く。
八重坂はどうやら俺と同じクラスのようだ。

「…ねぇ、宇留島創哉って人、知ってる?」

俺の探し人について尋ねる。

「あぁ、宇留島様ね。俺たちとは別クラスで、生徒会の庶務をやってるかな。いやー良いよね。この学園の中でも1・2位を争うベストオブ攻めだと思う。…え、もしかしてそんな事聞くってことは、佐藤の彼氏?!」

持っていたスプーンを落としそうになる。
受けとか攻めとかよくわからないが、彼氏という事は恋仲なのかということだろう。
恐れ多く、すぐさま否定する。

「はぁ!?な、何それ!そんなわけないでしょ!」
「その反応、怪しい…俺的にはとても萌えるカップリングだけど。」
「勝手な妄想しないでよ…!」

急な事に思わず声を荒げてしまい、誤魔化すように水を飲む。
その後逃げるように、空いた食器を下げ、素早く洗うと自室に逃げ込んだ。

創哉様と恋仲なんて、ある訳がない。
自分は執事で、創哉様はご主人様という主従関係だ。
それに、創哉様は次世代を担うお人で、いつかは当主様の様に素敵な相手を見つけて家庭を築くのだろう。
そんなご主人様を生涯支えられる事が、執事で居続ける事が俺の幸せなのだ。

早めに風呂に入り今日は早々に寝て、気持ちを切り替え明日に備えようと精一杯で、俺とした事が携帯の…ご主人様からの着信に気付かず、朝から落ち込む事になるとはこの時はわからなかった。

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