百万文字の世界

魔狼ちゃん

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百万文字の世界2nd

7.

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✴︎
 私は,触れた。
 この本に。
 何というか、とても不気味なものに。
 私の行動が全て記される本。
 その表紙には、何やらわからぬ言葉で何かが書かれている。
 題名だろうか。
 その本の数ページ前には、死ぬ、などの言葉が多く綴られている。
 不気味な本だ。
 あーあ。
 私,こんな本拾わなかったらよかったな。
 そう思い、私は,本を返すべく、もときた道を戻ると、
「あれ?こんな道通ったけ?」
 そこには,見たことのない折れ曲がって,ぐねぐねとした電柱が一本聳え立っている交差点だった。
「何?これ、え?」
 私は,不気味になり、急いで家のある方向らしい方向に走る。
 おかしい。
 おかしい。
 おかしい。
 不気味だ。
 人間味のない人間が歩いている。
 全員の目が死んでいる。
 生きていない目。
 何か,明日でも見ているかのような目をしている。
 死んでいる気がする。
 そう思っていた私は,軽く,ぶつかってしまった。
 すると,ぶつかった人間らしいものは,よろけて,倒れて,口を開けた。
 そこから,白い牙が何本も見えた。
 目が赤く光り、舌で歯を舐めて、私をみた。
 気持ち悪い。
 その一言に尽きる。
 私は,急いで,家に帰る。
 大丈夫、家ある。
 その一言に尽きる。
 何回同じこと言ってんの、って言われたら言い返せないけども、私は,こと一言が好きだ。
 だって,この一言で完結ができるのだから。
 私は,家に入ろうとして気づいた。
 家の鍵がない。
 というか,そもそも,家に入ることができない。
 鍵がかかっている。
 この時間帯ならば,いつも,母親が弟がいるはずだ。
 なのに今日は,誰もいない。
 ちゃんと車が止まっているのに。
 なんで。
 私は,不思議に思い,少し,家を窓から覗いてみる。
 しかし,暗くてよく見えない。
 そこで,私は,思い切ってインターホンを鳴らすことにした。
 弟がいるはずだ。
 どうせ母が寝ているかどうかなのだろう。
 大丈夫,私は,全然大丈夫だ。
 そうやって暗示をかけることで、私がみた光景をなくしていこうと思ったのだろう。
 インターホンの音が軽く響く。
 その音がなると、家の鍵がカチャっと外れる。
 私は,思いっきり扉を開けて,後悔した。
 目の前には,ナイフと母の頭を持った女性が立っていた。
「え?」
 私は,その一言だけを漏らして、ダッシュで家から警察署へと走る。
 おかしい。
 おかしい。
 おかしい。
 なにを考えてるんだ。
 こんなこと現実にあるわけないだろ。
 どうせ,夢か何かだ。
 私がみてるのは,夢だろ。
 どうせ、そうだって。
 そんなことが言えるのは,今だけだった。
 周りを見ると,みんな目を赤くして,私を見つめる。
 牙を剥く。
 爪を向けてくる。
「え?」
 何何何何何。
 そこで,私は,絶命した。
✴︎
「面白くないねぇ……もっと生きのいい人間を釣ればよかったよ。こんなくだらねぇ、事でピーピー叫ぶやつの方がよっぽど腹の肥やしになったね」
 そうやって行ったのは,美月を殺した男性だった。
 その男性の隣には,美月そっくりな人が立っていた。
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