地下牢に閉じ込められていたシリアスキラーが20年後に突然解放されたら、勇者は、雑魚だった。

22.

✴︎
　俺の情報を整理しよう。
　聖戦には、六人の英雄がいた。
　しかし，そのうちの一人は，滅多に出てこないため英雄とされていなかった。
　その一人が，今目の前にいる『雷帝』ミル。
「『雷帝』ってなにができるの？」
「例えば，世界で望むものを作ることができます」
　それって『雷帝』関係ないよね。
　と思いながら，話を聞く。
「あとは，やはり，雷を自由に操ることができることでましょうか」
「『雷帝』ならなくちゃならないのがその技だろ」
　と俺は，口に出してツッコミを入れる。
「ふふ♪あなたといるとなんだか，心が落ち着きます」
　なんで，音符みたいなのがついてるんだろう。
　と心の中で考えていた。
「あっ！グリッド」
　その時，ドラゴン娘が登場する。
　そして，こっちに寄ってくるときに、ミルは，立ち上がって、
「あなたは，誰ですか？」
　冷酷なほど低い声でドラゴン娘に言った。
「あなたこそ……」
「あなたは，やはり，私には，勝てない」
　ミルは，そう言い切った。
「なんで！てか，あんた誰なのよ！」
「私は，分かったからもうその質問に答える義理は，ない」
　ミルは，酷いくらい自分勝手に盤面を進めていた。
「あんた，殺すわ」
　ここら辺がいいときだろう。
　俺は，立ち上がって、ドラゴン娘の頭に手を置く。
「もういいだろ？こんなところで力を使ったってなんの役に立たない。さ，次のところ行くぞ」
　俺は，歩き出そうとしたとき、
「グリッド、一つ、盟約、二つ、契約、三つ、天約、四つ、章約。そして，五つ、至極の明帝約。以上」
「はぁ？それ，なに……」
　そして，後ろを見た時には，ミルは，もういなかった。
「なにしてるの？次行くんでしょ？」
　俺は，ドラゴン娘の後を追いかけて行った。