上 下
33 / 88
第二章

32.

しおりを挟む
✴︎
「あーあ。ありえないわ」
 『黄白龍』シドリアは、ブチギレていた。
「まじで何もかもぶち壊したいわ」
 その時,目の前に白衣を着て,眼鏡をかけた謎の男が現れる。
「やぁ、シドリア」
 シドリアは,舌打ちをした。
「なんなのよ?」
「まぁまぁ、怒るでないよ」
 シドリアは,今にも飛びかかりそうだったが,それを静止するものは,いない。
 そして,シドリアは,飛びかかる。
 牙と爪という爪を剥き出しにして、
「ブロックアウト」
 その一言で,爪と牙は,
 カーン
 と虚しく音を鳴らして,終わった。
「残念だったね」
「ほんとになんなのよ」
 男は,少し考えて、
「僕が何か?そんなの考えればわかるだろ?」
 シドリアは,もう一度飛びかかりそうだった。
「僕は,『神』だよ」
「はぁ?そんなことがこの世に通用すると思ってるの?」
 男は,少し悩んで、
「じゃ,『天使』を呼んでやろう」
 男は,笑って言った。
「『天使』ロウ、アーネイル、アーボード、ソラファンっ!」
 しかし,そこに現れたのは,二人だった。
 片方は,右腕がない。
「やっぱり嘘?」
 そう,シドリアが言った時、あらわれた二人が、
「ソラファンとアーネイルは、ミルに殺されていたよ」
 そうなんともなんともないように言った。
「あーそうか」
 こちらもどうでもいいようだ。
「わかった。ロウ、アーボード」
 そして,こちらを見る。
「これで信じただろう。シドリア」
 しかし,シドリアは,牙を剥いて、
「なんで,私は,ここにきたのっ!」
「まだ,わからないか?」
 男は,笑っていた。
「残念だったな」
 男は,そう言って、
「『天の王殺ゴッド・キル』」
 男は,そう唱えた。
「最後に,私の名は,『神』ガッド。死ぬ前に覚えて行け」
 そう言った後に、シドリアは,
「ぐがっ!」
 脳がはち切れそうなぐらいの痛みに襲われ、ゲロを吐きそうになり、目が白目を剥き、口から血を吹き出した。
「残念だったな」
 ガッドは、その死体を足で踏みつけた。
しおりを挟む

処理中です...