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第三章

83.

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✴︎
「ちょっと……本気なの?」
 エキドナは、俺らから逃げるように後ろに下がっていくが、
「ヘスティア拘束しろ」
「御意」
 そう言って、ヘスティアは、音もなくエキドナを拘束する。
「あと処刑台の用意もしとけ」
「御意」
 そして、出ていこうとするヘスティアにもう一つお願いする。
「処刑台は、二台で頼むぞ」
「ぎょ、御意?」
「お前が敬語やめねーからお前も処そうかと思ってな」
「やめてください~グリッド様~」
 そう言ってヘスティアは、俺に縋る。
 俺のズボンをびしょびしょに濡らすかと思われる勢いで涙を流す。
「じゃ、どうするんだっけ?」
「なんでもいうことを聞き……って話だよね?」
 ヘスティアは、冷汗を流しながら、敬語を使わないようにしようとしてるようだ。
「じゃ、こいつの相手をしたれ、どうせ、雑魚だから一秒もかからないと思うけどな」
「はーい」
 ヘスティアは、元気よくそう言った。
 多分、そう敬語を使うことはないだろう。
「というわけで、エキドナ処刑してくるわ」
 俺は、そう言ってエキドナを抱き上げ、走って魔王の間を出た。
「ちょ……」
 エキドナが出て行ったあと勇者は、そう言った。
「さて、どうしてあげようかな~」
 ヘスティアは、鼻歌交じりにそう言っていた。
 その隙を見て、勇者は、逃げ出そうとする。
 しかし、ヘスティアは、勇者を見ずに、ナイフを投げつける。
 そのナイフは、勇者が手を置こうとしていたところにグッサリと刺さった。
「ひっ……」
「逃げちゃだめだよ?」
 ヘスティアは、そう言って勇者を微笑みながら見た。
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