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ホムンクルス計画

探索者、一真と脱出者、綾香の遭遇

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 刹菜を救うべく研究所の中を探し続けている一真と洋子、ふたりの間にはある違和感、そしてそこから現れた明確な疑問が浮かんでいた。
「洋子も気付いたか」
「うん、なんで研究所なのに研究員が全然いないの」
 そうしてそんな疑問を抱きながら進んで行くと、そこには意識を失って寝ているひとりの少女と少女を囲むように散りばめられた骸骨の残骸たち。
「最初から骸骨だったのか?」
 一真の疑問、研究員が魔法の力で殺され骸骨にされたのか初めから存在した骸骨たちなのか。もしもの話、前者であれば余程危険な力を持った存在がこの研究所に乗り込んでいるのだということ。そしてひとり眠る少女の存在。
「い、行こうぜ。起こしたら相当危険だ」
 それだけ言って歩いていく。洋子もまた、それについて行く。歩く度に撒き散らされる星々は白と黒の輝きを持っていた。
「下手に散らし過ぎたら敵に気付かれないか?」
「ええ? 綺麗だから出してるのに。歩く度にキラキラと」
 洋子は実は大馬鹿者であった、愚か者め、そう毒づいて一真は歩いて行く。
 そして進んで行く、無機質な部屋は前後の違いが分からない。歩けども歩けども同じ景色が流れて来るばかり、そんな所に突然入り込む違和感。開かれた大きめのドアからローブを纏った美しき女性が現れたのだ。
「は? 奈々美、来てくれたのか」
 奈々美は美しき顔から美しき笑顔を見せて洋子の頬を引っ張り始める。
「相変わらず可愛いわね、はあ、素敵、貴女は刹菜を助けに来たのかしら」
「そうだよ。奈々美さん」
 奈々美は箒に跨り洋子を後ろに乗せる。
「刹菜の場所は多分分かるわ。大事な物や人を収納する部屋だけ入り口が大きいの」
 それから妙に揺れる箒、洋子は驚き慌てて奈々美にしがみつく。
「あ、危ない。この箒2人乗り出来るの?」
 奈々美は背中にしがみつく洋子の方に目を向ける。その瞳はいやらしい事を考えているような色を持っていた。
「洋子ちゃんの身体が私に密着しているわ」
「あのエロ魔女、それが目的か! ってか俺は?」
 そんな一真の疑問に対して奈々美は冷たい声で言ってのける。
「そんなアナタにひと仕事用意しておいたわ。本当は研究員追い払い用のつもりだったけれどもたまたま置いてあった無線機、やつらの忘れ物から知った話、みんないくつかの部屋に固まって閉じこもってるみたいだから必要なくなってしまったの」
 頭に疑問符を浮かべる一真、ドアの方に目を向けるとそこには見覚えのある和服の少女が立っていた。
「それじゃあ、さようなら。生きてたらまた後ほど」
「てめぇやりやがったな逃げやがったな」
 飛んで去っていく奈々美を追いかける声、しかしそれも届く事はなく、和服の少女〈亡霊の魔女〉天草 綾香がどこからか取り出した薙刀によって一真に殺意の気配が迫り、一真はそれをビニール傘で受け止める。
 そうして探索者と脱出者による得る物の存在しない闘いが幕を開けたのであった。
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