呪う一族の娘は呪われ壊れた家の元住人と共に

焼魚圭

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ホムンクルス計画

頼みごと

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 夜の静かな風に吹かれて切れ長の目と鼻筋の通った顔を闇に紛らわして日之影 怜は歩いていく。目的地は友だちの家だ。
 昨夜の出来事を思い出していた。今でも強く響いてくる最期の会話。

「おい勇人! しっかりしろ! 魔女を全て殺すんだろ」
 勇人は生と死が重なり合ったような姿で、何を見ているのかそれすらも分からないような弱り果てた瞳で男を見て言う。
「怜、俺さ、ダメだったよ」
「ふざけるなよ! 鈴香はどうすんだ」
 勇人はただ無機質な天井だけを見つめながらひとつ、頼み事をした。
「怜、すずかの事、頼んだよ」
 今にも失われそうな意識、助かる事は不可能という事実。
 怜はただ答えるのであった。勇人がこの世から去ってしまう前に、命の火が消えてしまう前に。
「……ああ、頼まれてやった」
 勇人は安らかな表情で死に絶えたのであった。

 それを思い出すだけで怜は心底苛立っていた。煮えたぎる怒りは自身が巻き起こす風を熱く激しく変えていく。
「この家だな。よくも俺の友にあんな苦しい運命を背負わせたな」
 どうせもう行かない家、勇人の実家。ならば。
「ぶっ壊して勇人と同じとこへ連れて行くか」
 いきなり大きな風、怜の手から家の壁へと向けて発生した竜巻は向かうままに壁を破壊した。
 砕け散る壁、地面に散った破片たちを踏みにじり、怜は家に入っていく。
 ドアを蹴飛ばして居間へと土足で踏み入る。そこにいたのは4人の大人とひとりの幼い少女。そこで行われている事など分かり切っていた。
「てめぇら自分の子に何やってる」
 描かれた大小様々な円、その中でも1番大きな円の真ん中で少女鈴香はベージュの布1枚だけを羽織って男たちに囲まれていた。
「魔女と同じ力を得るための儀式か、クソったれが」
 年老いた男が言った。
「貴様、我々の儀式の邪魔をするな。魔女共に狙われる鈴香にこれから自衛の手段を与えるのだから」
 鈴香は虚ろな目で怜を見つめていた。そして言葉が零れ始める。
「勇人の……お友……だち」
 途切れ途切れでゆっくりと話す、それはいつもの事。そのくらいは分かるくらいには怜も鈴香の事は知っていた。
 怜は木の天井を風で貫いた。
「勇人に頼まれてるんでな。鈴香はいただいていく」
 男たちは顔色を変えて突撃するもそれは全てがムダ。勇人の風に対抗出来る者などここには誰ひとりとして存在せず、勇人は鈴香を抱えて家を破片の数々に変えて出て行ったのであった。
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