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風使いと〈斬撃の巫女〉
親子
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庭の中、優しい明るさの中、那雪は席を立ち、父の元へと向かう。誰が何を思おうとも関係などない。久々に父親に会うのだから。
「お父さん」
眼鏡の男は顔を上げ、目を丸くしていた。
「那雪、確かに魔導教団に入ったと聞いたがまさかここで会うなんて」
那雪は久々の父と向かい合って紡ぎ出す言葉を見つけることも出来なくて口を噤む。父は那雪の肩に手を置いた。
「何年ぶりかな、大きくなったな。俺の友だちの息子と付き合ったんだってね。大きな怪我や病気もなかったんだってね」
二年も聞いていなかった父の声、記憶から薄れかけていた顔、それでも父は父。那雪は優しい日差しの中でぎこちなく、しかし優しく微笑んだ。
「ええと……うん、ひ、久しぶり……だね」
「どうしたんだ、まるで鈴香みたいな途切れ方」
久しぶりの出会いは知っている人のはずなのにどこか他人を思わせる。上手く話すことが出来ない。それが那雪の心なのだった。
父は一度咳払いをして話し始めた。
「知っているかな、妹のこと。あの子はここにも手がかりを残さなかったよ、茜は簡単に見付かったのにね。しかし悪魔の姿をしていて……大切な妻が」
那雪は目を見開いていた、口を力無く開けていた。
「どうした? もしかして覚えていない?」
全くもって記憶になど残されていない事実。
那雪の母が真昼の姉、つまり、真昼は那雪の。
「ええ!? お母さんかなとなんとなく思ってたけどもしかして叔母さん!? えぇ!? 予想大ハズレ……恥ずかしい」
父は飲んでいたコーヒーを噴き出していた。
「なんでそう思うよなゆきまさかそこ行く!? 予想の斜め上」
「いやだって真昼さんなんとなく美雪に似てたんだから」
父は顔を赤くしている那雪の頭を撫でながら言った。
「確かにね、茜も落ち着いた感じになれば多分あんな感じになるよ」
そんな昼下がりの敵地での平和な会話であった。
「お父さん」
眼鏡の男は顔を上げ、目を丸くしていた。
「那雪、確かに魔導教団に入ったと聞いたがまさかここで会うなんて」
那雪は久々の父と向かい合って紡ぎ出す言葉を見つけることも出来なくて口を噤む。父は那雪の肩に手を置いた。
「何年ぶりかな、大きくなったな。俺の友だちの息子と付き合ったんだってね。大きな怪我や病気もなかったんだってね」
二年も聞いていなかった父の声、記憶から薄れかけていた顔、それでも父は父。那雪は優しい日差しの中でぎこちなく、しかし優しく微笑んだ。
「ええと……うん、ひ、久しぶり……だね」
「どうしたんだ、まるで鈴香みたいな途切れ方」
久しぶりの出会いは知っている人のはずなのにどこか他人を思わせる。上手く話すことが出来ない。それが那雪の心なのだった。
父は一度咳払いをして話し始めた。
「知っているかな、妹のこと。あの子はここにも手がかりを残さなかったよ、茜は簡単に見付かったのにね。しかし悪魔の姿をしていて……大切な妻が」
那雪は目を見開いていた、口を力無く開けていた。
「どうした? もしかして覚えていない?」
全くもって記憶になど残されていない事実。
那雪の母が真昼の姉、つまり、真昼は那雪の。
「ええ!? お母さんかなとなんとなく思ってたけどもしかして叔母さん!? えぇ!? 予想大ハズレ……恥ずかしい」
父は飲んでいたコーヒーを噴き出していた。
「なんでそう思うよなゆきまさかそこ行く!? 予想の斜め上」
「いやだって真昼さんなんとなく美雪に似てたんだから」
父は顔を赤くしている那雪の頭を撫でながら言った。
「確かにね、茜も落ち着いた感じになれば多分あんな感じになるよ」
そんな昼下がりの敵地での平和な会話であった。
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