1 / 38
第1話 フリーター、死神になる
しおりを挟む
俺は鎌倉フブキ。19歳で高卒のフリーター。
両親はすでに亡くなっていて、残されたのは父親の6億の借金と可愛い妹だけ。
今は妹と2人でトウキョウの小さなアパートで暮らしている。
昼は報酬の良い日雇いバイト、夜はコンビニで働く。そんな毎日を繰り返している。
正直こんな生活を繰り返していたら体がもたない、というか限界が近づいている。
夜遅く、コンビニでのバイトが終わり帰る途中、落ちているチラシが目に入る。
普段ならスルーしてしまうところだったが、なぜか気になってしまった。
------------------------------------
未経験 歓迎! 高額報酬!!
あなたも死神やってみませんか?
仕事内容:魂の回収、納品
※質に応じて報酬が上下しますデス。
------------------------------------
――死神、高額報酬…いかにも怪しい。だが、疲労で判断能力が鈍っていたのか、とりあえずチラシに書いてあった番号に電話をかけた。夜遅いのは承知だが、こんなチラシを貼る会社だからな。
「お電話ありがとうございますー。こちら安心魂取引所デス」
高めの声で胡散臭いが、仕事はできる感じの男が電話にでた。
バイトに応募したい旨を伝えると明日すぐに面接することになった。
急すぎだと思いながらも、いつもの私服で余計なことを考えずに現地に向かう。
指示された建物に着いた。外観はこぢんまりとした2階建ての倉庫にも見える。
中に入ると思ったよりも綺麗だが、社員は見当たらず、ドクロやコウモリといった特徴的な装飾がちらほらと目に付く。
応接間のような場所に着くと、電話の声にピッタリの痩せて背と鼻の高い胡散臭そうな男がいた。
男は『メフィスト』と名乗った。
「おや、お早いデスね。さっそく面接を始めましょう、と言いたいのデスが……」
この言葉で一気に不安になる。
「実は先ほど、もう一人面接をしまして、ローブ…この仕事の制服がすべてなくなりまして」
メフィストは申し訳なさそうに苦笑いをする。
「じゃあ、俺は働けない――」
「いや! 普通のローブはもうないんデスが、つい最近入荷した上質な…いや特上のローブが一着ございまして」
「特上のローブ……?」
「普段なら絶対バイト君に着させたりしないんデスが、どうしても仕事がしたいというなら他のローブもございませんので考えますが……」
俺は高額報酬という文字が頭をよぎる。
「お願いします! なんでもしますから!!」
「仕事熱心なのはありがたいデスが、ローブ代を払ってほしいデスね。」
制服を買わせるのか、考えてもいなかった。
「ローブ代…借金があってすぐには払えないけど給料から引いてくれないか。」
「仕方ありませんね、承知しました。ローブ代と鎌のセットで6千666万円となります」
――はぁ!? 6千…なんかの冗談だろ、と思ったが後に引けなかった。
「安心してください、高額報酬デスので」とメフィストは怪しい笑みを浮かべた。
ローブは死神のイメージ通り漆黒かと思ったが、色は白く背中の部分には雪の結晶が描かれている。
なんとなくだが、そうとう使い込まれている感じがする……。
「念のためここで試着しますか? そのローブは中古品なので不具合がないかも確かめなくては」
俺は言われるがままにローブを羽織り、フードを被った。大きめでサイズは問題ない。
「では、そのまま目を瞑り少々お待ちを」
体に異変を感じたが、恐怖と寒気で目を開けることができない。しばらくして、メフィストが目を開けていいと合図する。
膨大な時間が経過したように思ったが、一瞬だったらしい。
メフィストが俺を大きな鏡の前に誘導する。そこに映ったのは俺ではなく、銀髪の幼い女の子だった。
「元の姿からかけ離れていますし、問題ないデスね。とくに拒絶反応もなさそうデスし」
どうやらローブを着用した時に気絶や嘔吐する者も少なくないという。
「では、鎌をどうぞ。お気をつけて」
メフィストが鎌と言って渡してきたのはただの棒…? 先端を引っ張ると伸びる。
手元にあったボタンを親指で押す。すると棒の先の方からから青白く光る刃のようなものが現れた。
その姿は本当に死神の大鎌のように見える。
メフィストが言うに、この鎌は肉体は切れず、魂と肉体を切り離すのに使うらしい。
「では、ワタシからの説明は以上となります。報酬はターゲットの魂を納品するごとにお支払い致しますので……」
「ああ、期待に応えられるように頑張るよ」
「最後に仕事中のアナタの名前なんデスが……」
『ユミル=ブリザード』
――俺は無意識にその名前を答えた。
両親はすでに亡くなっていて、残されたのは父親の6億の借金と可愛い妹だけ。
今は妹と2人でトウキョウの小さなアパートで暮らしている。
昼は報酬の良い日雇いバイト、夜はコンビニで働く。そんな毎日を繰り返している。
正直こんな生活を繰り返していたら体がもたない、というか限界が近づいている。
夜遅く、コンビニでのバイトが終わり帰る途中、落ちているチラシが目に入る。
普段ならスルーしてしまうところだったが、なぜか気になってしまった。
------------------------------------
未経験 歓迎! 高額報酬!!
あなたも死神やってみませんか?
仕事内容:魂の回収、納品
※質に応じて報酬が上下しますデス。
------------------------------------
――死神、高額報酬…いかにも怪しい。だが、疲労で判断能力が鈍っていたのか、とりあえずチラシに書いてあった番号に電話をかけた。夜遅いのは承知だが、こんなチラシを貼る会社だからな。
「お電話ありがとうございますー。こちら安心魂取引所デス」
高めの声で胡散臭いが、仕事はできる感じの男が電話にでた。
バイトに応募したい旨を伝えると明日すぐに面接することになった。
急すぎだと思いながらも、いつもの私服で余計なことを考えずに現地に向かう。
指示された建物に着いた。外観はこぢんまりとした2階建ての倉庫にも見える。
中に入ると思ったよりも綺麗だが、社員は見当たらず、ドクロやコウモリといった特徴的な装飾がちらほらと目に付く。
応接間のような場所に着くと、電話の声にピッタリの痩せて背と鼻の高い胡散臭そうな男がいた。
男は『メフィスト』と名乗った。
「おや、お早いデスね。さっそく面接を始めましょう、と言いたいのデスが……」
この言葉で一気に不安になる。
「実は先ほど、もう一人面接をしまして、ローブ…この仕事の制服がすべてなくなりまして」
メフィストは申し訳なさそうに苦笑いをする。
「じゃあ、俺は働けない――」
「いや! 普通のローブはもうないんデスが、つい最近入荷した上質な…いや特上のローブが一着ございまして」
「特上のローブ……?」
「普段なら絶対バイト君に着させたりしないんデスが、どうしても仕事がしたいというなら他のローブもございませんので考えますが……」
俺は高額報酬という文字が頭をよぎる。
「お願いします! なんでもしますから!!」
「仕事熱心なのはありがたいデスが、ローブ代を払ってほしいデスね。」
制服を買わせるのか、考えてもいなかった。
「ローブ代…借金があってすぐには払えないけど給料から引いてくれないか。」
「仕方ありませんね、承知しました。ローブ代と鎌のセットで6千666万円となります」
――はぁ!? 6千…なんかの冗談だろ、と思ったが後に引けなかった。
「安心してください、高額報酬デスので」とメフィストは怪しい笑みを浮かべた。
ローブは死神のイメージ通り漆黒かと思ったが、色は白く背中の部分には雪の結晶が描かれている。
なんとなくだが、そうとう使い込まれている感じがする……。
「念のためここで試着しますか? そのローブは中古品なので不具合がないかも確かめなくては」
俺は言われるがままにローブを羽織り、フードを被った。大きめでサイズは問題ない。
「では、そのまま目を瞑り少々お待ちを」
体に異変を感じたが、恐怖と寒気で目を開けることができない。しばらくして、メフィストが目を開けていいと合図する。
膨大な時間が経過したように思ったが、一瞬だったらしい。
メフィストが俺を大きな鏡の前に誘導する。そこに映ったのは俺ではなく、銀髪の幼い女の子だった。
「元の姿からかけ離れていますし、問題ないデスね。とくに拒絶反応もなさそうデスし」
どうやらローブを着用した時に気絶や嘔吐する者も少なくないという。
「では、鎌をどうぞ。お気をつけて」
メフィストが鎌と言って渡してきたのはただの棒…? 先端を引っ張ると伸びる。
手元にあったボタンを親指で押す。すると棒の先の方からから青白く光る刃のようなものが現れた。
その姿は本当に死神の大鎌のように見える。
メフィストが言うに、この鎌は肉体は切れず、魂と肉体を切り離すのに使うらしい。
「では、ワタシからの説明は以上となります。報酬はターゲットの魂を納品するごとにお支払い致しますので……」
「ああ、期待に応えられるように頑張るよ」
「最後に仕事中のアナタの名前なんデスが……」
『ユミル=ブリザード』
――俺は無意識にその名前を答えた。
0
あなたにおすすめの小説
月弥総合病院
御月様(旧名 僕君☽☽︎)
キャラ文芸
月弥総合病院。極度の病院嫌いや完治が難しい疾患、診察、検査などの医療行為を拒否したり中々治療が進められない子を治療していく。
また、ここは凄腕の医師達が集まる病院。特にその中の計5人が圧倒的に遥か上回る実力を持ち、「白鳥」と呼ばれている。
(小児科のストーリー)医療に全然詳しく無いのでそれっぽく書いてます...!!
熟女愛好家ユウスケの青春(熟女漁り)
MisakiNonagase
恋愛
高校まで勉強一筋で大学デビューをしたユウスケは家庭教師の教え子の母親と不倫交際するが、彼にとって彼女とが初の男女交際。そこでユウスケは自分が熟女好きだと自覚する。それからユウスケは戦略と実戦を重ねて、清潔感と聞き上手を武器にたくさんの熟女と付き合うことになるストーリーです。
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
ネグレクトされていた四歳の末娘は、前世の経理知識で実家の横領を見抜き追放されました。これからはもふもふ聖獣と美食巡りの旅に出ます。
旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
アークライト子爵家の四歳の末娘リリアは、家族から存在しないものとして扱われていた。食事は厨房の残飯、衣服は兄姉のお下がりを更に継ぎ接ぎしたもの。冷たい床で眠る日々の中、彼女は高熱を出したことをきっかけに前世の記憶を取り戻す。
前世の彼女は、ブラック企業で過労死した経理担当のOLだった。
ある日、父の書斎に忍び込んだリリアは、ずさんな管理の家計簿を発見する。前世の知識でそれを読み解くと、父による悪質な横領と、家の財産がすでに破綻寸前であることが判明した。
「この家は、もうすぐ潰れます」
家族会議の場で、リリアはたった四歳とは思えぬ明瞭な口調で破産の事実を突きつける。激昂した父に「疫病神め!」と罵られ家を追い出されたリリアだったが、それは彼女の望むところだった。
手切れ金代わりの銅貨数枚を握りしめ、自由を手に入れたリリア。これからは誰にも縛られず、前世で夢見た美味しいものをたくさん食べる生活を目指す。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる