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第4話 見た目は幼女、頭脳は兄
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「――て」
誰かが呼んでいる。
「――ユミルちゃん、起きて」
……コユキだ。コユキの声が聞こえる。
ユミル……? ああ、俺のことか。
昨日ローブを着たまま寝たから銀髪幼女の姿のままだ。
布団から起き上がり、少しはだけたローブを直す。
「お兄ちゃん、まだ帰ってこないんだ。お仕事がんばりすぎだよね」
コユキは俺がまだ仕事から帰ってきていないと思い込んでいる。
「俺……じゃなくて、私からフブキさんにちゃんと休むように言っておくよ」
次からは、こんなことにならないためにも外でローブを脱いだ方がよさそうだな。
「わたし、そろそろ学校に行くね! ユミルちゃんはどうするの?」
そういえばまだそんな時間か。久しぶりに朝早く起きた。
正直、寝不足で今にもまぶたがくっつきそうだ。
「うーん、もう少しだけフブキさんを待つことにするよ」
「そっか! いつでも遊びに来てね。じゃあ、行ってきまーす」
俺は、ぎこちない笑顔でコユキを見送った後、もう一度横になった。
それから三時間ほど過ぎ、尿意で目が覚める。
トイレトイレ……っと。ローブを脱ぎ捨て、トイレに急ぎめで駆け込む。
便座を上げ、用を足そうと構える。
……ん? ナニかがない。股間を確認する。そう、大事なアレがないのだ……。
「ローブを脱いだのに元の姿に戻ってない!? なんで、どうして!」
今までにないほどパニックになった。とりあえずトイレから出て鏡を確認する。
そこには、すっぽんぽんの銀髪幼女。
今まで、ローブを脱いだらすぐに元の姿に戻っていたので気にしていなかったが……下着、ないじゃん。
尿意をすっかり忘れ、鏡の前で立ち尽くし、茫然とする俺。
そして、気づいたら限界に達していた。
――まさか、この歳になって漏らすことになるとは……。
後始末を終え、ローブを羽織り、魂が詰まった袋を握りしめる。
苛立ちを抑えメフィストの元へ向かった。
「おや、フブキさん。まだお昼だというのに死神の姿デスか。相変わらず仕事熱心デスねぇ」
とりあえず、魂が詰まった袋をメフィストに突き出す。驚いた顔で少し仰け反る。
「大量デスねぇ、ありがとうございます。報酬はあとで振り込んでおくのでご安心を。……もしかして、不機嫌デスか?」
ニヤニヤしているその顔に腹が立つ。
さて、本題に入ろう。
「ローブを脱いでも元の姿に戻らないんだが?」
「フム……。もしかして、長い時間ローブを着たままでいたとか、デスかね」
長い時間……明らかにローブを着たまま寝たのが原因だ。
「そもそも、ローブは死神の仕事中に正体をバレなくするためのもの。人間が通常ではありえないチカラを使っているんデス」
「でも、長い時間着ていたらこんなことになるなんて説明してくれなかったじゃないか」
子供みたいな言い訳をする。
「死神のローブをそれだけ着ていたら、一般的な制服や作業服を一週間以上ずっと着たままみたいなものデス。それに対して、一日一回は脱ぎましょう、なんていちいち言わないデスよ……」
確かに、ローブはあくまで死神にとっての作業服。
ずっと着たままなんて考慮されるわけがない。
「じゃあ、元の姿に戻るにはどうすればいい?」
「おそらくローブを長い時間着ていたことで、元の姿に戻るチカラが弱まっているので、ローブをしばらく着なければ戻るんじゃないデスかね……」
「ちょっと待て、……もしかして憶測で話してるのか?」
歯切れの悪い回答に不安になる。
「今回が初めての件なので。それにワタシはローブを着たことがない、というより着れないデスし……」
「――しばらくお休みになりますか? 戻れないと困るでしょう」
確かに元の姿には戻りたい。
だが、その間仕事ができず収入がない方がキツい。悩む必要はない。
「いや、今まで通り仕事をさせてもらいたい」
「そうデスか。仕事熱心なのは結構デスが、後悔しても知りませんよ」
後悔か、死神なんてワケの分からない仕事に手を出したぐらいだ。そんな心配はいらない。
――帰宅後、コユキにお兄ちゃんは仕事の都合でしばらく家に戻らないと伝えた。
その間は、この姿でコユキの側にいることになる。
コユキに寂しい思いをさせないように、この姿で兄とユミルの二人分、愛情を注ごう……。
誰かが呼んでいる。
「――ユミルちゃん、起きて」
……コユキだ。コユキの声が聞こえる。
ユミル……? ああ、俺のことか。
昨日ローブを着たまま寝たから銀髪幼女の姿のままだ。
布団から起き上がり、少しはだけたローブを直す。
「お兄ちゃん、まだ帰ってこないんだ。お仕事がんばりすぎだよね」
コユキは俺がまだ仕事から帰ってきていないと思い込んでいる。
「俺……じゃなくて、私からフブキさんにちゃんと休むように言っておくよ」
次からは、こんなことにならないためにも外でローブを脱いだ方がよさそうだな。
「わたし、そろそろ学校に行くね! ユミルちゃんはどうするの?」
そういえばまだそんな時間か。久しぶりに朝早く起きた。
正直、寝不足で今にもまぶたがくっつきそうだ。
「うーん、もう少しだけフブキさんを待つことにするよ」
「そっか! いつでも遊びに来てね。じゃあ、行ってきまーす」
俺は、ぎこちない笑顔でコユキを見送った後、もう一度横になった。
それから三時間ほど過ぎ、尿意で目が覚める。
トイレトイレ……っと。ローブを脱ぎ捨て、トイレに急ぎめで駆け込む。
便座を上げ、用を足そうと構える。
……ん? ナニかがない。股間を確認する。そう、大事なアレがないのだ……。
「ローブを脱いだのに元の姿に戻ってない!? なんで、どうして!」
今までにないほどパニックになった。とりあえずトイレから出て鏡を確認する。
そこには、すっぽんぽんの銀髪幼女。
今まで、ローブを脱いだらすぐに元の姿に戻っていたので気にしていなかったが……下着、ないじゃん。
尿意をすっかり忘れ、鏡の前で立ち尽くし、茫然とする俺。
そして、気づいたら限界に達していた。
――まさか、この歳になって漏らすことになるとは……。
後始末を終え、ローブを羽織り、魂が詰まった袋を握りしめる。
苛立ちを抑えメフィストの元へ向かった。
「おや、フブキさん。まだお昼だというのに死神の姿デスか。相変わらず仕事熱心デスねぇ」
とりあえず、魂が詰まった袋をメフィストに突き出す。驚いた顔で少し仰け反る。
「大量デスねぇ、ありがとうございます。報酬はあとで振り込んでおくのでご安心を。……もしかして、不機嫌デスか?」
ニヤニヤしているその顔に腹が立つ。
さて、本題に入ろう。
「ローブを脱いでも元の姿に戻らないんだが?」
「フム……。もしかして、長い時間ローブを着たままでいたとか、デスかね」
長い時間……明らかにローブを着たまま寝たのが原因だ。
「そもそも、ローブは死神の仕事中に正体をバレなくするためのもの。人間が通常ではありえないチカラを使っているんデス」
「でも、長い時間着ていたらこんなことになるなんて説明してくれなかったじゃないか」
子供みたいな言い訳をする。
「死神のローブをそれだけ着ていたら、一般的な制服や作業服を一週間以上ずっと着たままみたいなものデス。それに対して、一日一回は脱ぎましょう、なんていちいち言わないデスよ……」
確かに、ローブはあくまで死神にとっての作業服。
ずっと着たままなんて考慮されるわけがない。
「じゃあ、元の姿に戻るにはどうすればいい?」
「おそらくローブを長い時間着ていたことで、元の姿に戻るチカラが弱まっているので、ローブをしばらく着なければ戻るんじゃないデスかね……」
「ちょっと待て、……もしかして憶測で話してるのか?」
歯切れの悪い回答に不安になる。
「今回が初めての件なので。それにワタシはローブを着たことがない、というより着れないデスし……」
「――しばらくお休みになりますか? 戻れないと困るでしょう」
確かに元の姿には戻りたい。
だが、その間仕事ができず収入がない方がキツい。悩む必要はない。
「いや、今まで通り仕事をさせてもらいたい」
「そうデスか。仕事熱心なのは結構デスが、後悔しても知りませんよ」
後悔か、死神なんてワケの分からない仕事に手を出したぐらいだ。そんな心配はいらない。
――帰宅後、コユキにお兄ちゃんは仕事の都合でしばらく家に戻らないと伝えた。
その間は、この姿でコユキの側にいることになる。
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