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第14話 炎獣ベルガモット
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「ついに追いつめたわ。覚悟しなさい、巨腕のデーモン!」
「クソッ、ヨリにもヨッテ『鮮血の薔薇』ニ……!」
「アナタほどのチカラを持つ悪魔は珍しいわ。でも、私に目をつけられたのが運の尽きね」
「ココカラ出せ……、まだシニたくナイ……」
巨碗のデーモンは身体よりも長く立派な腕を使い這いずり、カルディナから逃げようとする。
しかし、カルディナの猛攻によって負傷し、思うように動けなくなっている。
「無駄よ、この空間からは逃げられない。魂強奪の罪、その他いろいろあるけど、私が責任を持ってアナタを裁くわ」
カルディナはここぞとばかりにチカラを込める。
ゴゴゴゴゴ……。
「メギドフレイム!!」
ドゴォオオオオオオ!!
巨大な火球が、轟音とともに巨碗のデーモンを飲み込む。
その業火によって身体は消滅し、漆黒に染まった魂のみがポツンと残った。
「これは、再利用するのは難しそうね」
そう言うと、その魂を渋々ローブのポケットにしまった。
~~~~~~~~~~
路地裏の歪に吸い込まれた俺は、結構な高さから雑に地面に向かって真っ逆さまで落下する。
急な出来事に対応できず、小さな身体は勢いよく見事に地面に叩きつけられた。
「いてぇ……」
つい反射的に口に出るが、実はそんなに痛くない。
そこは異質な空間で、周りを確認すると、地面というか床はステンドグラス……だろうか。
それはとても綺麗で赤やオレンジなど暖色が多く使われている。
上を見上げると、何メートルもある巨大なシャンデリアに火が灯してある。落下してきそうで少々怖い。
この空間の端を確認しようと目を凝らすが、とても暗く確認できない。
ここは十分広く明るいが、一番端まで行けばどうなるのか疑問が残る。
その空間の異様さに呆気に取られていると、遠くに見覚えのある人影が見えた。
「誰!?」
こちらに気づいたようで、聞き覚えのある声が聞こえた、カルディナだ。
「カルディナ……やっと見つけたぞ」
「ユミル……の偽物、なんでここに!? どうやってここに入ったって言うの!」
「そんなことはどうでもいい、依頼でお前を倒しに来た」
「依頼って……あんた、自分が一体何をしようとしているのか理解してるの!?」
お互いに鎌のスイッチを入れ、刃を現わす。緊張感の中で身構え、いつでも戦闘に入れるようにする。
「このままじゃ、妹の身が心配なんだよ! お前を倒さないと……俺も……」
「はぁ? あんたのやろうとしていることは犯罪なの。妹さんを悲しませたくないなら、こんなことやめるべきよ」
犯罪……か、死神の世界ではまだまだ俺の知らない現実がある。
前に病院で会った時にも言われて、心のどこかでは引っ掛かっていた。だけど目を背けていた、金のために。
もしも、カルディナの言うことが本当なら、俺がやろうとしていることは……。
「どうやら退く気はないようね。前回の戦いでチカラの差は歴然、私が直接戦うまでもないわ」
カルディナはそう言うと、首に下げていた赤い宝石が埋め込まれているペンダントを引きちぎる。
さっきの悪魔との戦闘で、大分チカラを消費している今、ユミルの偽物とは言え勝てる保証はない。
カルディナは、そのペンダントを投げると、地面に巨大な赤い魔法陣が広がる。
次の瞬間、魔法陣から炎が噴き出し、巨大な柱となる。
俺はその勢いに驚き、急いで後ろに下がった。
「どこ狙ってんだ? そんなの当たら……」
炎の柱の中からとてつもない気配を感じる。巨大な何かがこちらを見ている気がする。
「来なさい! 炎獣ベルガモット!!」
「グゥアウゥウウ」
炎の柱が弾けて消えると、その中には巨大な獣がいた。
炎を纏う犬……いや、ライオンのようにも見える。
今の俺の身長の何倍だ……見上げると首が痛くなりそうだ。
ベルガモットは地響きがするほどの唸り声を上げ、いつ襲い掛かってきてもおかしくはない。
「おい、こんなの聞いてないぞ!」
「このベルガモットに勝てたら私が相手をしてあげるわ、いいでしょう?」
「こんな巨大なバケモンどうしろって……」
「言っておくけど、ベルガモットは魂を食らう魔獣。負けたらそのままご飯になってもらうから」
さらっとやばいことを言われた気がする。……つまり死ぬってことだ。
負けるつもりなんて最初から無いが、改めて認識すると恐怖に襲われる。
「やっちゃいなさい、ベルガモット!!」
「グゥルルル……」
カルディナが指示を出すと、俺に向かって巨体が地面を揺らしながら勢いよく突進してくる。
走って逃げようとするが、もちろん速さで勝てるわけもなく追い付かれる。
咄嗟にスノードロップで薙ぎ払い、地面を凍らせ転ばせようと試みる。
しかし、ベルガモットの炎の熱と爪によって転ぶ気配はない。
俺は一心不乱に周りを凍らせ、スケートをするように移動する。これならアイツの速さにも対応できそうだ。
「へぇ、前よりはスノードロップを使いこなしているようね。でも本物のユミルの足元にも及ばないわ」
「だから、本物のユミルってなんなんだよ……!」
「そろそろ遊びは終わりよ、焼き尽くしなさいベルガモット! ローブとスノードロップだけは拾ってあげるから安心しなさいよ」
「まずい……ッ」
ベルガモットは口を大きく開けると、そこから炎が溢れだす。いわゆるブレス攻撃の前兆ってやつか……。
逃げるのに精一杯で大分チカラを使ってしまいスタミナ切れだ。本当に終わっちまうのか……?
思わず覚悟してしまったが、ブレス攻撃の溜めに時間が掛かっている……のか?
「……どうしたのベルガモット!? 何を躊躇しているの!!」
俺には何を躊躇っているのか分からなかったが、チャンスは今しかない。
だけど、まともにやりあったら確実に負ける。他に倒す方法……何かヒントがあるはずだ、考えろ……。
そうだ、カルディナが投げたペンダントだ。
遠くに眩い赤い光と熱を発するペンダントが落ちている。その周りの氷だけ溶けているのが分かる。
俺は氷の上を滑りながら急いでペンダントの元に向かった。
「あいつ……何をしようと、まさか!? ベルガモット! あいつは本物のユミルじゃない、あなたも知ってるユミルではないの、さっさと焼き払って!!」
カルディナは必死にベルガモットに向かって叫ぶが、その想いは届かず、困惑したまま口から炎が溢れるだけだった。
俺は息切れしながらもありったけの氷のチカラをペンダントにぶつけた。
すると、ペンダントは氷漬けとなり、赤い光と熱が収まる。
――シュゥウウ……。
ベルガモットはチカラを失ったのか、炎の塵となり消えてしまった。
「そんな……まさかベルガモットが……」
相棒であるベルガモットが負けることなど、もちろん想定外だったカルディナは落胆した。
「次はお前の番だ、カルディナ……!」
「クソッ、ヨリにもヨッテ『鮮血の薔薇』ニ……!」
「アナタほどのチカラを持つ悪魔は珍しいわ。でも、私に目をつけられたのが運の尽きね」
「ココカラ出せ……、まだシニたくナイ……」
巨碗のデーモンは身体よりも長く立派な腕を使い這いずり、カルディナから逃げようとする。
しかし、カルディナの猛攻によって負傷し、思うように動けなくなっている。
「無駄よ、この空間からは逃げられない。魂強奪の罪、その他いろいろあるけど、私が責任を持ってアナタを裁くわ」
カルディナはここぞとばかりにチカラを込める。
ゴゴゴゴゴ……。
「メギドフレイム!!」
ドゴォオオオオオオ!!
巨大な火球が、轟音とともに巨碗のデーモンを飲み込む。
その業火によって身体は消滅し、漆黒に染まった魂のみがポツンと残った。
「これは、再利用するのは難しそうね」
そう言うと、その魂を渋々ローブのポケットにしまった。
~~~~~~~~~~
路地裏の歪に吸い込まれた俺は、結構な高さから雑に地面に向かって真っ逆さまで落下する。
急な出来事に対応できず、小さな身体は勢いよく見事に地面に叩きつけられた。
「いてぇ……」
つい反射的に口に出るが、実はそんなに痛くない。
そこは異質な空間で、周りを確認すると、地面というか床はステンドグラス……だろうか。
それはとても綺麗で赤やオレンジなど暖色が多く使われている。
上を見上げると、何メートルもある巨大なシャンデリアに火が灯してある。落下してきそうで少々怖い。
この空間の端を確認しようと目を凝らすが、とても暗く確認できない。
ここは十分広く明るいが、一番端まで行けばどうなるのか疑問が残る。
その空間の異様さに呆気に取られていると、遠くに見覚えのある人影が見えた。
「誰!?」
こちらに気づいたようで、聞き覚えのある声が聞こえた、カルディナだ。
「カルディナ……やっと見つけたぞ」
「ユミル……の偽物、なんでここに!? どうやってここに入ったって言うの!」
「そんなことはどうでもいい、依頼でお前を倒しに来た」
「依頼って……あんた、自分が一体何をしようとしているのか理解してるの!?」
お互いに鎌のスイッチを入れ、刃を現わす。緊張感の中で身構え、いつでも戦闘に入れるようにする。
「このままじゃ、妹の身が心配なんだよ! お前を倒さないと……俺も……」
「はぁ? あんたのやろうとしていることは犯罪なの。妹さんを悲しませたくないなら、こんなことやめるべきよ」
犯罪……か、死神の世界ではまだまだ俺の知らない現実がある。
前に病院で会った時にも言われて、心のどこかでは引っ掛かっていた。だけど目を背けていた、金のために。
もしも、カルディナの言うことが本当なら、俺がやろうとしていることは……。
「どうやら退く気はないようね。前回の戦いでチカラの差は歴然、私が直接戦うまでもないわ」
カルディナはそう言うと、首に下げていた赤い宝石が埋め込まれているペンダントを引きちぎる。
さっきの悪魔との戦闘で、大分チカラを消費している今、ユミルの偽物とは言え勝てる保証はない。
カルディナは、そのペンダントを投げると、地面に巨大な赤い魔法陣が広がる。
次の瞬間、魔法陣から炎が噴き出し、巨大な柱となる。
俺はその勢いに驚き、急いで後ろに下がった。
「どこ狙ってんだ? そんなの当たら……」
炎の柱の中からとてつもない気配を感じる。巨大な何かがこちらを見ている気がする。
「来なさい! 炎獣ベルガモット!!」
「グゥアウゥウウ」
炎の柱が弾けて消えると、その中には巨大な獣がいた。
炎を纏う犬……いや、ライオンのようにも見える。
今の俺の身長の何倍だ……見上げると首が痛くなりそうだ。
ベルガモットは地響きがするほどの唸り声を上げ、いつ襲い掛かってきてもおかしくはない。
「おい、こんなの聞いてないぞ!」
「このベルガモットに勝てたら私が相手をしてあげるわ、いいでしょう?」
「こんな巨大なバケモンどうしろって……」
「言っておくけど、ベルガモットは魂を食らう魔獣。負けたらそのままご飯になってもらうから」
さらっとやばいことを言われた気がする。……つまり死ぬってことだ。
負けるつもりなんて最初から無いが、改めて認識すると恐怖に襲われる。
「やっちゃいなさい、ベルガモット!!」
「グゥルルル……」
カルディナが指示を出すと、俺に向かって巨体が地面を揺らしながら勢いよく突進してくる。
走って逃げようとするが、もちろん速さで勝てるわけもなく追い付かれる。
咄嗟にスノードロップで薙ぎ払い、地面を凍らせ転ばせようと試みる。
しかし、ベルガモットの炎の熱と爪によって転ぶ気配はない。
俺は一心不乱に周りを凍らせ、スケートをするように移動する。これならアイツの速さにも対応できそうだ。
「へぇ、前よりはスノードロップを使いこなしているようね。でも本物のユミルの足元にも及ばないわ」
「だから、本物のユミルってなんなんだよ……!」
「そろそろ遊びは終わりよ、焼き尽くしなさいベルガモット! ローブとスノードロップだけは拾ってあげるから安心しなさいよ」
「まずい……ッ」
ベルガモットは口を大きく開けると、そこから炎が溢れだす。いわゆるブレス攻撃の前兆ってやつか……。
逃げるのに精一杯で大分チカラを使ってしまいスタミナ切れだ。本当に終わっちまうのか……?
思わず覚悟してしまったが、ブレス攻撃の溜めに時間が掛かっている……のか?
「……どうしたのベルガモット!? 何を躊躇しているの!!」
俺には何を躊躇っているのか分からなかったが、チャンスは今しかない。
だけど、まともにやりあったら確実に負ける。他に倒す方法……何かヒントがあるはずだ、考えろ……。
そうだ、カルディナが投げたペンダントだ。
遠くに眩い赤い光と熱を発するペンダントが落ちている。その周りの氷だけ溶けているのが分かる。
俺は氷の上を滑りながら急いでペンダントの元に向かった。
「あいつ……何をしようと、まさか!? ベルガモット! あいつは本物のユミルじゃない、あなたも知ってるユミルではないの、さっさと焼き払って!!」
カルディナは必死にベルガモットに向かって叫ぶが、その想いは届かず、困惑したまま口から炎が溢れるだけだった。
俺は息切れしながらもありったけの氷のチカラをペンダントにぶつけた。
すると、ペンダントは氷漬けとなり、赤い光と熱が収まる。
――シュゥウウ……。
ベルガモットはチカラを失ったのか、炎の塵となり消えてしまった。
「そんな……まさかベルガモットが……」
相棒であるベルガモットが負けることなど、もちろん想定外だったカルディナは落胆した。
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