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第二十四話
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大柄の冒険者風の男が悪魔に憑りつかれたしまった姉(竜王)を同情したような目で見つめる。
「可哀そうにな。まだこんなに若いのに……ひでぇーことしやがるまったく」
ぶつぶつと何かを呟いたあとカイに視線を向けた。彼の肩に手を置く。ごつい手で強く握ってくる。地味に痛い。
「大変だろうが頑張れよ。大丈夫さ、必ず良くなる! 神様がなんとかしてくれるさ!」
そう励ましの言葉をもらう。
いや、全然、必要ないのだが。そもそも竜王が悪魔に憑りつかれるのか? と疑問に思うカイだった。
てか、竜王にとって神は敵になるんだが。
いろいろツッコミを入れたいところだが、この大柄の男には知り得ない情報なので、仕方がないと割り切る。
「……ありがとう」
カイは顔を引きつらせながらお礼の言葉を言う。
今、どういう状態になっているのかと考えると頭がこんがらってしまう。
それはそうとさっきから連れ添いの女冒険者が気になる。
何か腑に落ちない点があるのだろうか、腕組みをしながら小首を傾げ、怪しむ素振りを見せる。
怪しまれている、と知ったカイだったが、あまり驚きはしなかった。想定内だからだ。
(―――――――ま、この場合、怪しまない方がおかしいからな……)
舗装された道を進まずに脇にある森を通っている人間なんて、そうそういない。
さっきから冒険者風の女がチラチラと竜王を見ている。それにはさすがにカイの頬を冷や汗が流れる。
もしも、魔物と一緒に行動している、なんて知れたら異端者として、兵士に差し出され、縛り首にされてしまうかもしれない。
こんなしょうもないことで、死ぬのは御免だった。女冒険者に自分の視線がバレないチラ見する。
かなりの熟練の魔法使いに見える。
装備は革のロングブーツ、肘まである手袋…腰には細剣。
(――――――この女、まさか……?)
竜王だとバレると厄介なことになる。
その前にここからはなれないといけない。彼らから今すぐに離れたいという気持ちになったカイは行動することに決めた。
ただ、自然な形で去らないとさらに怪しまれるので、言動には注意を払うことを自分に言い聞かせる。
自然な流れで、空を見上げ、太陽が眩しく手をかざす。
「うわっ、もうこんな時間かよ?!日が暮れたら大変だ」
その意味は誰にだってわかる。夜になると魔物達は闇の力を得て、鈍い動きから活発になる。夜の森ほど危険な場所はない。
視線を戻し冒険者二人に告げる。
「俺たちはそろそろ行くよ」
「お。そうか。なら気を付けて行け」
一礼してカイはダルドに目で合図を送り、去ろうとした。
しかし、大柄の男が呼び止めた。
「ちょっと待て」
その瞬間、肝が一気に冷える。
まさか、と思い、腰に下げている護身用の刀の柄に手を忍ばせた。
ゆっくりと振り返る。
「持って行きな」
とカイに渡してきたのは仕留められた兎だった。気前がよく、三人分を渡す。
「それとあまり深くは森の中は入るな。トロールやオークがうろついているからな」
「ご、御忠告どうも」
(ーーーー知ってるわ、そんなことっ!)
と心の中で言い返す。
彼が言う通り、森の奥深くに行くと魔物や獣の巣窟になっている。自殺願望があるなら自信をもってオススメできる。
そいつらを避けるには人の手が入っている場所を通るしかない。
だから、舗装された道から少し離れた森を進んでいるのだ。
「このまま、まっすぐに進むよ」
「あぁ。それがいい」
カイはペコりと頭を下げると無理やり竜王を連れて行く。しかし、竜王は頑なに動くのを拒む。
見かねて、ダルドが加勢し、二人係で、竜王を引っ張ることになった。竜王は足で踏ん張って、動こうとしなかったため、そのまま引きずりながら連れていく。
冒険者風の男らから逃げるように移動するが背中で視線を感じながらだった。
カイ達が見えなくなったところで大柄の男が悲しそうに呟く。
「世の中、酷い事もあるもんだ」
それに対し、連れ添いの女は怪しむ。
「なーカイラス?あいつら絶対に怪しいよ。私の勘だとあれ絶対に魔物だよ! 追いかけて追加報酬をもらおうよ」
カイラスは首を横に振った。
「バカを言うな。魔物が人と行動するはずがないだろ」
彼の考えは最もだった。危険な魔物と人が共に行動するなんて、聞いたことがない。
危なくてそんなこと出来ないし、そもそも意思疎通が出来るかも怪しいのだ。
あり得ない、世間ではそれが常識だった。
カイラスに否定された女冒険者は腑に落ちない顔をするもそれ以上、何も言わなくなった。
両肩をあげ、手を広げる。
「ま、カイラスが言うなら信じるよ」
「あぁ。それより遅くなるといけない。さっさと合流するぞ」
「あいよ」
女冒険者は両手を後頭部に回し、気だるそうに歩く。
「可哀そうにな。まだこんなに若いのに……ひでぇーことしやがるまったく」
ぶつぶつと何かを呟いたあとカイに視線を向けた。彼の肩に手を置く。ごつい手で強く握ってくる。地味に痛い。
「大変だろうが頑張れよ。大丈夫さ、必ず良くなる! 神様がなんとかしてくれるさ!」
そう励ましの言葉をもらう。
いや、全然、必要ないのだが。そもそも竜王が悪魔に憑りつかれるのか? と疑問に思うカイだった。
てか、竜王にとって神は敵になるんだが。
いろいろツッコミを入れたいところだが、この大柄の男には知り得ない情報なので、仕方がないと割り切る。
「……ありがとう」
カイは顔を引きつらせながらお礼の言葉を言う。
今、どういう状態になっているのかと考えると頭がこんがらってしまう。
それはそうとさっきから連れ添いの女冒険者が気になる。
何か腑に落ちない点があるのだろうか、腕組みをしながら小首を傾げ、怪しむ素振りを見せる。
怪しまれている、と知ったカイだったが、あまり驚きはしなかった。想定内だからだ。
(―――――――ま、この場合、怪しまない方がおかしいからな……)
舗装された道を進まずに脇にある森を通っている人間なんて、そうそういない。
さっきから冒険者風の女がチラチラと竜王を見ている。それにはさすがにカイの頬を冷や汗が流れる。
もしも、魔物と一緒に行動している、なんて知れたら異端者として、兵士に差し出され、縛り首にされてしまうかもしれない。
こんなしょうもないことで、死ぬのは御免だった。女冒険者に自分の視線がバレないチラ見する。
かなりの熟練の魔法使いに見える。
装備は革のロングブーツ、肘まである手袋…腰には細剣。
(――――――この女、まさか……?)
竜王だとバレると厄介なことになる。
その前にここからはなれないといけない。彼らから今すぐに離れたいという気持ちになったカイは行動することに決めた。
ただ、自然な形で去らないとさらに怪しまれるので、言動には注意を払うことを自分に言い聞かせる。
自然な流れで、空を見上げ、太陽が眩しく手をかざす。
「うわっ、もうこんな時間かよ?!日が暮れたら大変だ」
その意味は誰にだってわかる。夜になると魔物達は闇の力を得て、鈍い動きから活発になる。夜の森ほど危険な場所はない。
視線を戻し冒険者二人に告げる。
「俺たちはそろそろ行くよ」
「お。そうか。なら気を付けて行け」
一礼してカイはダルドに目で合図を送り、去ろうとした。
しかし、大柄の男が呼び止めた。
「ちょっと待て」
その瞬間、肝が一気に冷える。
まさか、と思い、腰に下げている護身用の刀の柄に手を忍ばせた。
ゆっくりと振り返る。
「持って行きな」
とカイに渡してきたのは仕留められた兎だった。気前がよく、三人分を渡す。
「それとあまり深くは森の中は入るな。トロールやオークがうろついているからな」
「ご、御忠告どうも」
(ーーーー知ってるわ、そんなことっ!)
と心の中で言い返す。
彼が言う通り、森の奥深くに行くと魔物や獣の巣窟になっている。自殺願望があるなら自信をもってオススメできる。
そいつらを避けるには人の手が入っている場所を通るしかない。
だから、舗装された道から少し離れた森を進んでいるのだ。
「このまま、まっすぐに進むよ」
「あぁ。それがいい」
カイはペコりと頭を下げると無理やり竜王を連れて行く。しかし、竜王は頑なに動くのを拒む。
見かねて、ダルドが加勢し、二人係で、竜王を引っ張ることになった。竜王は足で踏ん張って、動こうとしなかったため、そのまま引きずりながら連れていく。
冒険者風の男らから逃げるように移動するが背中で視線を感じながらだった。
カイ達が見えなくなったところで大柄の男が悲しそうに呟く。
「世の中、酷い事もあるもんだ」
それに対し、連れ添いの女は怪しむ。
「なーカイラス?あいつら絶対に怪しいよ。私の勘だとあれ絶対に魔物だよ! 追いかけて追加報酬をもらおうよ」
カイラスは首を横に振った。
「バカを言うな。魔物が人と行動するはずがないだろ」
彼の考えは最もだった。危険な魔物と人が共に行動するなんて、聞いたことがない。
危なくてそんなこと出来ないし、そもそも意思疎通が出来るかも怪しいのだ。
あり得ない、世間ではそれが常識だった。
カイラスに否定された女冒険者は腑に落ちない顔をするもそれ以上、何も言わなくなった。
両肩をあげ、手を広げる。
「ま、カイラスが言うなら信じるよ」
「あぁ。それより遅くなるといけない。さっさと合流するぞ」
「あいよ」
女冒険者は両手を後頭部に回し、気だるそうに歩く。
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