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(野菜狂信者に肉を)おみまいするぞー
ワニの解体・恩師の唐揚げ添え
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あれから2週間……少なくとも内臓を潰す事だけはなくなった。
腕の肉とやらも3匹に1匹は綺麗に取れる様になったが、まだまだだろう。
今日捌いたのはアブラトカゲの方だが。
とりあえず今日のノルマを達成して、マレスに肉料理を教えつつ夕飯の準備をせねば……
「ようボーイ、様子を見に来てやったぞ」
あ、そういや今日来るって言ってたな。
何かデカい物を抱えているが……嫌な予感がする。
「こいつは祭りに焼くアリゲーターと違って、お隣さんで害獣扱いされているクロコダイルのジュニアだ」
お隣ってカーニズの事か?
確か違いは上から見た時の形とか聞いた覚えがあるが……子供とはいえ大体150センチはありやがるな。
「味はアリゲーターと大差ないがクロコダイルは独特の臭みがある……だが捌く練習にはなるぜ」
だからって態々俺の為に用意してくれたのか?
「気にするな、このクロコダイルは仕事のついでに貰って来た物だし、お嬢ちゃんとストロベリーが当日は作らないカラアゲを食いたいだろうと思ったからな」
「うん、食べたい!」
正直だな、可愛い妹よ……
だが確かにワニ肉はジョニーさん流に作る唐揚げが美味いんだよなぁ。
ってかジョニーさんはこの世界で何の仕事をしてるんだ?
「因みに祭りのアリゲーターは大体2メートル前後、こいつを捌けりゃ当日も上手く行くだろうよ……2匹しかない上に1匹は手本に使うから慎重にな」
「解った、やってみるよ」
って2メートルじゃこのコンロには収まらないじゃないか。
これはダニエルさんが愛用していたコンロとほぼ同じサイズ……つまりワニも水の魔物じゃないって事か。
だが美味いと聞いたら焼かずにはいられない、それがピットマスターのサガって奴だ。
「元の世界じゃクロコダイルのレザーにも価値があるが、クソッタレなベジマニア共が五月蝿いんだよな……まあこの世界じゃ加工する技術がないから棄てて構わん」
「解った」
なら魚の鱗を剥がす様に少しずつ、慎重に……
「それとクロコダイルやアリゲーターの頭は舌以外は食えないから、そこのレザーは剥がなくていい」
なら首下までで……って手足の皮は難しいな。
この切れ味抜群のパワーアップした聖剣ですら中々刃が進まないとは……
ジョニーさんはペティナイフでスイスイと進めているが……やはり年期の差か。
ふぅ、とりあえず頭以外の皮は全て剥がせた。
そこから膜や皮下脂肪を丁寧に取り除いて、よし。
「ま、初めてにしちゃ上出来だぜ……次はワタ抜きをするが、間違っても食おうとするなよ」
前に臭みが酷いとか言ってたからな……
内臓はまず首元と下腹部に切れ目を入れて、中心を真っ直ぐに切ればいいのか。
手本を見たら腹の肉はかなり薄いな……それを意識しながら、内臓を傷付けない様に、よし。
「オーケー、このまま急いで水洗いをするんだがこれを使え」
これは……裂いた木の皮を束ねたササラって奴か?
確か内臓を取った魚の腹を洗うのに使う道具だった様な?
「肉を傷付けずに、綺麗に洗うならこいつがベストだ……素手だと微妙に血が残るし、ブラシじゃどう加減したって傷が出来ちまう」
成程、確かに指が入らない様な所にも届くし便利だな。
この道具は後で作り方を聞いて自作しよう。
「……内側はちょいと脂肪が残っているがまあいいだろ、及第点をくれてやる」
よし、何とかなった。
「後は当日まで最初のリザードと、アブラトカゲを交互に10匹ずつ捌いてトレーニングすればいい……サボるなよ?」
「わ、解った」
正直キャリがトカゲ料理に飽きて来てるんだが……まあ仕方ない。
何なら俺だけ、寝る前に食えばいい。
「大丈夫、私も食べるから」
「ウチも食うで」
あれって女性が食っても効果がないとか言ってた様な……まあいいか。
「ほら、クロコダイルのカラアゲだぜ……例の如くオレンジを搾って食ってくれ」
おお、小麦粉とコーンスターチに特製のミックススパイスを混ぜた物をまぶしてカラッと揚げた……ジョニーさんの唐揚げ!
ダニエルさんも「フライだけはジョニーの方が美味い」と言っていたぐらいだからな、それがワニ2匹分もありやがる。
「んー、スパイスが辛いけどオレンジの甘さで中和されて凄く美味しい!」
「ブタ肉の様な歯応えだけど、ニワの様な不思議な味……美味しい」
「あー、試しにオレンジ抜きで食うたら確かに臭いわ」
「ワニ美味しい!」
チャレンジャーだなタープ……確かに臭みはあるがスパイスだけでも充分消せているんじゃないか?
このミックススパイスのレシピも知りたい所だが、こればかりはジョニーさんの秘伝って奴だからな……自力で再現をするしかない。
しかも可愛い妹とキャリの分はスパイス少なめという気遣いも見てとれる。
「ボーイ、アリゲーターは全部丸焼きにするって話は聞いてるな?」
「ああ、それを食いながらどんちゃん騒ぎをするって所までは聞いた」
「中間試験で赤点を回避した褒美だ、ダニエルのレシピはまだやれんが……このフライと当日に作る丸焼きのレシピをくれてやる」
何……だと!
あの、「ナイフ捌きと味付けは見て覚えろ」ってスタンスだけは絶対に崩さなかったジョニーさんが、俺にレシピを!?
「まあ、当日は20匹近いアリゲーターを捌いて焼くからボーイに教えてる暇がないってのが本音だ……ちゃんと覚えておけよ」
「あ、そういう事か……解った」
そういや前にも牧場長が先導してやったボランティアで、ビーフシチューを振る舞った時にもこんな感じでレシピを貰ったっけ……
あの時はおよそ500人近い園児がコンロの前に押し寄せたな……懐かしい。
うん、思い出したら無性に食いたくなってきた。
明日の夕飯はビーフシチューだな。
腕の肉とやらも3匹に1匹は綺麗に取れる様になったが、まだまだだろう。
今日捌いたのはアブラトカゲの方だが。
とりあえず今日のノルマを達成して、マレスに肉料理を教えつつ夕飯の準備をせねば……
「ようボーイ、様子を見に来てやったぞ」
あ、そういや今日来るって言ってたな。
何かデカい物を抱えているが……嫌な予感がする。
「こいつは祭りに焼くアリゲーターと違って、お隣さんで害獣扱いされているクロコダイルのジュニアだ」
お隣ってカーニズの事か?
確か違いは上から見た時の形とか聞いた覚えがあるが……子供とはいえ大体150センチはありやがるな。
「味はアリゲーターと大差ないがクロコダイルは独特の臭みがある……だが捌く練習にはなるぜ」
だからって態々俺の為に用意してくれたのか?
「気にするな、このクロコダイルは仕事のついでに貰って来た物だし、お嬢ちゃんとストロベリーが当日は作らないカラアゲを食いたいだろうと思ったからな」
「うん、食べたい!」
正直だな、可愛い妹よ……
だが確かにワニ肉はジョニーさん流に作る唐揚げが美味いんだよなぁ。
ってかジョニーさんはこの世界で何の仕事をしてるんだ?
「因みに祭りのアリゲーターは大体2メートル前後、こいつを捌けりゃ当日も上手く行くだろうよ……2匹しかない上に1匹は手本に使うから慎重にな」
「解った、やってみるよ」
って2メートルじゃこのコンロには収まらないじゃないか。
これはダニエルさんが愛用していたコンロとほぼ同じサイズ……つまりワニも水の魔物じゃないって事か。
だが美味いと聞いたら焼かずにはいられない、それがピットマスターのサガって奴だ。
「元の世界じゃクロコダイルのレザーにも価値があるが、クソッタレなベジマニア共が五月蝿いんだよな……まあこの世界じゃ加工する技術がないから棄てて構わん」
「解った」
なら魚の鱗を剥がす様に少しずつ、慎重に……
「それとクロコダイルやアリゲーターの頭は舌以外は食えないから、そこのレザーは剥がなくていい」
なら首下までで……って手足の皮は難しいな。
この切れ味抜群のパワーアップした聖剣ですら中々刃が進まないとは……
ジョニーさんはペティナイフでスイスイと進めているが……やはり年期の差か。
ふぅ、とりあえず頭以外の皮は全て剥がせた。
そこから膜や皮下脂肪を丁寧に取り除いて、よし。
「ま、初めてにしちゃ上出来だぜ……次はワタ抜きをするが、間違っても食おうとするなよ」
前に臭みが酷いとか言ってたからな……
内臓はまず首元と下腹部に切れ目を入れて、中心を真っ直ぐに切ればいいのか。
手本を見たら腹の肉はかなり薄いな……それを意識しながら、内臓を傷付けない様に、よし。
「オーケー、このまま急いで水洗いをするんだがこれを使え」
これは……裂いた木の皮を束ねたササラって奴か?
確か内臓を取った魚の腹を洗うのに使う道具だった様な?
「肉を傷付けずに、綺麗に洗うならこいつがベストだ……素手だと微妙に血が残るし、ブラシじゃどう加減したって傷が出来ちまう」
成程、確かに指が入らない様な所にも届くし便利だな。
この道具は後で作り方を聞いて自作しよう。
「……内側はちょいと脂肪が残っているがまあいいだろ、及第点をくれてやる」
よし、何とかなった。
「後は当日まで最初のリザードと、アブラトカゲを交互に10匹ずつ捌いてトレーニングすればいい……サボるなよ?」
「わ、解った」
正直キャリがトカゲ料理に飽きて来てるんだが……まあ仕方ない。
何なら俺だけ、寝る前に食えばいい。
「大丈夫、私も食べるから」
「ウチも食うで」
あれって女性が食っても効果がないとか言ってた様な……まあいいか。
「ほら、クロコダイルのカラアゲだぜ……例の如くオレンジを搾って食ってくれ」
おお、小麦粉とコーンスターチに特製のミックススパイスを混ぜた物をまぶしてカラッと揚げた……ジョニーさんの唐揚げ!
ダニエルさんも「フライだけはジョニーの方が美味い」と言っていたぐらいだからな、それがワニ2匹分もありやがる。
「んー、スパイスが辛いけどオレンジの甘さで中和されて凄く美味しい!」
「ブタ肉の様な歯応えだけど、ニワの様な不思議な味……美味しい」
「あー、試しにオレンジ抜きで食うたら確かに臭いわ」
「ワニ美味しい!」
チャレンジャーだなタープ……確かに臭みはあるがスパイスだけでも充分消せているんじゃないか?
このミックススパイスのレシピも知りたい所だが、こればかりはジョニーさんの秘伝って奴だからな……自力で再現をするしかない。
しかも可愛い妹とキャリの分はスパイス少なめという気遣いも見てとれる。
「ボーイ、アリゲーターは全部丸焼きにするって話は聞いてるな?」
「ああ、それを食いながらどんちゃん騒ぎをするって所までは聞いた」
「中間試験で赤点を回避した褒美だ、ダニエルのレシピはまだやれんが……このフライと当日に作る丸焼きのレシピをくれてやる」
何……だと!
あの、「ナイフ捌きと味付けは見て覚えろ」ってスタンスだけは絶対に崩さなかったジョニーさんが、俺にレシピを!?
「まあ、当日は20匹近いアリゲーターを捌いて焼くからボーイに教えてる暇がないってのが本音だ……ちゃんと覚えておけよ」
「あ、そういう事か……解った」
そういや前にも牧場長が先導してやったボランティアで、ビーフシチューを振る舞った時にもこんな感じでレシピを貰ったっけ……
あの時はおよそ500人近い園児がコンロの前に押し寄せたな……懐かしい。
うん、思い出したら無性に食いたくなってきた。
明日の夕飯はビーフシチューだな。
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