エルフの森をキャンプ地とする!

ウサクマ

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(野菜狂信者に肉を)おみまいするぞー

恩師の依頼・衝撃の報告添え

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……よし、サツマイモはこれだけ買えば物々交換に加えて可愛い妹の甘味欲を満たすのに充分だろう。

これを買う為にラズベリーワインは予定の半分も買えなかったんだ、満たされなきゃ泣くぞ……俺が。

「ヒャッヒャッヒャ、今回はまたイモばかりを大量に買い込んだのう?」

「ちょいと入り用があってな、どうしても必要だったんだ」

「まあ、ワシとしては有難い話じゃがな」

うーむ、子供云々は置いといてやはりこのロリババアが姉という部分だけはどうしても信じられん。

どう見てもアンカーの方が姉か母……いや、言うまい。

「おお、そういえばお主には礼を言わねばならんのう……妹のアンカーに良縁を与えてくれて感謝するぞ」

「いや、後任については協力したが良縁というのは心当たりがないぞ?」

「話によると妙に荒ぶった馬がアンカーの目の前まで走って、落馬しかけた所を助けて惚れられたとか聞いたがの……領主が乗っとる馬に何かしたのはお主じゃろ?」

領主の馬に……まさかあの時、朝飯にって与えた豆か砂糖の影響で?

え、まさか俺はそんな理由で領主に処罰されちまうのか?

「安心せい、肝心の領主はアンカーに惚れた瞬間に前後の記憶が飛んでおるわ……そうでなけりゃ再会の瞬間に何かしらされとるじゃろ」

まあ、それもそうか……

とはいえ何がキッカケで思い出すか解らんし領主の近くで豆を食うのは止めよう、うん。

「ってか少し気になったんだが、例の掟とやらはいいのか?」

「相手が領主、しかもアンカーはあの金髪のせいでこれまで結婚に縁がなかったからのう……今さら邪魔する様な真似は出来んじゃろ」

それもそうだな。

「おお、そういえばもうすぐ昼飯時じゃなぁ……あのベイケンエッグを食べなければ、領主の目の前でつい口を滑らせてしまうかもしれんのぅ?」

ロリババア……さては最初からそれが目的だったな?

別に作るのは構わんけど材料はそっちが用意してくれよ。




大量のイモを買って、ロリババアにベーコンエッグ・フライパンパイをおみまいしてようやく帰って来れたぜ。

帰ると同時にタープとマリアは何処かに行って、マレスはキャリに引っ張られて遊びに行って、可愛い妹はレクタさんに土産を渡しに行ってしまったから荷物は俺が一人で降ろす羽目になった。

まあいい、サーマにベーコンを引き渡すのは来週だし充分な数は作ってあるから明日から少しはゆっくり出来るだろ。

物々交換までにアンチョビを作りに行く必要はあるが、当日に間に合えばいいからな。

「ようボーイ、やっと帰って来やがったな」

「ジョニーさん!」

ああ、そういやベーコンについて商談がしたいとか言ってたな。

「ボーイの事だからこの時期にしか捕れないオーストリッチをハントしてたんだろうが……美味かっただろう?」

「ああ、最高だったよ」

っと、そういやあの後グリルに捕獲から解体までさせて肉が余ってたんだった。

といってもマリネにしたむね肉とランプ肉が少しだけだが。

「オゥ、こいつは有難い」

ジョニーさんなら生肉でも自分で料理しちまうだろうが、マリネソテーだけは調味料が足りなくて作れんだろうしな。

因みに肉は氷の魔法で氷らせてあるから鮮度は保たれているぞ。

氷らせて貰うのに30バランを払ったけど。

「で、要件はベーコンの商談か?」

「それもあるが、レクタとストロベリーに頼みがあってな……レクタの方は既に了解を得たから後はストロベリーだけだ」

「え、私?」

おっと、いつの間にか戻ってたのか。

「実はあの街で新しく結婚するカップルが居るんだが、会場は俺のバーを希望しているんだ……そこでストロベリーにウェディングケーキを作って貰いたい」

成程な、ジョニーさんも作れなくはないだろうが甘味に関しては可愛い妹の方が美味く作れるって自分で言ってたからなぁ。

「でもウェディングケーキって確か入刀した後は廃棄するんじゃないのか?」

「おいおい、この世界の……特にこのケンタンで食い物を無駄にする奴が居ると思うのか?」

「居ないな、間違いなく」

何なら巨大ウェディングケーキを1人でも食い尽くせるだろう。

流石に人数分のウェディングケーキは作れんだろうが。

「材料は俺が用意するし、報酬もちゃんと払う……そして作って貰いたいのはクロカンブッシュ、どうだ?」

「うん、やる」

即決かよ……まあ断る理由はないからな。

でもクロカンブッシュって何だ?

「簡単に言うとクロカンブッシュは沢山のシュークリームを、飴の衣で包んで重ねたウェディングケーキだよ」

あー、何か昔テレビか何かで見た様な気がするな。

「流石に私じゃマジパンや飴細工とかは無理だけど……」

「構わん、この世界は見た目より味が重要だからな……ケーキの前で祈って配るだけだから本場みたいにハンマーで叩く必要もない、食いやすさを重視してくれ」

ああ、飴の衣とか言ってたし本場だとハンマーで叩かないと配れないのか。

かといってただ重ねるだけじゃすぐに崩れちまうだろうし。

「まあ、旦那になる奴はドワーフだからハンマーを使うイベントなんてやったら店を壊されるかもしれんしな」

それが本音か!

「それと悪いがボーイは留守番しておけ、今回ばかりはな」

俺は除け者かよ……だがジョニーさんが言うからには何かしらの理由があるんだろうな。

ここは素直に従っておこう。




何か絵を描いた紙を出して見せているが……ああ、ケーキの設計図か。

「うん、これなら私の技術でも何とかなるかな」

「式は4日後、明日から頼んだぜ」

「はーい」

って明日から作りに行くのかよ!

そりゃ大量のシューに詰めるクリーム、重ねる作業を見積もればそれなりに時間は掛かるだろうからな。

いつもなら変な虫が付かないか不安になるがレクタさんにジョニーさんが居るなら大丈夫だろ。

「そういう訳でお兄ちゃん、マレスちゃんにも手伝って貰いたいんだけどいいかな?」

「かなりの大仕事らしいしな、いいか?」

「はい、大丈夫です!」

「それとボーイ、式の料理に使うからベーコンを頼む……ビーフのを15塊だ」

そんなにか……まあ食いしん坊だらけなこの世界で特に大食いだらけなケンタンだしなぁ。

それでも足りるかどうかって所じゃないかと思うけど。

「ジョニーなら原材料費、1塊60バランでいい」

いつの間に帰って来たんだ?

ってそれより……どうしたマリア?いつもなら身内であろうが強気な値段で売るのに?

「その代わり、次に来る時はあのバーボンというお酒が欲しい……不思議な甘さもあって飲みやすい、あのお酒」

「いいぜ、それでいいならお安い御用だ」

いや、確かにジョニーさんのバーボンは美味いんだが、あれはトウモロコシで作る酒だぞ?

マリアはトウモロコシが嫌いだったろうに……




「どうしたのマリアさん、相手がジョニーさんとはいえ原材料費で取引するなんて」

「……ウメオ、落ち着いて聞いて欲しい」

って俺か。

「私とタープ、2人とも……2ヵ月だと診断された」

二ヶ月……にかげつ……ん?

「キャリに妹か、弟が出来る……だから、お酒が飲める今の内に好き嫌いをなくそうと思った……その皮切りで、モロコシのお酒から手を出そうと」

キャリに妹か弟……って事は?

「まさかお兄ちゃん、私を寝不足に追い込んでおきながら今更心当たりがないとは言わないよね?」

「流石にそこまで無責任じゃない、でもそうか……そうかぁ!」

知らなかった……子供が出来るとこんなに嬉しくなる物だったのか!

だがマリアよ、妊娠中にアルコールは駄目だろ。

しかし飲みたいという気持ちも解らなくはないし、ここは俺も禁酒に付き合うしかないな。

「……苺心、戻る時にトウモロコシの粉末を頼む」

「はーい」

とりあえず可愛い妹がジョニーさんの所に行ってる間にベーコンを補充して……戻り次第マリアのトウモロコシ嫌いを克服させる手伝いに着手するか。

アンチョビ作りがかなりギリギリになりそうだが、今回ばかりは嫁が優先だ。
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