実はαだった俺、逃げることにした。

るるらら

文字の大きさ
10 / 103
俺は冒険者として生きている

1

しおりを挟む




 「えっ、俺が行くの!?」
 「他に行けそうな人がいなくて…アル君、報酬は弾むから!ね、お願い!」
 「まだC級の俺に頼む任務じゃないだろこれ。」
 「ギルドマスターからは許可がおりたから問題ないよ。貴方今この瞬間からAランクだ、おめでとうアル君!」
 「飛び級しすぎな!どうなってやがるこのギルド!!」



 賑やかなとある冒険者ギルドの一角で俺は大きなため息をついていた。魔獣討伐の中でも過酷と言われる大森林がある連合ギルドに所属して早10年である。

 出稼ぎに出てきたような幼い子供の俺を拾ってくれたのは冒険者ギルドの受付を担当しているマルさん(男のβ)出会った。

 たまたまギルド内の清掃係を募集しており寮付きの仕事に付くことが出来た。それからは魔法の実力を買われ冒険者ギルドに登録し、仲良くなった冒険者達に連れ出されることが多くなった。

 その頃にはバースも安定して、カードにはαと記載されていた。βだと思っていたけど、αと分かった瞬間に体がメキメキと成長して17歳になると身長は180cmをゆうに超えたのである。

 元々魔法が得意で、そこから体力と筋力も発達したらメインを冒険者として活動しないかとマルさんに言われてそうすることにした。

 確かに元々は冒険者になりたくて家出した部分もあるし、連合ギルドに登録していると本部のある都市で暮らすと税率が少し免除されるから家探しにも苦労はしなかった。

 そんなこんなで10年経ち、単独で任務を熟しているうちに面倒な仕事を押し付けられてしまったようだ。ついさっきまでCランクだった俺を急に上位魔獣の討伐してこいって…人使いの荒いギルドめ…!

 受付にいたマルさんは悪びれる様子なくいい笑顔を振りまく。俺がマルさんの頼みごとに弱いの知ってて任せたなあのおっさん…。



 「昇級試験が免除されたと思って喜んだらいいじゃない。」
 「いやまた20歳だよ?急にAランクに上がったら何言われるかわからないし…。」
 「このギルド内でアル君に喧嘩売れるのギルドマスターとタサファンさんくらいのでしょうに。」
 「タサファンなぁ…。」



 タサファンとは同じギルドに所属してる唯一のS級冒険者である。俺がまだギルドの清掃係をしている時からの付き合いの男…αである。金髪と同じ色をした瞳を持ったの色黒で男で、野性味が強い。

 仲が悪いんじゃなくて悪友のようなもので、先輩冒険者として俺にいろいろ教えてくれたのもタサファンだ。5つほど年上だが気の合う仲間である。

 そんな彼も最近、最上位のS級まで上り詰め人気もうなぎ登りだ。ちなみにΩの奥さんもいるリア充である。羨ましいね。



 「アル君は単独でキマイラ討伐できるんでしょ?キマイラかなり上位魔獣だからね?わかってる?面倒だって昇級試験受けないんだから…。」
 「いや試験とか苦手でさ…。」
 「全く…じゃあ任務の説明するから。」
 「拒否権ないの?」
 「ありません!」
 「ひどいブラック社会た…。」



 
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【完結済み】乙男な僕はモブらしく生きる

木嶋うめ香
BL
本編完結済み(2021.3.8) 和の国の貴族の子息が通う華学園の食堂で、僕こと鈴森千晴(すずもりちはる)は前世の記憶を思い出した。 この世界、前世の僕がやっていたBLゲーム「華乙男のラブ日和」じゃないか? 鈴森千晴なんて登場人物、ゲームには居なかったから僕のポジションはモブなんだろう。 もうすぐ主人公が転校してくる。 僕の片思いの相手山城雅(やましろみやび)も攻略対象者の一人だ。 これから僕は主人公と雅が仲良くなっていくのを見てなきゃいけないのか。 片思いだって分ってるから、諦めなきゃいけないのは分ってるけど、やっぱり辛いよどうしたらいいんだろう。

カミサンオメガは番運がなさすぎる

ミミナガ
BL
 医療の進歩により番関係を解消できるようになってから番解消回数により「噛み1(カミイチ)」「噛み2(カミニ)」と言われるようになった。  「噛み3(カミサン)」の経歴を持つオメガの満(みつる)は人生に疲れていた。  ある日、ふらりと迷い込んだ古びた神社で不思議な体験をすることとなった。 ※オメガバースの基本設定の説明は特に入れていません。

公爵家の末っ子に転生しました〜出来損ないなので潔く退場しようとしたらうっかり溺愛されてしまった件について〜

上総啓
BL
公爵家の末っ子に転生したシルビオ。 体が弱く生まれて早々ぶっ倒れ、家族は見事に過保護ルートへと突き進んでしまった。 両親はめちゃくちゃ溺愛してくるし、超強い兄様はブラコンに育ち弟絶対守るマンに……。 せっかくファンタジーの世界に転生したんだから魔法も使えたり?と思ったら、我が家に代々伝わる上位氷魔法が俺にだけ使えない? しかも俺に使える魔法は氷魔法じゃなく『神聖魔法』?というか『神聖魔法』を操れるのは神に選ばれた愛し子だけ……? どうせ余命幾ばくもない出来損ないなら仕方ない、お荷物の僕はさっさと今世からも退場しよう……と思ってたのに? 偶然騎士たちを神聖魔法で救って、何故か天使と呼ばれて崇められたり。終いには帝国最強の狂血皇子に溺愛されて囲われちゃったり……いやいやちょっと待て。魔王様、主神様、まさかアンタらも? ……ってあれ、なんかめちゃくちゃ囲われてない?? ――― 病弱ならどうせすぐ死ぬかー。ならちょっとばかし遊んでもいいよね?と自由にやってたら無駄に最強な奴らに溺愛されちゃってた受けの話。 ※別名義で連載していた作品になります。 (名義を統合しこちらに移動することになりました)

モブらしいので目立たないよう逃げ続けます

餅粉
BL
ある日目覚めると見慣れた天井に違和感を覚えた。そしてどうやら僕ばモブという存存在らしい。多分僕には前世の記憶らしきものがあると思う。 まぁ、モブはモブらしく目立たないようにしよう。 モブというものはあまりわからないがでも目立っていい存在ではないということだけはわかる。そう、目立たぬよう……目立たぬよう………。 「アルウィン、君が好きだ」 「え、お断りします」 「……王子命令だ、私と付き合えアルウィン」 目立たぬように過ごすつもりが何故か第二王子に執着されています。 ざまぁ要素あるかも………しれませんね

たとえば、俺が幸せになってもいいのなら

夜月るな
BL
全てを1人で抱え込む高校生の少年が、誰かに頼り甘えることを覚えていくまでの物語――― 父を目の前で亡くし、母に突き放され、たった一人寄り添ってくれた兄もいなくなっていまった。 弟を守り、罪悪感も自責の念もたった1人で抱える新谷 律の心が、少しずつほぐれていく。 助けてほしいと言葉にする権利すらないと笑う少年が、救われるまでのお話。

言い逃げしたら5年後捕まった件について。

なるせ
BL
 「ずっと、好きだよ。」 …長年ずっと一緒にいた幼馴染に告白をした。 もちろん、アイツがオレをそういう目で見てないのは百も承知だし、返事なんて求めてない。 ただ、これからはもう一緒にいないから…想いを伝えるぐらい、許してくれ。  そう思って告白したのが高校三年生の最後の登校日。……あれから5年経ったんだけど…  なんでアイツに馬乗りにされてるわけ!? ーーーーー 美形×平凡っていいですよね、、、、

【完結】悪役令嬢モノのバカ王子に転生してしまったんだが、なぜかヒーローがイチャラブを求めてくる

路地裏乃猫
BL
ひょんなことから悪役令嬢モノと思しき異世界に転生した〝俺〟。それも、よりにもよって破滅が確定した〝バカ王子〟にだと?説明しよう。ここで言うバカ王子とは、いわゆる悪役令嬢モノで冒頭から理不尽な婚約破棄を主人公に告げ、最後はざまぁ要素によって何やかんやと破滅させられる例のアンポンタンのことであり――とにかく、俺はこの異世界でそのバカ王子として生き延びにゃならんのだ。つーわけで、脱☆バカ王子!を目指し、真っ当な王子としての道を歩き始めた俺だが、そんな俺になぜか、この世界ではヒロインとイチャコラをキメるはずのヒーローがぐいぐい迫ってくる!一方、俺の命を狙う謎の暗殺集団!果たして俺は、この破滅ルート満載の世界で生き延びることができるのか? いや、その前に……何だって悪役令嬢モノの世界でバカ王子の俺がヒーローに惚れられてんだ? 2025年10月に全面改稿を行ないました。 2025年10月28日・BLランキング35位ありがとうございます。 2025年10月29日・BLランキング27位ありがとうございます。 2025年10月30日・BLランキング15位ありがとうございます。 2025年11月1日 ・BLランキング13位ありがとうございます。

妹に婚約者を取られるなんてよくある話

龍の御寮さん
BL
ノエルは義母と妹をひいきする父の代わりに子爵家を支えていた。 そんなノエルの心のよりどころは婚約者のトマスだけだったが、仕事ばかりのノエルより明るくて甘え上手な妹キーラといるほうが楽しそうなトマス。 結婚したら搾取されるだけの家から出ていけると思っていたのに、父からトマスの婚約者は妹と交換すると告げられる。そしてノエルには父たちを養うためにずっと子爵家で働き続けることを求められた。 さすがのノエルもついに我慢できず、事業を片付け、資産を持って家出する。 家族と婚約者に見切りをつけたノエルを慌てて追いかける婚約者や家族。 いろんな事件に巻き込まれながらも幸せになっていくノエルの物語。 *ご都合主義です *更新は不定期です。複数話更新する日とできない日との差がありますm(__)m

処理中です...