実はαだった俺、逃げることにした。

るるらら

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俺は冒険者として生きている

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 ブラックサーペントのコクヨウと、角を持つ白馬改めユニコーンのコハク、そして子犬姿から大きく育ったフェンリルのハクア。

 神様が仲良くね、って言ったから適当にあだ名をつけたらなんか魂の盟約みたいなので縁結んでしまった。神の眷属をテイムなんてできるはずも無く、互いに認めた存在として盟約という形で一方的に縁を結ばれたわけだが。

 実際に神様の眷属はフェンリルのハクアだけで、コクヨウとコハクはフェンリルの従者みたいな?ものだと教えてくれた。

 その従者みたいな存在ならば俺の面倒を見る必要なくないか?ハクアの面倒みなよ。なんて思ったものの、長~く生きた彼らは互いにいい距離が出来上がっていて面倒みるとかそんなのはないらしい。古き良き友人のようだ。

 で。魔力の尽きそうなフェンリルを守るためにあの泉にいたわけで。フェンリルが何をしていたかって言ったら森の泉が負の魔力に汚損されていたので、浄化の為に自分の魔力と負の魔力を相殺させる荒業をして弱ってしまった、とのこと。

 そんな情報は初耳だったけど、人間にも分からない領域ってあるだろうし深くは考えてない。

 そんなこんなでブラックサーペントに連れられフェンリルを見つけ、介抱し、回復したら俺の保護者枠に入った。…意味がわからないって?俺もわからないんだ…。




 「あのね、風呂もトイレも食事も!洗濯掃除も俺出来るんだって。」
 「も~、わかったけど~。でもアル様を可愛い可愛いしたい時はどうしたらいいの~?」
 「体格考えてくれる?可愛い可愛いってなに?」
 「ご飯食べさせてあげたり~、お風呂も入れてあげて~…。あと、一緒にお散歩とかもしたいでしょ~?」
 「コハク?それ介護。」
 「違うよ~。」



 ぷーっ、と頬を膨らませて言うコハク。彼は綺麗な真っ白な髪に色白の肌、神様を彷彿とさせる姿に琥珀色の瞳で俺をジッと見てくる。一緒に湯船に浸かっているのでとても狭い。

 タレ目の甘いマスクは熟女を虜にしそうなほど色っぽいがガタイが良くてなんかアンバランスだ。腹筋バキバキだな。身長も俺より大きいのが悔しい。

 間延びしたテノールの声が風呂場に響く。気が抜けて時間を忘れそうになる。このままだとのぼせそうだ。



 「おい、アルを甘えさせるな。癖になったらどうすんだ。髪洗うから風呂から一旦出ろ。」
 「髪も一人で洗えるってば…。」
 「大人しくしていないと目にシャンプーが入る。お前は赤子なのだから大人しく座るのだ。」
 「赤子じゃないってば……あぁもう引っぱりださないで…言う事聞くからさぁ…。」
 「あ~、ずるいの~。コハクもシャンプーした~い!」
 「貴様は自分で洗えっ!アルにぶつかったらどうするつもりだ!離れるがよいっ!」




 ムッキムキの褐色肌のお兄さんが、お母さんみたいなことを言っているね。急にギャーギャー煩くなる風呂場にげんなりしてしまう。

 コクヨウ、俺は目にシャンプーが入っても泣かないからね…。あとコハク、お前の体格で体当たりされたら痛いからあまり暴れないで、頼むから。


 
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